第27話 裂ける空 -Dawn-
・1・
「……ガ、イ……」
まるで喉に何か異物でも入り込んだみたいだった。自分の口が上手くそれ以上の言葉を発してくれない。本当に言いたいことが言えない。息が苦しい。
「……」
人の形こそとっているが、紛れもなく魔獣——その中でも竜を思わせるような巨躯。圧倒的な存在感は下手をすればそれだけで意識を持っていかれそうだ。
少し前までガイだったものはミズキを、そして彼女が腕に抱える
「……ッ!」
蛇に睨まれたカエルのように、全身の筋肉が一瞬で硬直する。その絶対的な恐怖はこの場における強者と弱者を明確に分けていた。ミズキは反射的に片腕を失って動かなくなっているタカオを抱える自分の腕の力をギュッと強める。そしてそれを自覚した瞬間、胸が痛くなった。
自分は唯一無二の親友を恐れてしまった、と。
「……ガイ……ガイなんで——」
目の前にいるのは友か敵か。とにかく今はそれだけを聞きたかった。
仮に彼が魔獣だったとしても、変わらないでいてくれるなら。
受け入れるつもりだった。かつて魔女と呼ばれた自分に彼らがそうしてくれたように。
しかしミズキの言葉を突如鳴り響いた破砕音が遮った。
一瞬だった。ガイの足元から地を裂き無数の大樹が飛び出した。それは足から胴、首へと蛇のようにガイの体を縛り上げていく。
「……やってくれるね。こんなに吹っ飛ばされるなんてびっくりだ」
「……」
遠く離れた場所。大穴の開いたビル。そこで
左手を緩やかに動かすと、それに連動してガイを締め上げる力が徐々に増していく。
「ほら、もっと見せてよ。君の力」
「……」
不意にガイの姿が消えた。
「!?」
逃げたか? と一瞬失望の念を抱いたがすぐにそれは消えた。どこに行ったか探す必要はなかったからだ。
相手はもう目の前にいた。
シンジの視界全てをガイが埋め尽くす。
「Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!!」
「あはっ!」
シンジが左手を開く。するとネビロスリングに極大の魔力が集中していく。しかしシンジが何かをするよりも前にガイの右手が彼の手首を掴んだ。
その時だった。
バキバキバキッッ!!
そんな金属を無理やり砕き潰したような耳障りな音がしたのは。音の発生源は掴まれている左手首のあたりだ。
「……こいつッ!」
それは目を疑うような光景だった。装甲を無視してシンジの腕が抉れ、捻じれ、大量の血が噴き出していたのだ。
喰っている。そう表現するのが正しいのだろう。張り付いた手のひらで何が行われているのか考えるのも恐ろしいほどのおぞましい光景。ガイの——いや、魔獣ワイアームの右腕が、魔力で構成されている降霊武装の装甲を激しい音を立てて喰らっていた。
「……チッ」
ものすごい勢いで捕食していく魔獣の右腕に対し、振りほどけない。そう判断したシンジは魔法で鋭利な牙を持つハエトリソウのような植物を両者の間を割って入るように地面から召喚し、その禍々しい口で自身の左腕を食い千切らせた。
そのままシンジはワイアームから距離を取る。その際、左腕ごとネビロスリングを失ったため降霊武装は消滅してしまっていた。
遅れて鈍い痛みが襲う。右手で傷口を抑えるが、血は留まることはなく足場を赤く染めていく。
ワイアームは左手でも千切られたシンジの左腕を喰べていた。どうやら両腕に『口』があるようだ。ものの数秒でシンジの左腕はこの世から消滅してしまった。そしてワイアームの体が少し変化する。鱗のような装甲が両手両足を覆い、一回り体が大きくなったように見える。そして一度元の人間の姿に戻るが、すぐにまた竜人の姿に変化した。
不安定。そんなワードがシンジの脳裏に浮かぶ。しかしそんなことは正直どうでもよかった。
「ハハ、何その腕? いいもの持ってるじゃん!」
シンジはただ狂気の笑みを浮かべるだけだった。目の前に極上のおもちゃを捉えた子供のように、左腕を失ったことなど全く気にしない。
しかし対してワイアームには獲物を追い詰めた歓喜や興奮といったものがまるで感じられない。ただ機械的に決めたことをやっただけのように見える。シンジはそれが少々癇に障った。
「……何? もしかして意趣返しのつもり?」
シンジはタカオのことを言っている。目には目を。歯には歯を。自分が少年の腕を千切ったから、同じように自分の腕を狙ってきたのではないかと。
「……」
「やめてよね。僕、そういうの大っ嫌いなんだ。絆とか仲間とか。……化物のくせに」
「……ガグ……グッ……」
