報告と指令

旅人たちが利用している家からは、昼飯時に異臭が漂う。


集落中で、周知となっている事実だった。


恩人たちを飢えさせるわけにはいかない、とでも考えているのだろうか。


恒例の昼の出来事の後、リィルは六人分の昼食を持ってきてくれる。


皮肉のつもりはないだろうが、今日のメニューにはシチューがあった。


もちろん紫色ではなく、乳白色をしている。


「なんか、いつもいつも、ほんと悪いな」


ルーアが声をかけると、リィルはシチューを装う手を止めて、俯いた。


「い、いえ、その、気になさらないでください」


赤面している。


「そうそう」


そのリィルに、背後から腕を絡ませる女がいる。

リィルの姉の、シーナである。

姉妹だけあって、よく似ている。


年齢的には、ルーアよりも少し上だろう。

長身で痩せている。


なかなかの美人だが、素材を活かす気はないのかもしれない。


化粧などしておらず、そばかすが目立つ。


リィルと同じ栗色の髪も、手入れがされている様子はない。


首の後ろで、適当に束ねられていた。


「食料は集落で分け合っているから、食費の心配はないし、猟や農作業、手伝ってくれてるしね」


朗らかに笑う。

リィルはかなり内気なようだが、姉のシーナは明朗だった。


「それにこの子、料理が趣味みたいなもんだから」


わしわしとリィルの頭を撫でる。

邪魔にしかならないような気がするが、リィルは迷惑そうではない。


「ところでさ、ルーア君は、なにが好物?」


妹の髪をいじりながら、シーナは聞いてきた。


「んー……、好物とかはあんまり。喰えればなんでも」


刺すような視線を感じるが、ティアのあれは喰えた物ではない。


「だってさ、リィル」


リィルが聞きたかったことなのだろうか。


シーナは、妹の髪で遊ぶのをやめると、鍋を片付け始めた。


「そ、それじゃあ……!」


声量の調整に失敗したのか、リィルの声は今までになく大きかった。

自分で驚いている。


それでも、気を取り直したようだ。


「きょ、今日の味付けはどうでしたか? ほんとは、もっと薄味の方がいいと思ったんですけど、お姉ちゃんの味覚が子供で……」


味付けは濃いのだろうか。

あまり、気になりはしなかった。


ルーアが視線を向けると、リィルが緊張するのがわかる。


「ああ、こんくらいなら、問題ない。旨いよ」


「そ、そうですか!」


リィルが表情を輝かせる。


「リィルー」


鍋を持って外に出かけていたシーナが、顔だけで振り返った。


「あたしこれから、ジンさんとこの畑、手伝ってくるからさ」


「じゃあ、わたしも行く」


「え~……、リィルと一緒なんてやだよ」


「またそんな意地悪言う……」


リィルは頬を膨らませ、それでも姉と一緒に会釈をして家を出ていく。


ここ数日、あの姉妹を見ていてわかったこと。


親はいないのか、二人暮らしだった。


姉のシーナの方は、大雑把で明るく、妹のリィルの方がしっかりしている。


仲はかなり良い。

特に、リィルはシーナを慕っているようだ。


気紛れな行動を取ることが多い姉と、いつも一緒にいたがる。


それに対してシーナは、いつも悪戯っぽい表情をして言うのだ。


『リィルと一緒なんてやだよ』と。


