第19話 とり残されて…。

 サルと徳川さんが過去の時代に戻りひと月が過ぎた。

 紗綾は拓海と同じ大学に通うため家を出て、東京の俺が使っていた部屋で一人暮らしを始め、俺も両親も拓海が側にいてくれるので、紗綾の事は安心していた。


 しかしお屋形様たちは、これでまた過去の時代に戻る手段はなくなり、現代で生きて行けるようになったのだが、お屋形様とマリーちゃんは気づけば縁側でぼんやりとしている。

 そして時々大きな溜息をつく。


「殿はいじけておるだけにございますよ。しばらくそっとしておけば、気も晴れましょう。それよりまりぃちゃんは、どうしたのでしょうね。こうなって一番喜びそうな気がするのですが…。」

「やっぱり首に小刀をあてられたのがショックだったんじゃないかしら?気絶したぐらいですもの。」

「東京に残ってたほうが良かったんじゃないか?」

「まりぃちゃんが一緒に帰ると言うので、大勢でいた方が気も紛れると思うたのですが…。大好きな買い物にも行きませんし、拓海の実家にも顔をださぬので、拓海の母上も心配しておられるのですよ。」

「久しぶりに温泉に誘ったけど、断られたよ。」


 ほんとに二人はどうしてしまったんだろう?

 そんなに過去に戻りたかったんだろうか?