呼吸さえ感じさせないほど微動だにしなかったワイアームの体が突然震え始めた。
「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
唸り声が空気を振動させる。シンジが自分の心臓まで揺れたのかと錯覚してしまうほどに。感じるのは純粋な怒り。
「そうそう! 君はそっちの方が断然いい!」
また、ワイアームの姿が消えた。ノーモーションで。目では追いきれないほどの速度。しかしここは先ほどの開けた場所とは違う。衝撃で破壊しつくされているが、壁や柱が点在している。たとえそれが相手にとって紙きれ同然の障害でも、破壊すれば音が鳴るし、それを回避する知恵があるならばルートは限られる。
シンジは耳に意識を集中し、目を縦横無尽に走らせる。全てのルートは網羅された。
横から破砕音が近づいてくる。
死が。
壁も。瓦礫も。柱も。全てを喰らいながら突進してくる。
「よっ、と」
それでもシンジは乱すことなく軽い身のこなしでワイアームの頭を踏み台にして回避する。しかし間髪入れずにワイアームの尾がシンジの足を絡め取った。
「おっ」
シンジはすぐさま腰にしまって使うことはないと思っていた銃を乱射するが、竜の甲殻はそれらをことごとく弾く。
(やっぱりこんなのじゃダメか)
そのまま空中で逃げ場のないシンジを勢いよく床に叩きつける。
そして――暴食の右腕が振り下ろされた。
轟く破壊の音。
少年の顔面十センチ横。その先に存在したはずの床には一番下の階まで穴ができていた。まるで地面に円柱状の穴を穿つボーリングのようだ。
シンジの右腕には自身の血液がべっとりと付いていた。咄嗟に自分の血を潤滑油にしてワイアームの喰腕の軌道をずらしていた。
ビルが倒壊を始める。
今ので建物内の重要な柱がごっそり持っていかれたようだ。
「あぁ、いい……すごくいい! 最高じゃん!」
シンジは恍惚とした表情でそう呟いた。
「……それ、欲しいな」
ワイアームの動きが一瞬止まった。そして大きく飛びのいて距離をとった。シンジの雰囲気がこれまでとは違うものを感じたからだ。
相手は腕輪を奪われているただの非力な人間のはずなのに。一瞬だけ、そこにはワイアームを怯ませる何かが確かに存在した。本能が危険を知らせる。
「いいよ。僕も少しだけ本気を――」
『お楽しみのところ悪いけどシンジくん。そこまでだよ』
突然耳に取り付けていた無線から、彼の直接の上司である
「え〜。ここからがいいところなのに」
シンジはその声を聞くと途端に漏れ出ていた鋭利な気配をしまった。
『ハハハ。ごめんね。でも目的はあくまで
「あ、忘れてた……」
『問題ないよ。君がしっかり拘束してくれたからね。回収には他の者を回しておいたさ。君もそんな状態じゃ満足に戦えないだろう? だから早く帰っておいで』
「まぁ、いいや。わかりました。……君も。またすぐに遊ぼうね。それまでその両腕、大事にしておいてよ?」
夜白の言葉に従ったシンジはワイアームにそう言い残すと、迷うことなくビルから飛び降り、姿を消した。
・2・
吉野ユウトは
「……何、だ……これ……」
「……酷い」
二人は絶句する。
病院の前。そこは何者かによる破壊の爪痕が残されていた。地面からは無数の大樹。その奥には鮮やかすぎて不気味な巨花が咲いている。その側では一体の魔獣が無数の蔦で体を拘束されていた。
状況が呑み込めない。ちょうど今くらいの時間帯だと入院患者にとっては憩いの場であるはずの中央広場がもはや見る影もない。もはや樹海。完全に別世界だ。
「ミズキ!!」
そこにタカオを抱えて座り込んでしまっているミズキを見つけたユウトが駆け出す。
「……ユウト……刹那」
生気のない声でかろうじて反応するミズキ。刹那の顔を認識すると、抑えていた涙が溢れ出す。頰にはベットリと血がつき、ぐしゃぐしゃに濡れた顔で刹那の胸に寄りかかるように全体重を投げ出す。
「……みんな、が……私……何もでき……うっ……」
怯えるように体を震わせ、上手く声を出せない。
「……タカオがっ! タカオが死んじゃう!」
誰でもいい。誰でもいいから助けてほしい。縋るような目が刹那を突き刺す。
「大丈夫。落ち着いて。大丈夫だから」
刹那はミズキを抱きしめ背中を摩る。そして改めて血だらけで横たわっているタカオを確認した。
(……マズい。出血が酷い。右腕も……応急処置で何とかできるレベルじゃない)
タカオだけではない。側には同じシャングリラのメンバーであるリクとアヤノも酷いやられようだった。これをやった者の異常さに刹那はただ息を飲む。
