▼第二章『12人の悩める女子航宙士(ウェーブ)』 ♯4


  ――コンビ結成二週間後……AM02:00――



 ドタドタと……いや正確には本体であるヒューボの靴床の、ギュイインというウィールをけたたましく鳴らして移動する騒音と共に、部屋の外からでも分かる騒々しさでアビーが自室へと訪れたことを、キルスティはドアを開けずとも分かった。

 〈斗南〉時間の深夜であったが、アビーはキルスティの部屋への訪問に躊躇いなどないようだった。


『大変ですキルスティさん! 聞いて下さい! 大変なんです!』

「…………………………………………ナニガァ?」


 当然のごとく就寝中だったキルスティは、極限の睡魔に抗いながら狭い自室のベッドから抜け出し、アビーはノックする前にドアを開けると、なんとか言語を発することに成功した。

 そしてここ二週間で、アビーという存在のキャラクターがなんとなくつかめたような気がした。

 こやつは間違いなくサティの親戚筋だ。

 礼儀正しいが、好奇心が強く、親切でお人よしだが、頑固、あと大げさで時々考えなし…………。

 最初は初めての船外活動に緊張気味であったが、慣れてくるにつれて、人付き合いのアクセルとブレーキの使い方が乱暴になってきた気がする。

 それもきっとすぐに学ぶとは思うのだが、それまで付き合わされる我が身がもつかどうかは、キルスティには少し自信が湧かなかった。

 元グォイドの先祖(?)の【他文明救助要請プロトコル】を含んでいるだけあって、間違いなく悪い人間(?)では無く、むしろとても善良でモラルのある人間なのだが、人間という種との付き合いの機微についてはまだ初心者なのだ。

 アビーと協議して考えだした、クィンティルラ大尉とフォムフォム中尉を目覚めさせる計画は、早くも長期戦が予想され、キルスティはその過程で、学ぶ予定の無かった人生経験が積まれていくのを感じた。

 キルスティはアビーという存在が、もっとAIっぽいものだと想像していたのだが、実際に会う彼女には驚かされることばかりだった。

 なかでも驚いたのは、サティや他のVS艦隊クルーや多くの航宙士や人類と同じように、あるコンテンツにドハマりしたことだった。

 キルスティはアビーが夜中に叩き起こしてきた理由が、彼女が言うほど大変でもなければ、緊急事態ではないことを、すでに確信していた。


『キルスティさん聞いて下さい!

 アニメ『VS』の最新シーズンのトレーラーに…………キルスティさんらしきキャラクターが出てるんです!』

「WRYyyyy…………」

『あ、もしかして…………すでにしってました? 

 ひょっとして……気分を害してる感じで……すか…………?』


 アビーはキルスティのうめき声とその殺意のうかんだ表情から、ようやく夜中に叩き起こされたらの人間はどう感じるのか思い至ったらしい。

 彼女は【ANESYS】の化身アヴィティラなのだから、あらゆる情報に瞬時にアクセスし、既存の情報から何かを知ることで驚くことなど無いように思っていたのだが、どうも記憶を呼び出せることと、経験して知ることは違うらしい。

 だからこうして、やらかしては学んでいく。

 パイロット二人を目覚めさせる試みの過程で、キルスティはある仮設を実証する為に自身を被験体にすることとなった。

 そして被験体としてのテストを行う過程で、その観測者担当であったアビーが、キルスティ共にテストをこなしてい行く過程で、なぜかまたアニメ『VS』にドハマりしたのだ。

 キルスティとて、VS艦隊の航宙士を目指した切っ掛けとして『VS』は一通り見たし、〈じんりゅう〉のクルーと一緒に鑑賞したこともあり、同作品の面白さや魅力に異論は無いのだが、サティといいアビーといい、なぜにこうも『VS』に惹きつけられるのか…………?

 アビーはやろうと思えば瞬時に見終えることができる『VS』を、キルスティと同じ様に楽しむ為に、わざわざ記憶へのアクセスを封じ、ちゃんと30分かけて鑑賞した結果、何か琴線に触れたようだ。

 そしてキルスティの就寝中も一人で長きにわたる『VS』シリーズを見続け、この時間に数か月後に配信予定の最新シーズンの予告編を見るに至ったようだ。

 そしてその予告に、自分のほぼ初めてに近い友人そっくりの新キャラの登場を確認したのである。

 キルスティはもちろん事前にそのことを知らされていた。

 正直、かの『VS』最新シリーズに、一応は〈じんりゅう〉クルーだった自分(を元にしたキャラ)が、モブとは言え登場するのは、恥ずかしい以外の感想は無かったのだが…………キルスティは眠い頭でそこまで考えたが、やがて睡魔に敗北した。

















 ――コンビ結成から約三か月後……現在――


「う~む……、も……もう一回言ってくれ」

「だ~か~ら~! 一応もうテューラ司令からは聞いてるんですよねぇ?

