番外編 聖夜 02
◆
(お兄ちゃんぐっじょぶ!)
コズエはクマのぬいぐるみで隠れている片手をグッと握った。
ふと気まぐれで兄の思考を読んだ所、男性達がクリスマスプレゼントについて話をしている所とちょうど合ったのだ。
その思考の中で、クロードがコズエの為にプレゼントを選んでくれることを知ったのだ。
(しっかし……タイミングがいいですね)
「んじゃあさ、男の子たちに日頃の感謝の意味も含めてクリスマスプレゼントを買いに行きましょう」
「いいっすね。女子からのプレゼントに男子連中ドキドキっすよ」
アレインとミューズが顔を綻ばせながら語っている。
女子もクリスマスが近いことを意識し、三人に対してプレゼントを買おうとしていたのだ。
(……まあ、考えることは一緒ですか。クリスマスって平和な気持ちにさせてくれる行事ですねえ。)
のんびりと彼女は話に加わっているふりをしながらぼーっとそんなことを考えていた。
だから聞き逃してしまっていた。
「……ということで、各自、限られた予算内で相手が喜ぶであろうモノを買ってくる勝負っすよ!」
「っ?」
コズエは目を見開く。
「なに? コズエ、聞いていなかったの?」
首を縦に動かす。
「私達三人は一つずつプレゼントを買ってくるの。だけどランダムで男衆三人にプレゼントを渡すから、誰にどのプレゼントが当たるか分からない。そんな中、一番、相手に喜んでもらえた人が勝ち」
「逆に言うと『うわ……』って態度取られたら負けっす。そしたら罰ゲームっす」
「因みに罰ゲームは恥ずかしいセクシーダンスで決定したわよ」
「!?」
(どうしてそうなったの!? 途中の話の流れが凄い聞きたかった!)
この時ほど話せない振りをしているのを止めようと思ったことは無かった。
「負けないわよ、ミューズ」
「ふっふっふ……あたしの情報網を舐めないことっすね」
混乱するコズエを余所に、二人の女子はバチバチと火花を散らし合っていた。
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