事態は急を要していた。今すぐ病院で治療しないと命に関わるのは間違いない。それは素人目のユウトにすらわかるほどだ。だが実際、その肝心の病院はもうほとんど崩壊している。
「何事ですか!?」
突然声がしたのでユウトと刹那は反射的に構えた。
「あんたは……」
そこにいたのは学園で起こった事件の際、事情聴取をしていたアーロンの側近。刹那とミズキとは直接対立したこともある女性。
「御巫刹那、賽鐘ミズキ、それに吉野ユウト」
彼女も彼女で数日前から連絡の取れない上司のアーロンに代わり、この異常事態の収拾に今の今まで追われていたのだ。周辺を封鎖している六条リッカの部隊などには彼女が指示を出していた。
だから当事者であるレーシャは当然の疑問を投げかける。
「この区域は隔離されているはず。何故あなたたちは——」
しかしそこで全員が息が止まった。
何か心臓を鷲掴みされたような緊張感。重くのしかかる重圧。
視界の外に何かが降り立った。何かがこの場に足を踏み入れた。皆がゆっくりとその方向へ顔を向けた。
「……ガイ」
ミズキは小さく呟いた。
「ガイって……あれがか!?」
ユウトは驚愕する。何故なら目の前にいるのはどう見ても魔獣だからだ。
竜を思わせるような巨大な翼をしまった魔獣ワイアームはユウトたちを視界に捉える。思わずユウトと刹那はそれぞれ戦闘体制をとった。レーシャも続いて銃を構える。
だが、ミズキが叫ぶ。
「やめて! あれはガイなの! 戦わないで!!」
「……ッ」
ユウトは一瞬怯む。目の前にいるのは魔獣だ。到底ガイには見えない。しかしこんな状況の中でミズキの言葉が嘘だなんてとても思えなかった。
「……ユウト。構えは解かないで」
しかし刹那は鋭い声でユウトにそう指示した。
「刹那……だけどッ……!」
「ミズキはッ!! ……嘘は言ってない……と思う。でも……あいつは間違いなく私たちを敵として捉えてる」
興奮しきった殺気を含むギラついた瞳がこっちを捉えて離さない。数々の魔獣と戦ってきた刹那はあの目を何度も見ている。見間違えようがない。
(例えあれが本当にガイだったとしても、もう……)
ワイアームが一歩距離を詰めたところで空気が張り詰める。バチィっと乾いた音がして刹那の雷撃の槍が飛んだ。十億ボルトの電撃が束になって襲いかかる。
(とりあえず動きを止める!)
しかし、ワイアームは右手を小バエを払うように振る。すると電撃は跡形もなく消え去った。
「なっ……!?」
そして今度はその手のひらをこちらに向ける。
それは例えるなら噴射口。手のひらに見える口にも見える穴から、先程消えたはずの電撃が何倍ものエネルギーとなって打ち出された。
(……マズいッ!)
規模が大きすぎる。まるで雪崩にでも直面している気分だ。ただでさえケガ人のユウトはもちろん、刹那もここまでの戦闘で消耗仕切っているのだ。動けないミズキやタカオたちを抱えて逃げるなど絶対に不可能な話だ。
(でも……私が!)
刹那は伊弉諾の柄に手を伸ばす。
しかしその瞬間、刹那は急な目眩に襲われる。
「ッ!?」
全身に力が入らない。
(……魔力切れ。こんな、時にッ! 力が……)
まるで酸欠状態にでもなったような気分だった。心臓の音が直に耳に響いてうるさい。これがリミッターの外れた伊弉諾の力を使いすぎた代償なのだろう。
「俺がやる!」
ユウトは左腕に理想写しの籠手を展開する。
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「「ッ!!」」
その時、頭上から声が落ちてきた。同時にユウトたちの目の前に何かが落下し、その衝撃で地面が爆散する。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
土煙が舞う中、そこに降り立った人影はあろうことか拳一つ振り上げて迫りくる圧倒的な暴力の奔流を殴り飛ばした。
「何が起こったんだ!?」
「ようユウト。随分ご機嫌な状況じゃねえか。俺も混ぜろや」
そこにいたのは一体の
「……この声は」
レーシャは聞き覚えがありすぎる声に思わず額にしわを寄せる。
「……アーロン。あなたですか?」
「おうよ」
神凪夜白のネビロスリングで新たな力を得たアーロンはグッと親指を立てた。
「……はぁ」
上司の天井知らずの自由っぷりにレーシャは思わず額に指をあてた。
・3・
「うっ……ぐっ……何だ、これ……」
崩壊した院内で祝伊紗那、戦場青子、鳶谷御影の三人を担いで外を目指していた飛角はその場に膝をついた。急に視界がぐらつき始め、壁や床がぐにゃりと現実離れした湾曲をし始めた。上と下の区別ができない妙な浮遊感が体を襲う。