 クィンティルラ大尉とフォムフォム中尉は……いや、お二人を含む〈じんりゅう〉のクルーは、何がしかの仮想現実を体験させられている…………と思われるんです!」


 聞き返すノォバに、このちんまい航宙士キルスティ少尉は、胸の前で両の拳を握りしめながら力説した。

 しかしキルスティの顔は、明らかに自分でも何を言っているのか自信が無いように見えた。

 ノォバは思わず、キルスティに心的疲労を心配しする表情を返してしまった。

 視界の隅では、テューラが無言で肩をすくめていた。



 ――〈斗南〉航宙艦建造ドック内展望室――



『クィンティルラ大尉とフォムフォム中尉の脳波パターンに似たパターンを探した結果、それはVS艦隊クルーの日常生活そのものに似ていたのです。

 たとえば食事をしている時、談笑している時、デスクワークをしている時、スポーツをしている時、説教を受けている時、アニメを鑑賞している時などなどです。

 ベッドで眠っている時と思しきパターンもありました。

 ……それも数日から数週間分の』

「あ~過去の脳波パターンのデータを参照したってことか? よくそんな日常生活時の脳波パターンデータなんてあったな」


 ノォバは、テューラと共に新造ブースターの横わたる航宙艦ドックに到着するなり、ものすごい勢いで具申にやってきたキルスティと彼女の隣に立つアビーに、若干の緊張を覚えながら訊き返した。

 どうもこの二人は苦手だった。

 まだ12才のキルスティは、娘のユイが将来こうなったらどうしようという気分にさせられるし、キルスティはサティと同じ臭いを感じる。

 ようするに、面倒だが回避不可能なことを提案してくるに違いない……そう思えたのだ。

 そして訊き返しながら、彼女らから返ってくる答えの見当がすでについていた。


『【ANESYS】が開発される段階で、数多く収集された過去の【ANESYS】適正者の脳波パターンデータがありました。

 ですが、最もクィンティルラ大尉とフォムフォム中尉の脳波パターンと酷似したデータが得られたのは、この三か月間キルキル……キルスティ少尉にデータ採取デヴァイスをつけて生活してもらい、採集したデータからです』


 物怖じすることなくアビーが答えると、隣でキルスティが大きな溜息をついた。

 その溜息に、この三か月間いかに面倒なことがキルスティに起きたのか、ノォバはなんとなくだが分かった気がした。


「〈斗南〉にいて、【ANESYS】適正があって〈じんりゅう〉に乗って任務をこなしたことがあり、手が開いてるVS艦隊クルーは私くらいしかいませんでしたからねえぇぇ……」


 さも全然平気だった風を装って、遠い目をして言うキルスティの声には、言外の苦労が忍ばれた。

 確かに、データの正確性を喫するならば、現役の〈じんりゅう〉級のクルーから最新のデータを採集すべきだが、〈じんりゅう〉〈ナガラジャ〉〈ファブニル〉は遠く【ガス状巡礼天体ガスグリム】にいるはずであり、残る〈ジュラント〉はメインベルトの最前線で【ガス状巡礼天体ガスグリム】迎撃準備に入っている。

 最後に残る〈ウィーウィルメック〉のクルーは、脳波パターンのサンプルを採るにはあまりにも特異なポジション過ぎる。 

 結果、キルスティ少尉の出番となったわけだ。

 それが必要なことだとはいえ、四六時中脳波パターン採取の為のデヴァイスを頭部に装着して、アビーにずっと見守られながら生活を送るのは、あまり愉快な経験とはいえないだろうな……とノォバはこのちんまい女子航宙士の表情を見て同情した。

 

『クィンティルラ大尉とフォムフォム中尉の脳波パターンが、いわゆる日常生活に酷似しているということは、逆にいえば、彼女達の思考は、日常生活意外の……例えばグォイドとの戦闘などを体験しているわけでは無いとも言えるわけです』

「ですから私らは、クィンティルラ大尉とフォムフォム中尉ふくむ〈じんりゅう〉クルーが、【ANESYS】が維持された状態を利用して…………そのぅ……本物ではない日常生活を疑似体験しているのだと考えたわけです」

「つまりは仮想現実ってことなんだな…………」


 アビーとキルスティの説明に、テューラがだから最初からそう説明しただろと言わんばかりにそう続けた。


「いや……だがしかし……お前たちがそういう結論に至った経緯は分かったがだ!

