行間4-1

 焼けるように体が熱かった。

 まるで灼熱の砂漠の上をひたすら歩いているような気分だ。


 足を一歩前に出すことがこんなにも辛いなんて、今まで経験したことがない。


(……あれ? 何でここにいるんだっけ? どこへ行くんだっけ?)


 記憶は混濁している。何があったのか思い出せない。

 ただ暗くて狭い路地を歩いている。

 体の動きに思考が追いつかない。

 体は本能が求めるものへと足を動かしているみたいだった。


(体が重い……息が苦しい。苦しいよ……)


 どれだけそう思っても体は歩みを止めてくれない。

 その度にグツグツと煮えたぎるものが体の中を這いずり回る。


「早く……行かなきゃ……」


 きっとそこに行けば、この熱は治まってくれる。

 きっとそこにたどり着けば、この苦しみは終わる。

 そこにいるのは自分にとって初めての理解者だから。 


 だから——


「助けて……ミズキン……」


 声が、木霊する。

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