もちろん冗談である。

言われたリィルの反応を見て、楽しんでいるようだ。


そして、おそらくリィルは。


「リィルってさ、ルーアのこと好きだよね……」


皿に残ったシチューをスプーンで混ぜながら、ユファレートが呟いた。


「……そうか?」


ルーアはわざと惚けた。

さすがに、あそこまであからさまに赤くなられると気付いてしまう。


だが、『あの子、俺に惚れてるよな?』などと言えるはずもない。


もし勘違いだったら、非常に痛々しいことになる。


「まあ、危ないところを助けてもらったうえに、お姫様抱っこですからねぇ」


シーパルが言った。


たしかに、両足首を捻挫したリィルを、そういう運び方をした。


まだその時は、ただ内気で人見知りなため、話すことに緊張しているだけだと思っていたが。


「ルーアのこと、かなり美化されてリィルには見えてそうですね」


「けどまあ、あんな小さい子に好かれてもな……」


「五年後、かなりの美人になる」


デリフィスが、ぼそっと口を挟む。


この男は、陰気な美形である。

その分、異性を見る眼は養われているような気がした。


姉のシーナも、当人が活かすつもりがないだけで、それなりの美人である。


「つまりはだ」


テラントが、いくらか卑猥に見える顔をした。


「今のうち、唾を付けとけってぇことだ。……あ、いや、冗談です。ごめんなさい」


阿呆なことを言い、だがすぐにティアやユファレートに睨まれて首を竦める。


謝るくらいなら、最初から言わなければいいと思うのだが。


「いくら好かれてるって言われてもな……」


食事を平らげたルーアは、スプーンを置いた。


「まだ十二歳、もうすぐ十三だったか? そんな子相手に、どうしろと」


べつに、好かれるのが嫌なわけではない。

悪い気はしない。


「それに、俺はリーザイに戻る途中だから、いつまでもここにいるわけじゃねえし、リィルにはリィルで自分の生活があるから。連れていくわけにもいかないし。まあ、嬉しいは嬉しいが……」


「口許が緩んでる」


ティアだった。


「早口になってる。口数が多くなってる」


「う……」


ずばずばと言われ、ルーアは口許を隠した。


ティアは、食べるのが遅い。

まだ半分以上残っているくせに、乱暴にスプーンを置いた。


「なに仮定で先のこと話してんの? なに? 満更でもない感じ? 十二歳の女の子だよ? え? まさか、ルーアってロリコン? ロリコンルーア? うわ、キモ」


「いや、あのな……」


妙にティアは不機嫌だった。


「だいたいね、あのくらいの年頃の女の子は、同じくらいの年齢の男の子が子供っぽく見えて、年上の男に憧れたりするものなのよ。それで、近所のお兄ちゃんとかを好きになったりするの。けど、一時的なもので……まあ、はしかみたいなもんなの」


まくし立てるティアの隣で、ユファレートが複雑な顔をしている。


おそらく、はしかにかかりっぱなしだからだろう。


ティアに気付いた様子はない。


「それに、命を助けられたって特殊な状況もあって、勘違いしちゃっただけよ。どうせ、すぐ冷めるわよ。ルーアって、眼つき悪いし、態度悪いし、口悪いし、乱暴だし、すぐキレるし、軽くチンピラだし、暑苦しいから髪切れ」


