第119話 来訪 07

 ライトウが退室したのを見届け、十分な時間が経った後、クロードは短く息を吐いた。

 あの後、ライトウの望みを具体的に聞き、そして叶えた。目に見える効果ではないので、実際には戦闘の中でどうなるかは実証するしかないだろう。


「しかしライトウの奴、あんなことを頼んでくるとはな」


 もし笑いを浮かべることが出来たならば、クロードはまさにその表情を浮かべていたであろう。

 ライトウの提案は、クロードにとって良い方に予想外であった。


「そこまで考えるべきだったな。やっぱり、俺も考えが浅いな」


 自らの浅慮さを反省しながら寝床に付こうと腰を上げ、ようやくソファベッドに身体を投げ出した――直後だった。


 トントン。


「……」


 流石に三度目に関しては少々の苛立ちを覚えてしまった。あまりにもタイミングが悪い意味で良かったのもある。

 億劫になってしまったので、クロードはそのまま「どうぞ」と入室を促してしまった。この点はまだ精神が未熟な一七歳の少年らしさと言っていいのかもしれない。


 そしてクロードは後にその行動を後悔する。


「お、遅くにごめんね、クロード」


 入室してきたのはアレインだった。

 彼女はひどく薄い恰好――具体的にはキャミソールの上に薄いカーティガンを羽織っているだけであった。普段のラフな格好とは違い、ギャップにより、より可愛くクロードの目に映った。

 そんな彼女は頬を紅潮させてもじもじした様子で視線を下に向けたままだったが、意を決したかのように真一文字に口を結んだまま顔を上げると「……あ」と閉じていた口を開けさせた。


「ん? どうした?」

「やっぱり、クロードも……その……オッケーってことなのね」

「そのつもり? オッケー? 何のことだ?」

「えいっ!」


 そんな声と共に。

 はらり、とアレインの服が彼女の足元へと落ちた。



「クロード! 私を抱いてくれ!」

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