 周りの者が気を揉んでいると、マリーちゃんがひょっこり現れた。


「拓海のママンの所に行ってくるわね。大事な話があるんですって…。」

「気をつけて、行ってらっしゃい。」

「行ってきます。」


 マリーちゃんはトボトボとした重い足取りで出かけて行った。


「ノンちゃん、今日は検診の日じゃない?」

「はい。私もそろそろ出かけます。」

「ノブさんも誘ってみましょう。」

「無駄でございますよ。母上。」

「まあまあ。誘ってみるだけよ。あら、ちょうど離れから出てきたわ。ノブさ〜ん。」


 母さんに呼ばれたお屋形様も、いつもの覇気はなくトボトボと重い足取りでやってきた。


「何か御用にございますか。母上。」

「今日はノンちゃんが病院に行く日だから一緒に行きましょう。」


 母さんに病院に誘われるとお屋形様は見る見る顔を赤くした。


「はっ、母上。男が女子まみれの病院に行くなど滅相もない。」

「あら、今は普通よ。夫婦揃って行って、お腹の子供の様子を見たり、お産に立ち会う練習したりするのよ。」

「おなっ、お腹の子の様子を見る⁈お産に立ち会うなど、男がしてはならんこと!」

「だからぁ、今は普通だってば。」

「お腹の子供見れるの?俺もついてっていい?」

「じゃあ俺も俺も!」

「父上、新太!お濃は儂の妻。例え父上と言えど妻の秘所を見せるなど以ての外。何時ぞやのエェブィイの女子と一緒にせんで頂きたい!」

「やだなぁノブさん。お腹の上に機械を充てて、僕達は画像を見るだけだよぅ。」

「そうよ。両親揃って子供を見てあげなきゃね。」

「いや、しかし…。」

「ほらね。やっぱり無駄にございましょう。母上。殿は口では偉そうに強がっていても意気地なしなのです。」

「なんじゃと?」

「そうでございましょう?その様な機械など我らの時代にはなかった物。それが信じられぬのです。人は斬れても、生きている人の中を見るのは怖いのです。」

「言わせておけば…。」

「ノンちゃん言い過ぎじゃない?」

「いいや、そうだね。現代で生きてくって決めたくせに、病院とかが怖いんだよ。予防接種された時も、注射にビビってたもんな。」

「いや、わかるよノブさん。俺も注射とか嫌いだもん。仕方ない俺たちだけでお腹の子供とご対面するか。」

「仕方ないわね。私達だけで行きましょうか?今は技術が進んでるからお腹の赤ちゃんがハッキリ見えるんですって。可愛いわよノンちゃんの赤ちゃん。」

「ノンちゃん、お産も俺が立ち会ってあげるから心配要らないよ。なんたって経験者だからさ。」

「何言ってんの?お父さん新太の時も彩綾の時も忙しいって来なかったでしょ。」

「やっぱさ、おじさんより若い方が良いよね?俺が立ち会ってあげるよ。楽しみだよね?」

「まっ、またれよ。お濃がどうしてもと言うなら行ってやらなくもないのだ。仕方ない我が子の為じゃ。お濃さっさと支度いたせ。行くぞ。」


 やっとの事でお屋形様は重い腰を上げた。

 全員で病院に行くと蔵と店が回らなくなるので、俺と父さんは留守番になった。




「ママンごきげんよう。」

「ごきげんようマリーちゃん。待ってたのよ。さあ、入って。」


 拓海の母に手を引かれ居間に入ると、拓海と拓海の父も揃っていた。


「拓海…?」

「マリーちゃん…。」


 拓海も居るなんて聞いてなかった…。

 私は拓海に合わせる顔なんてないのに困ったわ。


「さぁさぁ座って、お茶にしましょう。マリーちゃんの好きなマカロンもあるわよ。」


 半ば強引に拓海の横に座らされてしまった。

 拓海が私を見てる。視線が痛い。怒っているのが伝わってくるわ。ああ、もう氷の様に溶けてしまいたい気分だわ。


「大事な話があるんだろ?お母さんの様子からして嫌な予感しかしないけど。」

「あらぁぁあ、とってもいいお話よ。ねっあなた。」

「二人ともまだ若いが、婚約してはどうかと思ってね。」

「5月の連休にでもフランスに行ってマリーちゃんのご両親にお許しを頂きましょう。お会い出来るのが楽しみだわ。お買い物も沢山しましょうね。」

「二人とも勝手に話を進めないでください!僕たちにも都合があるんだから…。」

「拓海、あなたは女心がなぁあんにも分かっていないわ。最近のマリーちゃんのふさぎようは遠距離恋愛に疲れてしまったのよ!いくら愛しあっていても、何も約束がないまま離れていると不安になるものなのよ。」

「ママン、拓海を責めないで。私はそんなこと…、」

「いいのよマリーちゃん。私にも同じ経験があるからマリーちゃんの気持ちは、痛いほどわかっていてよ。」

「違うのママン。私は拓海とは結婚出来ない。相応しくない女なのよ。」


 そう言ってマリーちゃんは泣きながら、拓海の家を飛び出して行った。


「マリーちゃんをあんなに悲しませるなんて、拓海いったい何をしたの?まさか浮気とかじゃないでしょうね?お母さんはマリーちゃん以外の女なんか許しませんからねッ!」

「そんなんじゃないよ!もっと複雑な理由があるんだ。もう口を出さないでくれませんか?」


 そう言いすてると拓海は、マリーちゃんの後を追いかけた。



 バンッ!


 蔵の戸を音を立て息を切らしたマリーちゃんが入って来た。


「マリーちゃん、おかえり。早かったね?」


 親父の言葉を無視してマリーちゃんは、蔵の奥へと早足で進んでいった。

 親父と俺がキョトンとしてその後ろ姿を見ていると、急に足を止めて自分が蔵に居ることを誰にも言わないよう口止めして、また奥に入って行った。


「拓海んで何かあったのかな?」

「さあ、乙女心は複雑だからなぁ。彩綾を育てた経験から言うと、こんな時はそっとしとくに限る。」

「確かに!あの二人似てるもんなぁ〜。」


 などと呑気に話ているとお屋形様が、ぼんやりとした表情で帰ってきた。


「ノブさん、お帰り。お腹の子はどうだった?順調かい?」

「あー…。はい。順調の様にございます。」

「良かったね。母さんとお濃さんは母屋にいるの?」

「二人はお濃の腹が出てきましたので“股に手、どうする”なる物を買いに行きました。全く腹に子が入ると女子も恥じらいがのうなるものなのか?人前でその様な言葉を口ばしるとは…。いやはや我が妻ながらお恥ずかしい。」


 お屋形様は顔を赤らめ呆れた様に首を振った。

 股に手って…?聞いてる方が恥ずかしいわい!


