撤退
第215話 撤退 01
『
唐突に始まった予想外の戦闘。
ライトウ、カズマ、ミューズ、そしてクロード。
彼らはそれぞれ、首領クラスと戦っていた。
ライトウは総帥のキングスレイと刀を切り結び。
カズマは獣型ジャスティスの一体と交錯し。
ミューズはセイレンと頭脳戦を繰り広げ。
クロードはコンテニューと対峙していた。
しかしそんな彼ら以外にも、戦っている者達がいた。
一般の所属員だ。
彼らは銃を持ち、同じくルード軍兵士と攻防戦を繰り広げていた。
ジャスティスは倒せないが、それでも『正義の破壊者』に所属している者としてルード軍に負けじと踏ん張っていた。
そして彼らは信じていた。
いつものように粘れば勝ちが舞い降りてくる、と。
表立っていないミューズは別だが、ライトウとカズマは目立った成果を出していた。
常勝無敗。
彼らのいずれかが出てきた戦闘で、負けたことは一度もない。
ジャスティスをも切り裂く、圧倒的な剣術。
敵のジャスティスを一機で無双する、圧倒的な操作。
更には、クロードがいる。
魔王でありながら不可思議な能力で相手を圧倒する存在が。
何があっても負けることが無い。
負けたことが無い。
だから今回も大丈夫だろう。
そう思っていた。
――しかし彼らは知らなかった。
肉弾戦。
機械戦。
情報戦。
能力戦。
そのどれもで――『正義の破壊者』は窮地に陥っていた。
ライトウは、キングスレイに左腹部に剣を突き立てられ。
カズマは、獣型ジャスティスに頭部を掴まれて絶体絶命。
ミューズは、ジャスティス開発者が実の母親だという事実に呆然自失。
クロードは、コンテニューに腹部を銃弾で貫かれていた。
その状況は、一般の所属員には誰一人として伝わっていなかった。
だから彼らはいつもと変わらずに信じていた。
いつものように圧倒している、と。
そんな彼らの元に。
『――『正義の破壊者』全軍に告ぐ』
放送が聞こえた。
瞬間に歓声が上がる。
いつもの如く、また勝利したのだ。
またいつものように。
いつもと同じ――
――だが。
その『いつも』は何処にもなく。
彼らは、今までに聞いたことない命令を聞くこととなる。
『――撤退だ』
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