第三話番外編

その1 栗色の髪の女性


「ただいまー」

「あ、お母ちゃーん、お帰りでしゅー(泣)」

「おお、やっと帰って来たか。どこ行ってたんや、お前がおらんから大変やったわ」

「お父ちゃんがお母ちゃんを鍋に入れて名物にしようとしたからやろがー!」

「本当ですよ全く、慌てて逃げたせいで頭ぶつけて記憶が飛んで、帰り道がわからなくなってしまったんだから」

「ワシが悪かった、スマン」

「お母ちゃん、もうどこにも行かないで」

「ええ」



その2 バロン


 ジェイガンに叩きのめされたバロンは自分には魔法兵団長の資格はないと思い職を辞そうとしたが

「許さんぞ。これからはきちんと国民を守れ。そのほうがしんどいだろ」

 と王に止められた。


 それからバロンは皆に今までの事を謝罪して廻り、自分を変えようと努力していった。


 そして

「あはっ、団長さん、これ食べましゅか?」

「ああ、いつもお家のお手伝いお疲れ様。ではひとつ・・・・・・いつも美味いなこのまんじゅうは」

「ありがとでしゅ」

「そうだ、後でたくさん買いに行くから、お父さんとお母さんにそう言っといてくれないか?」

「はーい」


 どうやら町の皆と仲良くなれたようだった。


その3 ユリア?と・・・・・・


 時は遡り、温泉にて

「ふふふ・・・・・・私のこのスタイルならタケルさんもイチコロよね」

 何故か食堂のユリア(これ以降は裏ユリアと呼ぼう)があの温泉で待ち伏せしていた。

 この娘もタオルも巻かずすっぽんぽんである・・・・・・

 すると

「ひょひょ、お嬢さんええ体しとるのう」

「ぎゃあああああオバケーーー!」

 誰もいないと思ってたところでいきなり声がしたのでオバケと思った裏ユリアはすっぽんぽんのままどこかへ逃げていった。


「しもうた・・・・・・今度からは静かにしてようかの」


その4 変態野郎と・・・・・・


「オ、オラを待ってる人・・・・・・どこにいるんだろ?」

 そう呟きながら歩いている変態野郎

 すると

「グルルルル・・・・・・」

 頭の悪そうなモンスターの群れと出くわした。

「こ、こいつらじゃないよな?」

「ガウーーー!」

 モンスターは変態野郎に襲いかかった。

 ある意味勇者だ。


「ぎゃあああああー!」

 変態野郎は目を閉じて叫んだ。


 ズバッ! 

 

「・・・・・・え?」

 恐る恐る目を開けるとそこには真っ二つになったモンスターと

「大丈夫ですか?」

 男前でやや髪の長い男性がいた。

「ウガーー!」

 男性は向かってくるモンスターを次々と切り倒した。だが

「こやつら如き大したことないが、数が多いな」

「あ、あの」


「少し下がってください」

「う、うん」


 モンスター達は一匹では叶わないと思ったのか一斉に襲いかかってきた。

「はああ・・・・・・」

 男性は剣を構えると

「夢幻流、鳳凰一文字斬!」


 モンスター達はかまいたちのような衝撃波で皆上下真っ二つになった。


「あ、あのありがとございます」

「いや、礼には及びません」

「あ、あの、さっき夢幻流って叫んでたけど、もしかしてタケルさんの知り合い?」

「!? タケルを知ってるのですか?」

「は、はい。オラ達の恩人なんです」

「そうですか・・・・・・よければ詳しく聞かせてくれませんか? ああ、名乗るのが遅れました、私はガイです」

「オ、オラは(びゅお~~)です」

 急に強い風が吹いたようだ・・・・・・


 そして

「なるほど、シオリは西の国にいると」

「そ、そんな事も言ってました」

「なら私も西の国へ向かうとするか。途中でタケルに会えるかもしれん、ああ、教えてくれてありがとうございました」

「オ、オラも人の役に立てた・・・・・・嬉しい」


 こうしてガイも西の国を目指して旅立った。

 そして

「オラを待ってる人・・・・・・どこにいるかな?」

 変態野郎も再び旅立っていった。




第三話番外編 終

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