「ノブさん、それはマタニティドレスじゃないのかい?」

「はい、その様に言うておりました。」

「それは妊婦さんが着る服だよ。はっははは。」

「左様でありましたか…。では儂は仕事に戻らせて頂きます。失礼。」


 お屋形様はトボトボと自分の作業場に向かった。


「赤ちゃんも順調だったって言うのに元気ないね?やっぱり(過去に)戻りたかったのかなぁ。」

「う〜ん。ノブさんは爺ちゃんと同じタイプだから、もう暫く様子を見て誰かが喝を入れるだろう。」

「なるほどね。俺や父さんが話しても説得力ないもんな。父さんって案外ちゃんと見てたんだね。」

「この家は複雑な人間が多いからな。」


 呑気に話ていると、今度は拓海が入って来た。


「マリーちゃんいますか?」

「いや、君ん家に行くって行ったきりだけど。一緒じゃなかったの?」

「一緒にはいたんですが、両親が余計な事を言い出してしまって、飛び出して行ったんです。他を探してみます。」

「まぁまぁ、心配しなくてもそのうち戻って来るさ。で、何があったの?」

「それが…、」


 拓海の実家での会話を聞いた。


「はははっ、君の両親は昔から空気読めない人だからね。」


 人一倍空気読めない親父が言うか?


「まっ、俺も人のこといえないけどさ。はははっ。」


 認めた。

 自分の事もちゃんと分かってるんだね、親父。


「それ絶対無理じゃないか?どうすんの?」

「両親はなんとか誤魔化すしかないよ。それよりマリーちゃんと話し合いたい事があるんだけど、あれ以来話せてないんだ。」

「あれ以来って、この間東京に行った時?」

「ああ、電話にも出ないし、LINEも既読がつかないんだ。こっちでは、どんな様子?」

「あまり元気ではないかなぁ。」

「大丈夫さ。時間を置けば話せる様になるって。帰って来たら君が来たって伝えておくよ。」

「はい。お願いします。仕事の邪魔してすみません。」


 拓海は肩を落として帰って行った。

 口止めされたとはいえ、落ち込む拓海の後姿を見て気が咎めた。


「心配するなって、なんとかなる。大丈夫さ。」


 親父が俺の肩をポンと叩いた。

 やっぱり説得力ないな親父。


 仕事を終えて家に戻ると、母さんとお濃さんも帰って来ていた。

 病院の帰りに買ってきたらしいマタニティドレスを早速着ているお濃さんは、とても幸せそうに見え、唯一救われる気がした。


「いやぁ流石ノンちゃん。美人は何を着ても似合うもんだ。」

「そんな父上、恥ずかしゅうございます。それより見て下さいませ。あまりに可愛いので買うてしまいました。」


 お濃さんが嬉しそうに差し出したのは、赤ちゃん用の靴下だった。


「うわっ!ちっちぇ!赤ちゃんってこんなに小さい足なの?」

「バーカお前もこんなちっこいの履いてたんだよ。」

「赤ちゃんの物って、癒されるよね?」

「はい。コレも見て下さいませ。」


 お濃さんが恥ずかしそうにバックからDVDディスクを出し渡された。


「何が入ってんの?」

「お腹の子の様子でございます。」

「へぇ〜。見てみようよ。」


 お濃さんのお腹の中で、しっかりと赤ん坊の型となって気持ち良さそうに丸まっている。

 時折モゴモゴと小さく動き、指を口にあてたりしている様子を見て何故か涙が出そうになった。

 皆んなに悟られると恥ずかしい。特に親父に見られたら後々笑い話のネタにされてしまう。気持ちを変えなくては…。


「めっちゃ可愛いなぁ。なあ父さん?」


 ゲッ‼︎

 親父は涙をポロポロ流し、瞬きもせず画面に釘付けになっていた。


「なんて可愛い子なんだ!これなら女の子でも期待できるぞ!さすがノンちゃんだ。ありがとう!ありがとう!」


 親父…、あんた何訳の分からないこと言ってんだよ?


