第二話番外編
その後、タケル達が去った後で
その1 変態野郎
「お、親ぶ、じゃなかった団長」
「なんだ」
「オ、オラ旅にでたい」
「何故だ? もしタケルさん達や先生を追っかけて、掘ってもらおうとか踏んでもらおうとか考えてるなら殺すぞ」
「いや、誰かがどこか遠くでオラを呼んでる気がするんだ・・・・・・だから」
「気は確かか? ってお前はいつもおかしいか」
「オラ、いつもはともかく今回は真剣だ」
「・・・・・・たしかにいつもと違う目をしてるな、わかった、行って来い」
「あ、ありがとうございます。団長、オラを拾ってくれた恩は一生忘れません」
「気にすんなそんな事。まあ、またいつでも戻って来いよ」
こうして変態野郎は旅立って行った。
しかしこいつ、本当に誰かに呼ばれてるのだろうか?
その2 食堂の・・・・・・
ここは町の食堂。
そこでタケル達が助けた女性が何やら塞ぎこんでいた。
「おい、どうした、元気がないな」
食堂の店長である父親が彼女に尋ねた。
「・・・・・・」
女性は答えない。
「おい、返事くらいしろ、ユリア」
「……そうよ、私はユリア」
「は?」
「そうよ、私こそ真の『ユリア』なのよ」
「ど、どうしたんだ?」
「本当なら私がタケルさんと旅するはずだったのよ、秘められた力を解放してピンチのタケルさんを救い、それで一緒に旅するはずだった、実は女神の転生体だった。作者が考えてた初期設定ではそうだったのよ。それが『あんたじゃ話が動かん』とか言って私を脇役に追いやり毛玉のナマモノを『ユリア』にするなんて。アキちゃんならまだしも……ああ、憎い。全てが憎いわ」
「う、うちの娘がおかしくなってしまった」
店長は涙を流しながら呟いた。
その3 役人
役人はあれからずっと牢屋に入れられていた。
そのせいですっかり痩せてしまった。
「なんだか体重と一緒に悪い心も落ちた気がします・・・・・・初めはただうちの使用人や部下達が少しでも豊かな暮らしができるように、と脱税やらいろいろしたんですが・・・・・・いつの間にか完全に私利私欲になってしまってました。・・・・・・もう遅いですが・・・・・・きちんとした方法で皆に報いればよかったです」
役人がそう呟いていると
「出ろ」
領主が来て牢番に鍵を開けさせた。
「今日が私の死刑の日ですか?」
「違う」
領主は首を横に振った。
「では何ですか?」
「お前のところの元使用人や元部下達から助命嘆願が相次いだのだ。よって死刑ではなく財産没収の上、我が領内より追放とする」
「・・・・・・え?」
「悪いと思ったがさっきから聞いていた。今度は皆にきちんと報いるように」
「う、うう・・・・・・ありがとうございます」
「礼なら彼らに言うように」
「はい」
その4 オード?
「フ・・・・・・タケル、また会ったな・・・・・・今度こそ
お 前 を 枯 れ る ま で 掘 っ て や ろ う」
うぎゃああああああ!
「おい、どうしたんだよタケル?」
「タケちゃんどったと?」
「い、いや・・・・・・ものすごくおぞましい夢を・・・・・・」
果たして夢のままか正夢になるか・・・・・・?
第二話番外編 終
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