第266話 過去 14
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
目を開けた少年は息を切らしていた。
その額からは汗が滲み出ており、顔は真っ青であった。
彼は真実を知った。
ずっと隠されていた過去の真実を。
あの時の孤児院であった出来事を。
その事実は彼の心をひどく乱した。
ぎゅっと拳を握って歯を食いしばる。
しかしその隙間から乱れた息が漏れる。
整えようと深呼吸する。
だが、体内がそれを許さない。
自分の左胸に触れる。
鼓動が早鳴りをしている。
止まらない。
苦しい。
かなり苦しい。
身体的にもだが、精神的の方が辛い。
ボロボロの身体よりも、心の中の方が辛い。
この記憶は真実なのか?
――いや、きっと真実なのだろう。
だからこそ、存在している能力、モノがある。
他でもない。
クロードと過去に遭っていたからこそ、今があるのだ。
――つまり。
裏を返せば今の彼らの状況は、クロードが創り出したとも言える。
「俺の……所為だったのか……」
クロード・ディエル。
一週間ぶりに目覚めた彼の口から出た第一声は――後悔の言葉だった。
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