「新太、お前の新しい弟か妹だぞ!もっと感動しろよ。」

「さっきめっちゃ可愛いって言ったろ?」

「バカヤロウ、そんなありきたりな言葉で済むはずないだろーーが?」

「知るか!なに急にキレてんだよ?」

「父上、私は嬉しゅうございます。我が子をそんなにまで思うて下さるなんて…。」

「当たり前じやないかノンちゃん。こんな可愛い子みたことないよ!妊婦さんが泣いたら胎教に良くない。笑って笑って。」


 何なんだよ、この人?

 確かに赤ちゃんの画像は可愛いと思ったし、今の状況からして唯一良かったと感じられることだから感動したけど、自分の子供でもないのに、こんなモノトーンの画像でそこまで感情移入できねぇーーわ。


 さっき親父が、この家は複雑な人間が多いからとか言ってたけど…、親父、あんたが一番複雑な人間だよ。


「ちょいと邪魔するよ。」

「あら、洋次さん。家にくるなんて珍しいわね。何か急用?」

「ノブはいるかい?たまには二人で一杯やろうかと思ってさ。」


 そう言って洋次さんは、蔵から持って来た一升瓶を掲げてみせた。


「主人なら離れの方におりますので、呼んで参ります。」

「ああ、ノンちゃんは座ってな。俺が行くからよ。」

「じゃあ、コレ酒のあてに持っていって。」

「おっ、清ちゃんが漬けた漬物かい?いいねぇ。ご馳走さん。」


 洋次さんは来た時と同じ様に一升瓶の首を持ち、母さんの渡した漬け物のタッパを脇に挟んでブラブラと離れに向かって行った。


「洋次さんってお屋形様のこと本当に気にいってんだね。洋次さんの方から誘うなんて滅多にないもんな。」

「バーカ。喝だよ、喝。」

「そうなの?お屋形様が喝入れられるとこ見てみたいな。」

「こっそり覗いてみるか?」

「そうね。あなた達も一緒に喝入れてもらえば?」


 ふざけた親父と俺には母さんの喝で充分だった。



「ノブ、たまには二人で酒でもどうだ?」

「これは師匠殿。むさ苦しい所ですが、どうぞお上がり下さい。」


 二人は縁側に座り、洋次さんが持参した酒を飲み始めた。


「ノンちゃんは気立ての良い嫁さんじゃねぇか。あんな気立ての良い娘は今時そうは居ねぇよ。」

「いや、あれでなかなか気の強い女で…。」

「バカやろ、芯が強くなきゃお前の女房が務まるかよ。腹に子がいるんだし、あんまり気苦労かけんじゃねぇ。」

「…。」

「お前らがどういう事情でここに来たかは知らねぇが、ここで蔵人として生きてくと決めたんなら過去のことは全部しまっとけ。そんでいつか対処出来る時がきたら片付けりゃいいんだ。」


 自分達の素性を知らない筈の洋次さんの口から過去という言葉が出て、一瞬ドキリとした。


「その時は来ぬかも知れません…。」

「その時が来るかどうかなんてどーだっていい。その時が来なけりゃどうもしなくていいって事じゃねぇか?」

「その時が来なければ、どうもしなくていい…、ですか?」

「そうだ、済んじまった事になるんだよ。そんな先のことをクヨクヨ考えても仕方ないんじゃないか?それより今は目の前の大事な事に気を配れと言ってんだ。

 ノンちゃんを見てみろ。愚痴ひとつこぼさねぇでノブとマリーちゃんの事をしっかり支えて健気な娘だ。ノンちゃんとマリーちゃんは蔵のアイドルなんだから泣かしたら承知しねぇぞ。」