「待てや、こら!」


堪らず、ルーアはテーブルを叩いた。


「ただの、俺の悪口になってるじゃねえか! なんだってそんな不機嫌なんだ!?」


聞くと、なぜかティアは眼を泳がせた。


「……べつに、不機嫌じゃないわよ」


「嘘つけ、不機嫌じゃねえか。……ああ、そういうことか」


ぴんとくるものがあった。


「な、なによ……?」


「まずいもんをまずい言われて、腹立ててんのか。それで、リィルがまともなシチュー作ってきたから、実力の差に不機嫌になったと……」


「黙れゴキブリ」


「っ!? だからなぁ!」


「なるほど」


「ぅおうっ!?」


いきなり耳元で囁かれ、ルーアは椅子からずり落ちた。


「言い得て妙だな。たしかに君の生命力はゴキブリに匹敵する」


以前と変わらない、どこか人の神経を逆なでする口調。


「……久しぶりだな、シロアリ」


床に爪を立てながら、ルーアは呻いた。


「……私のどこが、かの害虫なのかね?」


もしかしたら、自覚がないのかもしれない。


頭髪も肌も衣服も、全て白いエスは、ルーアの背後でそう言った。


◇◆◇◆◇◆◇◆


実に、四ヶ月ぶりの再会となるのか。


ヘリク国のヘリクハイトでエスと別れたのは、一月のことである。


リーザイ王国に、エスは帰還すると言っていた。


わざわざこうして現れたということは、テラントかユファレートの捜し人を見つけたということなのか。


「……ちょっと待て」


ルーアは、ふと疑問を持った。


「エス、あんた、リーザイに帰るって言ってたよな? 帰り着いたのか?」


「ああ」


「……ンで、今はここにいると」


ヘリク国からリーザイ王国へ戻り、さらにラグマ王国に来る。


どう考えても、半年以上はかかる道程である。


「なにか問題でもあるかね?」


「……いや、お前の生態に突っ込むのはよそう。もう、なんでもありでいいや」


もしエスが光の速さで移動できるとしても、今更驚くことではなかった。


諦めるような気分になり、ルーアはテラントとユファレートを盗み見た。


二人とも、エスが来た意味はわかっているのだろう。


普段無駄口を叩くテラントは静かに腕組みし、魔法に関わること以外はおしとやかなユファレートは、落ち着きを無くしている。


「今日、私がここに来たのは、他でもない……」


勿体振るように、ゆっくりとエスは口を開いた。


「じゃあ……!」


ユファレートが、身を乗り出す。


「すまないが、ユファレート・パーター。君の兄弟子であるハウザードについては、もうしばらく待ってほしい」


静かに、エスは告げる。

どこか冷酷な響きがあるように、ルーアには聞こえた。


「そう、ですか……」


ユファレートが肩を落とす。

ティアが、その手を握り締めていた。


「てことはだ……」


テラントは腕を解き、後頭部を掻いた。


「君の捜している男は、ズィニア・スティマという」


「ズィニア・スティマね……」


眼を細める。

なにか、空気が薄ら寒くなったような気がした。


隣のシーパルも同じことを感じたか、居心地悪そうにしている。


「居場所は……?」


「この、レボベルフアセテ地方のどこか」


「……広いな」


面積にして、百万平方キロメートル以上ある。


たった一人の人間を捜索するには、広すぎるだろう。


「もっと、範囲を狭めることはできないのか?」


「現在も、実行している最中だ、テラント。だが、まだ時間は必要となる」


「そうか……」


「偶然、鉢合わせすることもあるかもしれない。心の準備だけはしておくことだ」


「してるさ、いつだってな」


音を立てて、テラントは立ち上がった。

眼つきが鋭くなっている。


彼は、雑な足取りで家の玄関へと向かった。


「……どこへ行く?」


その背中に、デリフィスが問い掛ける。


「散歩だ」


「なら、俺も付き合おう」


「勝手にしろよ」


二人で、家を出ていく。


様々な意味で、今のテラントを一人にするべきではない。

さすがに付き合いの長さからか、すかさずデリフィスが気を利かせた。


「……では、私も失礼して、ズィニア・スティマの探索を続けるとする」


エスの姿が、蝋燭の火が消えるように、ふっと消える。


「じゃあ、僕も……」


シーパルも立ち上がった。


「ん? どっか行くのか?」


「ちょっと用事がありましてねぇ……」


口篭る。


「ふーん」


ルーアは、それ以上追求せずに見送った。


シーパルは、このところずっと様子がおかしい。


「んじゃ俺も、散歩。暇だし」


聞かれる前に言って、ルーアも家を出た。


ユファレートは、少し落胆している。


なんとなく、ティアと女同士だけにした方がいいような気がしたのだ。


