第4話 time after time
「では、そろそろ行きましょう。」
「うむ。」
「はい。」
「じゃあ打ち合わせ通りにやってみましょう。」
俺たちは、どうすれば四人一緒に平成の時代へ行けるか話し合った。
四人で手を繋ぎ、俺はこの時代にタイムスリップする寸前の状況を思い浮かべ、真っ暗なスマホ画面を見る。
うわあぁぁぁっ
きゃあぁぁぁ、殿おぉぉぉっーーー。
お濃ーっ、手を離すでないぞおぉぉぉっーーー。
自分のスマホを分解し、見事に元に戻しガッツポーズする俺。そこへ四人一緒に戻るんだ。
ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ、グヘッ
「おっ、重いっ、早くおりて!」
「俺の部屋だ。ヤッター成功したぞ。」
「日付けは?合ってるか?」
「合ってる合ってる。2017年5月20日」
「お前TVつけっぱなし…、時代劇見てたのか?それで460年前か?単純な奴め!」
「お屋形様、お濃さん大丈夫ですか?」
「ここは…?」
「460年後、平成の時代ですよ。俺の家です。」
「ここが、460年後…。」
「なんだか狭い所にございますなぁ殿。」
お屋形様とお濃さんは、俺の狭い部屋をキョロキョロと見渡した。
ここにある物は、全部見たことのないばかりで、落ち着かないのだろう。
お屋形様とお濃さんをベランダに連れ出した。
当然の反応かも知れないが、お屋形様とお濃さんは腰を抜かさんばかりの過剰反応で、俺と拓海に質問攻めにする。
「夜だというのにこの明るさは、どうしたことじゃ⁈祭りか⁈」
「なんと高い建物じゃ!この時代の城か?城主は誰じゃ?」
「きゃあぁぁぁ新太殿!どうしてこの様に小さな箱に、こんな小さい人を大勢閉じ込めておられるのです!」
街並みやTV、見る物触る物、万事この驚きようだ。
拓海は親切に説明していた。
「まあ、落ち着いてお茶でもどうぞ。」
「いつの時代でも月は、変わらぬのだな…。」
「月を見れば、我らの時代に想いを馳せる事ができまする。殿。」
お茶を飲んで少しは落ち着いたようだ。
何はともあれ全員無事に、タイムスリップできて良かった。
「お屋形様、お濃さん。俺たちの時代へ、ようこそ。」
「じゃあ、そろそろ俺行くわ。」
拓海が俺の携帯を握りしめて言う。
「どこに?」
「馬鹿!俺は今日ここに居ちゃいけないんだよ。俺は明日のマリーちゃんとお茶してる時間に、戻らないとパラレルワールドになるだろ⁈」
「お前にばっかし、しんどい思いさせてごめん…。」
「明日スマホ返しに来るから、何か奢れよ。」
「わかった。ところでマリーちゃんって外人?」
「いいや、自由奔放な気儘ちゃんだけど、可愛いからマリーアントワネットのマリーちゃんって呼ばれてるんだ。」
「そっか。じゃあマリーアントワネットのマリーちゃんに宜しくな。」
「信長様、お濃さん、また明日。おやすみなさい。」
拓海は俺のスマホを握りしめ、画面を見つめるとパッと消えてしまった。
自分も同じ様に現れたり、消えたりしたんだろうけど、自分以外の人がやるのを見ると、マジで怖いもんがある。
そう考えると、お屋形様は肝据わってるな。
さすが戦国武将 織田信長、
拓海が無事に、明日マリーちゃんとお茶できますよーに。 合掌。
see you next time.
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