「師匠、ありがとうございます。目が覚めましてございます。」

「わかりゃあいいんだよ。」

「一生師匠について行きます。その証にコレを受け取って下され。」


 懐から出した物を両手に載せ差し出した。


「なっ⁈なんだこりゃあ⁉︎」

「儂の懐刀でごさいます。師匠に儂の命をもお預けする所存です。」

「いっ、要らねーーよ、こんなもん!物騒な奴だな。何考えてんだ?折角の酔いが醒めちまったじゃねぇか。俺は帰る!」


 洋次さんは逃げる様に帰ってしまった。


「儂の誠意を見せたつもりだったが…、仕事で挽回するとしよう。さて、飯でも食いに行くか…。」


 去って行く洋次さんの後ろ姿を見送りなが呟いた。


「あの…、ノブさん。」

「まりぃちゃん、帰っておったのか?」

「ごめんなさい。お話聞いてしまったの。」

「かまわぬ。気にせずとも良いぞ。」

「私もノブさんに聞いてもらいたい事があるの。」

「なんじゃ?どうした改まって。」

「実はノブさんとノンちゃんが、過去に帰れなくなったのは私のせいなの。」


 マリーちゃんは猿と徳川さんと交わした約束を全て告白した。


「ごめんなさい。ノブさん。ノブさんがそんなにガッカリするとは思わなかった…。

 あの時気を失ったせいで私も取り残されて、約束を破られてしまったわ。」

「なんじゃ、改まって言うから何かと思えば…、フッ。そんなことか。はっははは。」

「そんなことって…?私全部打ち明けたら絶対ノブさんに殺されると覚悟してたのよ。」

「まりぃちゃん、そんなことはとっくに分かっておった。たぶん皆んなも気づいておったと思うがな。」

「それが本当ならどうして皆んな私を責めないの?」

「ふむ…。どうしてかのう?きっと皆まりぃちゃんと同じ気持ちであったのではないか?」

「うん…。でも分かっていたなら、どうしてノブさんは落ち込んでたの?」

「王妃としてのまりぃちゃんなら分かるであろう?あの時儂は二人に元の時代に戻った暁には、儂か青木か主君は自分達で選んで良いと言った。その言葉に偽りはない。じゃが青木が現代に戻らず留まると言えば斬らねばならん。そうしなければ国は分裂し儂の使命は成し遂げられぬ。それが分かっているから二人は儂を置き去りにし青木を選んだのであろう。」

「違うわ。二人はノブさんとノンちゃんと赤ちゃんの幸せの為に…。」

「それも理由の一つであろう。じゃが、儂はもうあの時代では用のない人間なのだ。儂のやり方は古いのだ。青木が変えてしまった。」

「でも、青木さんなら先の事が分かっているんだから、上手く使う事も出来るんじゃないの?」

「そうかもしれぬが、青木と儂ではやり方が違い過ぎる。そうなれば必ず家臣は分裂する。それに拓海と最初に会うた時、先の事など知っても面白くはない。織田信長と言う人は自分の思うよう生きればいい。と言われた。今ならその言葉の意味がようわかる。拓海は誠に賢い奴じゃ。拓海と早う話た方が良いぞ。隠れておっても仕方あるまい。」

「…。」

「どうした?」

「拓海はきっと許してくれないわ。凄く怒ってたもの。」

「上に立つ者は時に理解されず孤独なもんじゃな。しかし拓海ならまりぃちゃんの気持ちに寄り添ってくれるはずじゃ。素直に詫びれば許してくれよう。」

「ノブさん、ありがとう。拓海と話て来るわ。」

「まりぃちゃん、誰が何と言おうと王妃として立派な振舞いであったと思う。」


 マリーちゃんは信長の励ましの言葉に頷き、

 決心が鈍らないうちに拓海のもとへ向かった。


「さて、飯じゃ飯じゃ。」


 信長もまた以前の元気を取り戻し、お濃の名を名を呼びながら母屋に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る