第242話 開発 07
パイロットの選別。
そう聞いた囚人達の頭の中には、はてなマークが浮かび上がっていた。
――パイロットを選ぶというが、どうやって行うのか?
――ここで体力測定でもするのだろうか?
――いやいやそもそもジャスティスって噂だと誰でも乗れるらしいと聞いていたから選別の必要はないのでは?
様々な疑問が駆け巡る中で、セイレンは言葉にしていない囚人達が考えていた疑問に答える言葉を放つ。
『これは見て判る通りに極秘で進めていた新型のジャスティスなのねー。で、このジャスティスはちょーっと特殊で、誰でも乗れる訳じゃないのー。で、誰が乗れるかなんて分からないから、とりあえず犯罪者で試してみよう、ってことで――適正って言うのは単純にコクピットに乗って操縦桿を握ってこのジャスティスを動かせる――そんなところまでいけるのかってねー。いけたら適正ありってことなんだよー』
ね、簡単でしょ? ――とセイレンは軽い声で言い放つ。
『んで、パイロット適性が無かったら死ぬだけよー』
ね、簡単でしょ? ――とセイレンは軽い声で言い放つ。
「………………え?」
数秒の後、絶句する人々。
あまりにも同じ調子で言われたものだから理解するのにも少しだけ時間が掛かったようだ。
この言葉で完全に皆の思考は停止した。
『先着二名だよー。パイロットとして罪も帳消しだよー。早い者勝ちだよー。バーゲンバーゲン……って違うかー。んじゃー、よーいスタートー』
しん、と。
周囲の人々は微動だにせず。
ただただ、呆然としているだけであった。
『ありゃー? みんな動かないねー。予想外だわー』
セイレンが心底不思議そうにそう言うが、それもそのはず、この場にいる者のほとんどは、犯罪者ではあるが死刑囚ではなかった。つまり真面目に刑期を過ごせば外の空気を吸うことが出来るのだ。
『うーん……こりゃテコ入れしなきゃねー。――ということで、じゃ、連れてきてー』
パチン、と指が鳴る音。
合わせて、部屋の入り口が開いた。
「嫌ぁ! 離してぇっ!」
一人の少女の悲鳴が響いた。
綺麗な紅髪。
それとは対照的な入院服のような質素な水色の衣を羽織った、年端もいっていない少女。
マリー・ミュートだった。
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