「どうした飛角!」
「いや……なんか、急に眩暈が……景色が歪んで――」
「何?」
ロシャード自身は何ともない。もちろん物理的に壁が湾曲しているはずもない。
「さすがに機械には幻は効かないか」
「「!?」」
廊下の奥で空間に亀裂が走る。
(……ゲート)
そこから一匹の魔獣が姿を現す。コンドルのような頭だが体は人型。加えて装飾の施された杖を持ち、祭司のような恰好は明らかに今まで見てきたどの魔獣とも違う。当然のように人の言葉を話すのなら尚更だ。
「……誰だ、お前……」
「ふん、妙な気配がしたと思えば半分混じった半端者か」
「何を言って……ぐっ!」
それ以上何もできなかった。前提としてもしもこの幻とやらが魔法の類ならば飛角には通用しないはずだ。だが飛角はもはや立つことすらできなくなっていた。
祭司の姿をした魔獣は飛角への興味が失せたようで、彼女の横を素通りしようとする。
しかしそこでふと、足を止める。
「ほほう。どうやらあながち無駄足でもなかったようだ」
まるで思いもよらない宝物を見つけたような満足げな声。その瞳をニタリと歪める。
魔獣は飛角の側で気を失っている一人の少女に近寄った。そしてこう言った。
「またお前に出会えるとは思ってもいなかったぞ。伊紗那」
・4・
「出番だぜ嬢ちゃん!」
鎧の下でアーロンが叫ぶ。
「あいあいさー!」
その声に続いて近づくバイクの走行音。直後、フェンスを越えバイクが宙を舞った。
「あれは!」
「ね、姉さん!?」
乗っていたのは同じ孤児院で育った少女。ユウトと刹那、二人にとっては姉のような存在。
「ほいっと」
燕儀は空中でバイクをワイアームに向かって蹴り飛ばした。そして間髪入れずに彼女は右の手から何か黒い武器、忍者が使うクナイのようなものを投げる。それは的確にバイクの燃料タンクを貫いた。
次の瞬間、ガイの腕がバイクを喰らうよりも前にバイクが爆炎を撒き散らした。
燕儀は燃え盛る炎を背に華麗に着地する。
「さすがにこれは食べられないでしょ……って、ありゃ?」
爆炎が両断された。
斬撃が炎を裂き、そのまま燕儀へと向かう。燕儀は何もない手元から一瞬で黒い刀身の刀を取り出すと鮮やかに斬撃を受け流した。
「今日はなかなか活きのいい人間が多い。斬りがいがある」
「それはどうも」
ワイアームの目の前に大太刀を持った片腕の魔獣がいた。先ほどまで刹那たちと死闘を繰り広げていた狼型の魔獣・ロウガだ。その姿は刹那の雷を受けてすでにボロボロだが、未だ一切の隙を見せることはない。
「……その刀……やっぱり姉さん……」
「刹那?」
刹那は燕儀が持つ刀を見て苦い表情をした。装飾こそ少し刹那のものと違うが、間違いない。
盗まれた折れた伊弉諾の刀身。
もう一つの火を司る神の欠片。
「や、刹ちゃん。それにユウトくん。また会えたね♪」
燕儀は以前出会った時と変わらない笑みを二人に向けた。
「どうして燕儀姉さんがここに……」
「言ったでしょ? お・し・ご・と」
燕儀は人差し指を立てて言った。
「何だ嬢ちゃん、知り合いか?」
アーロンが燕儀に訪ねた。
「私の可愛い妹と弟だよん」
アーロンはそれで何となく理解したようだ。特に興味を持たず仕事の話に戻る。
「一匹増えたが問題ねぇよな?」
「当然♪」
「……ロウガか」
ワイアームが初めて言葉を発した。
「お久しゅうございます。我が王よ」
膝を付き、頭を下げるロウガ。その声は歓喜に震え、涙を流していた。
「アレのせいか」
ワイアームはゆっくりと指を差す。その先にはすでに体の八割以上を魔獣化させた
「おぉ! あれか。俺を呼んだのは」
彼の者の声はとても心地よく、思わず求めてしまう。魔獣にとって本能を揺さぶる甘い蜜だ。
「太刀を借りるぞ」
「はい」
ワイアームがロウガの得物を握ると、変化は起きた。
竜の腕を通して血肉を分け与えられたように脈動し、形を変えていく。
竜の甲殻のごとき強度。そして問答無用で全てを断ち斬る牙刃。狼魔の大太刀はワイアームの手によりより強い力を得た。
「その腕も直そう」
「いえ、これは私の未熟故。このままがいいのです」
ロウガは失った左腕を眺める。そこに後悔はない。むしろ彼は失って更なる強さを得た。
「……そうか」
ワイアームは改めて大太刀を握る。
「「「「ッ!!!!」」」」
その場の全員が声を失った。
刃が空を斬った。
「あ……ああッ!!」
空に――――島全体を覆うほどの巨大な
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