第235話 敗退 11

    ◆カズマ




(……か弱いな)


 腕の中で泣き続ける彼女の温もりを感じながらそう思考していた。

 すっぽりと収まるほどの、小さい身体。

 この身体で、どれだけ頑張ってきたのか。

 そんな彼女のことを全く見ず、復讐だけに身をやつしていたというのか。

 何と愚かだったのか。

 後悔しかない。

 だが、これ以上後悔しても何もない。

 先に進む。

 自分しか見ていなかった。

 だから今度は――自分以外の為に戦う。


 ――だけど。

 自分は所詮は矮小な存在だ。

 全人類を救うなんて真似は出来ない。

 そんな先を見通すなど出来やしない。

 かといって、そんなに周囲を見回すことも出来ていない。

 ライトウのことも。

 クロードのことも。

 正直、彼らにまで気を回せない。

 目先でもいい。

 それでも、守りたいものがある。

 それだけはやってみせる。


 自分の決意は、ただ一つ。



(ミューズに――もう悲しみの涙を流させない)



 カズマは彼女を抱く腕の力を強くし。

 そして決意を強く固めたのだった。

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