行間2-1

 今でもたまに夢を見る。


 そのドアを開けると、誰もいなかった。


 どんな理由があったのか。わからない。

 もしかしたら、あるいは……

 言い訳のように自分にとって都合の良い理由を考えた。


 何度も何度も。

 

 だが、それでも、どんなに理由を並べても、

 

 想像以上に……キツかった。


 最も大切なものを喪失した。


 それは幼い少年を絶望させるには十分すぎた。

 

 少年は思った。考えてしまった。


 彼らにとって自分は必要のない存在モノなのだと。

 必要のない自分に価値はないのだと。


 だから存在価値いてもいいりゆうが欲しい。

 明確な解答が欲しい。


 そのためだったらなんだってする。

 いくらでも努力する。いくらでも尽くす。

 どんな犠牲も厭わない。

 例えそれが自分でも。


 誰かの役に立てるのなら。

 理由をくれるなら。

 喜んで俺は――


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