テラントが捜している男は、『コミュニティ』の一員だと言う。


ばらばらに行動するのも危険であるが、小規模な集落である。


なにか騒動があれば、すぐに駆け付けられるだろう。


それに、近くに不審な者がいれば、エスが知らせてくれる。


とりあえず、平穏と言えた。今はまだ。


やることがないため、ルーアは適当に集落の中を歩いた。


学校がないためか、小さな子供たちが外を走り回って遊んでいる。


リィルと同じくらいの子供もいるようだ。


ルーアは、赤面した少女の顔を思い浮かべた。


姉に付いて回るだけでなく、他の子供とも遊べばいいのだ。


それをしないのは、親が不在というのが大きいのだろうか。


嫌でもしっかりしないといけないのだろう。


ルーアは、集落を囲むようにある段々畑を眺めた。


このどこかに、あの姉妹はいるのか。


適当に、ルーアは段々畑へと向かった。


途中ですれ違う人たちが、頭を下げる。


小さな集落だが、貧しい印象はなかった。


山の恵みを、みなで平等に分けているようだ。


そのためか、人々の結び付きが強い。


リィルを助けたことで、ルーアは集落中から感謝されていた。


それが、どこかくすぐったい感じがする。


「ルーア」


「!?」


また耳元で、今度は名前を呼ばれて、ルーアは転びそうになった。


「……なんつーか、この野郎は……」


年齢がよくわからないエスの白い顔を睨み付ける。


「わざととしか思えねえな……。驚きの白さめ」


「君に話がある」


「俺に?」


ルーアは、周囲を見渡した。

住居の裏手、前方には段々畑に続く道、雑木が数本。

人影はない。


「……俺だけに、か?」


「そうだな」


しばらくは、誰も近くを通り掛からないだろう。


ルーアだけに話したいことを、今エスが持ち掛けたということは、そういうことだ。


「長くなるか?」


座れる物を捜しながら、ルーアは聞いた。


「そうでもない」


「なら、このまま聞くか。……なんだ?」


「まずは、テラント・エセンツについて」


「テラント?」


「会わせない方がいい、と忠告しておく」


「ジニア・ステーマか……」


「ズィニア・スティマ」


エスに発音を訂正される。


「あー、ズィニアね。で、会わせるなってのは?」


「ズィニア・スティマは、特殊な存在だ」


「なにがだ?」


エスは、考え込んでいた。

上手く言葉が出てこないという感じである。


そんなエスを、ルーアは初めて見た。


「……私の、人物検索法だが」


しばらくしてから、エスは口を開いた。


「世界をデータの集合体に変換し、私の……力というようなものと接続させる」


「……」


「力は二十五ある。これらを相互接続することにより、高速の情報処理が可能なわけだが」


「……うん。えっと、なにを言ってんのか、さっぱりわからん」


「……要するに、物凄い方法で捜すわけだが」


「なんかその説明のはしょり方が、バカにされているようでムカつくんだが……」


ルーアがいくら唸っても、エスは毛ほども動じない。


「これは、誰であろうと見つけられるはずだった。あの、ストラーム・レイルであろうともな」


「だから、見つけられそうなんだろ? レボベルフアセテ地方ってとこまで、絞れてんじゃねえか」


「違う。ズィニア・スティマを検索すると、どうしても探索できない場所が発生するのだ。彼がいると思われる所にな」


それが、レボベルフアセテ地方ということか。


「わかるかね? 見つけたわけではない。見つけることができなかったからこそ、見つけられた。これは、初めてのことだ」


「んで、あんたはズィニア・スティマを警戒していると」


エスは頷いた。


「おそらく、テラント・エセンツは勝てない」


「あんたはそう思うのか」


「君は、違うのかね」


「……そうだな」


初めて会った時から、テラントは常識外れの戦闘能力を見せてきた。


「そのズィニアがどれほどのもんか知らんが、テラントだって充分異常だぞ。あいつに勝てるのがそういるとは思えねえよ」


「ふむ……」


エスは、顎に手を当てた。

こちらの顔をまじまじと見つめてくる。


「……なんだよ?」


「いや、私は、戦闘に関しては素人だ。素人以下かもしれん。なにしろ、腕力を振るうこともできないのだからな。それに比べると、君は戦闘のプロフェッショナルと言えよう」


「……それほどでもないと思うけどな」


「謙遜をする必要はない。なにしろ君は、準絶対魔法防御壁に守られたランディ・ウェルズにすら勝ったのだからな」


「……ほんとやな奴だよな、あんたは」


「……これは失言だったな。謝罪しよう」


(……?)


