第5話 規則四条 皆の秘密
着替えの終った雪乃さんとマルタが俺の前に座る。
食堂というなの休憩室の中だ。
「何から話せばいいのでしょう」
アヤメさんが困り顔で喋りだす。
隣ではマルタが涼しい顔でお茶を飲んでる。
俺は先手を打ってみる。
「えっと、マルタもちょっとかわった人で人より変な事が使えるって事ですか?」
このアパートは万国ビックリショーの人間もとい自称妖怪しかこないのか。
アヤメさんは例によって驚いた顔をしてマルタは物知り顔で頷いてる。
「シューイチ君は物分りええな。そや、ウチもちょーーーーーーっと人より違う事が出来るだけや。なんとなんと、誇り高い狼族の末裔や」
「はぁ……狼というと狼男ですか?」
「せやで、もっとも狼女やけどな」
ドヤ顔で頷かれる。
「で、俺は別にあっちこっちに話たりはしないですよ、アヤメさんの知り合いって事で少しは予測してました」
「ええ子やな~。さすが妖怪荘の管理人に選ばれるやつや」
「マルタさん、夜桜荘です、よざくらっ!」
「どうしたんシューイチ君むせてるけど」
「えっと妖怪荘って……? ちょっと変わった人が集まる所じゃないの!?」
「私から説明させていただきますね」
雪乃さんが説明してくれる。
「最初は私が管理人でこのアパートには様々な力をもった人が異文化交流など色んなの目的で住むためにくる予定でした」
「表向きはな」
マルタが横から口を出してくる。
「私の理想はそうなんですっ! 怒りますよっマルタさん。しかし、私一人では何か良くない事が起きた場合対処も出来ません。主に喧嘩ですね、もっとも性格に問題ありな人は人里に降りる許可は得ないんですけど。ご存知の通り私は雪女です、本気で力を使うとかなりの吹雪をだせます」
「せやなぁーウチは狼女や、人間の首なら。この手でもぎ取るぐらいは出来るやろうなぁ」
その言葉でゴクリとツバを飲む。
「其処でです。一人人間を入れる事で、力を見せないという罰則を作りました。入居者はその正体を明かすべからずです」
「初耳やなー」
白い目でマルタをみている雪乃さん。
「入居前に聞いたはずですが」
「難しい話きらいやねん」
「それで、今回近藤さんが管理人に選ばれたのです」
アヤメさんの説明が終ったようだ。
「ウチが悪かったのはわかった。ごめんなー」
「しっかりして下さい」
アヤメさんが怒り出す。
「でもなー。シューイチ君なんでアヤメの秘密しっとるんねん。『ご存知の通り雪女です』は可笑しくあらへん? ねーねー。アヤメなんでそんな赤い顔してるん?」
二人の約束であるので俺からは喋る事が出来ない。アヤメさんは下を向いている。
「ほら、黙っていてもウチわからんへんし、二人とも寝具の中で秘密でも近いあったん?」
「なっ、違います! 寝具ってっ」
「そ……そうだ!マルタ。喉渇いてません?ビールもってくる」
冷蔵庫に逃げ出そうとするも、細い腕で掴まれた。
「マルタおねーちゃん。二人の秘密ききたいんや。座っとき」
これは子供の時、従姉妹のおねーさんが俺をからかって遊んでる顔だ。
「負けました。近藤さん話してあげてください」
胸元から雪乃さんが白いハンカチを出し振っている。
「勝った!」
「俺からでいいの?」
「はい」
雪乃さんは出した白いハンカチで軽く目元を押さえてる。
秘密だったが、約束した相手が許可だしてるから説明する。
手短に不慮の事故で正体をしった事を明かす。
「アヤメはドジやなー。正体ばれるぐらいなら助けなくても良かったんじゃない、シュウーイチ君を其処の庭に埋めて、そして新しい管理人を探すだけやし」
おいおい、物騒な。
マルタは雪乃さんに振り返る、雪乃さんと言えば『絶対駄目です』と首を振っている。
「マ、マルタさん冗談ですよね」
「もちろんや」
真顔で答えるマルタに俺とアヤメさんは首を落とす。
「しっかしなーこう秘密が秘密でなくなると、いっその事オープンにしたほうがええんちゃう?」
「オープンって?」
俺は疲れたので炭酸飲料を取りに行く、アヤメさんにはお茶と、マルタにはアルコールの缶を持って行く。
「気が利くなぁ。この音がいいんや。んでな力は使っても他人には迷惑をかけない。シューイチ君も管理する奴が得たいのしれない奴よりはいいやろ」
「はぁ。まぁ事前にわかっていればビックリも少ないですね」
「やろやろ」
「アヤメーどうやろうか?」
「そうですね」
テーブルでお茶を飲みながら考えてる。
「最初は管理人になる人が私達の力をみて逃げ出す事、噂が広まって私達が住んでいられなく事を心配してた訳ですが。秋一さんも私達の力を見ても驚くはする者の、受け入れてはくれますし」
「難しく考える事ないんや、アヤメだってシューイチ君追い出したくはないやろ?」
「それはそうですけど、何か変な言い方しなくても」
語尾が小さくなるアヤメさん。
「よし決定や、ヤマテンのおっちゃんに書類書き直してもらうわ」
二人を残してさっさと電話をかけに部屋を出るマルタ。
変な事をいうから俺は意識してアヤメさんをみてみるが、目を合わせてくれない。
「取り合えず、寝ましょうか……もう一時ですし」
「そうですね。秋一さんも、夜分すみません」
小さく欠伸するアヤメさんが可愛い。とても妖怪には見えなく、思わず抱きしめたくなる。
「OKもらってきたでぇ。敷地内に限り過度な力を使わなければ大丈夫や、お隅付きもらったで。なんや眠そうな声だったけどなぁ、まだ二時前だって言うのに」
「もう一時過ぎたら眠いのが当たり前っす」
「せやかー、アヤメも眠そうだしお開きやな。改めてよろしゅうな二人とも」
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