なにか、おかしな感じがした。

エスは相変わらず、上からの高慢な喋り方だが、それでも少し柔らかくなったような気がする。


「君が、テラント・エセンツを止める必要性がないと言うのならば、私も信じよう」


「てか、そんなことしたら、俺がテラントに殺されるような気がするんだよな」


「ふむ」


「……思ったんだが、会わせたくないなら、ズィニアのこと伏せとけば良かったんじゃねえのか?」


「捜し出すと約束したからな」


殊勝な心掛けではあるが、なにしろエスである。


「……なにか企んでるか?」


「企んでいる。だが、君たちに害を与えることではない」


「あそ……」


エスは、味方のはずだった。一応は。


「話は、もう一件ある。むしろ、こちらが本命だ」


「ん?」


「ユファレートの兄弟子、ハウザードについて」


「なんかわかったのか?」


「彼は、宮廷魔術師としてドニック王国に仕えている」


ドニック王国は、ホルン王国の北東に位置する小国である。


その魔法兵団は、世界屈指の戦闘力を誇る。


「現在は、使節団の一員として、ズターエ王国を訪問しているようだ」


「……ちょっと待ってくれ」


嫌な予感がして、ルーアはエスの話を止めた。


昔から、嫌な予感ばかり的中する。


「……そこまでわかっていて、なんでユファレートに教えてやらない?」


「ユファレート・パーターに話すかどうかは、君が決めたまえ」


「どういうこった?」


「ハウザードは、これまでに何度かズィニア・スティマと接触しているようだ。それだけでなく共に作業をしていた形跡もある」


「……」


言葉を失い、ルーアは瞑目した。

膝を折り頭を抱える。


「やめてくれよな……」


つまり、エスはこう言っているのだ。


ユファレートの最愛の兄弟子ハウザードは、ズィニア・スティマと同じ、『コミュニティ』の一員だと。


「……エス」


「なにかね?」


「俺は、実は凄く寛大になった。今ならどんな嘘も冗談も許せる」


「私は、嘘も冗談も嫌いだ」


「そうかよ……」


「『コミュニティ』の一員であることは、それほど重要ではない。君もヴァトムで見ただろう? 生まれ変わった、一人の男を」


ヴァトム領主リトイ・ハーリペットのことか。


「問題は、ハウザードはおそらく、次のルインクロードであるということだ」


「……ルイ?」


聞き慣れない単語に、ルーアは顔を上げた。


「……君は、まだわからないのだな。ならば、いい」


「良くねえよ。意味深なこと言って説明なしとか、なんか狡いだろ」


「いずれ、嫌でもわかる時がくる」


「そのいずれがくるまで、気になって夜も眠れないっての」


「君が、そんなか細い神経をしているものか」


「この野郎……」


普通の相手なら力尽くという方法もあるが、エスには剣も魔法も通用しない。


「リーザイで、ストラームと会った」


エスが、懐かしい名前を出した。


「彼から指令を預かっている」


「……指令?」


指令という単語に、不吉な響きを感じた。


嫌な予感が強まる。

これまでに感じたことがないほどに。


「ハウザードを、殺せ」


「なんだと……」


「そしてその肉体を、この世から消滅させろ。以上」


「以上、じゃねえ……。理由は……?」


「それは、聞いていない」


エスは、同情的な視線を向けてきた。


「だから、君が決めろ。ユファレート・パーターに、ハウザードの居場所を話すかどうかは。私からの話は終わりだ」


エスが、姿を消す。


「言えるわけねえだろうが……」


独りになって、ルーアは呻いた。

呻きは、草木がかすれる音に混ざって消えた。

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