 何故に仮想現実……仮想現実って、あの仮想現実?」

「仮想現実って言い方が気に入らない場合はただの“夢”でも構いませんよ。

 ある程度、作為された夢というべきかもしれませんね。

 いわゆるゲームやらシミュレーションの類で言う仮想現実とは少しニュアンスが異なりますし」

『ともかく彼女達の思考は、現実ではない現実で日常生活を送っていると推測されるのです。

 それがいつどこで、どんな設定で、何を目的としての日常生活かまでは分かりませんが、それなりに喜怒哀楽を感じて生きていることが伺えます』

「う~む…………なんでそんな事に…………」


 ノォバはキルスティ達の仮説を理解した上で、それでもなお、ここ三か月の間、何度も口にせずにはいられなかった疑問をまた言わずにはいられなかった。


「その疑問については、あまり気に入らないでしょうけど、今のとこ説明がつく答えは一つしかないですね」

「ああ…………やめてくれキルスティ、聞きたくない」

「私も好きじゃないがな……その結論に至るのは……」

『お三方が言っているのは〈太陽系の建設者コンストラクター〉のことですか?』


 キルスティが言おうとした答えに、ノォバとテューラが嫌がるのを無視して……というか気づかずにアビーが告げた。

 〈太陽系の建設者コンストラクター〉……クィンティルラとフォムフォムが今こうなっている原因の最大の容疑者は、今のところそれ以外に考えられなかった。

 もっと早くその結論に至ってもよかったくらいだ。

 アビーの情け容赦のない遠慮ない言葉に、残る三人がそろって大きな溜息をつくと、アビーはきょとんとした顔をして首を傾げた。











『〈太陽系の建設者コンストラクター〉の高度なテクノロジーならば、まず〈じんりゅう〉のクルーと、クィンティルラ大尉とフォムフォム中尉が長距離を隔てても【ANESYS】で繋がれている説明ができるんじゃないでしょうか』

「そりゃそうなんだが……」

「ま、掟破り感ありますよね~」

「ンなことは最初から想定はしてたんだ!

 ただ他の可能性を完全に潰してからじゃないと、その結論にはたどり着きたく無かったんだ!」


 ノォバ、キルスティ、テューラのそれぞれのコメントにも、アビーはまだよく理解が出来なさそうな顔をした。


『それは確かに他の可能性がある場合ならばそうでしょうが、この三カ月間精査しても、新たに有望な可能性は出なかった以上、今の事態には〈太陽系の建設者コンストラクター〉が絡んでいると考えるべきでは?』

「…………まぁ……な」


 畳みかけるアビーに、ノォバは渋々同意した。


「だが〈太陽系の建設者コンストラクター〉のせいにするのは、ミステリ小説の事件のトリックを宇宙人か神様にするようで、すんなり納得がいかんのだ」

『神様?

 ノォバ・チーフ、神様とは全知全能の創造主にして、人類の信仰対象としての上位存在のことですね?

 〈太陽系の建設者コンストラクター〉は極めて間接的ではありますが一応は太陽系生命の創造主と言えますし、全知全能ではないですが、比較的それに最も近い所業を成し遂げたと言えます。

 その神にも似た存在であるという事実が、お三方……といいますか人類の皆さんには触れ難く感じるのですね?』


 ノォバがなんとなく思っていたことを、アビーが勝手に言語化して告げた。

 ノォバ達に限らず、【ガス状巡礼天体ガスグリム】との決戦を控えた人類は、〈太陽系の建設者コンストラクター〉について考えないでいようとしている節があったかもしれない。

 そもそもグォイドと遭遇し、存亡を賭けた戦いを宇宙で繰り広げる時代になって、人類は神に関しての宗教や信仰心というものに対し、一言では言えない重大な変化を迎えていた。

 そこへ〈太陽系の建設者コンストラクター〉という神に近しい存在が確認され、その事実をどう受け取れば良いのか、まだ分からないのだ。

 ノォバ達があまり〈太陽系の建設者コンストラクター〉に触れたがらない理由は、おおよそ今アビーが言った通りだが、〈30人会議〉では〈太陽系の建設者コンストラクター〉を、凄まじい科学力を持っていたが、今は滅んだ過去の文明として扱っていた。

 だから今の所、オリジナルUVDや【ガス状巡礼天体ガスグリム】という異星遺物の存在は勘定にいれていても、〈太陽系の建設者コンストラクター〉そのものの存在を、グォイドとの戦いのファクターには加えてはいなかった。

 だが………。


『グォイドとしての私が、はるか昔に〈太陽系の建設者コンストラクター〉の異星遺物と遭遇した段階で、すでに同文明は滅んでいたと思われますが、ご存知のように同文明の残した異星遺物内部には異星AIが現在もなお稼動しており、それは〈じんりゅう〉の木星や土星のグォイドとの戦いに関与しています。

 そうでなくても人類の有するオリジナルUVD内にも異星AIが内包されいるはずであり、言ってしまえば私の自我自体にも、意識できぬ異星AIの影響があることは否めません。

 私の思考には〈ウィーウィルメック〉搭載のオリジナルUVD内の異星AIの関与が、無自覚的にもあるはずからです。

 なのに……』

「すとっぷ! 分かった! もう分かったってばアビー!」


 際限なくしゃべり続けそうなアビーをキルスティが止めた。

 が、アビーは言いたいことがまだまだ溜まっているようであった。


「分かった……降参、こ~さんだ。

 もう〈太陽系の建設者コンストラクター〉がパイロット二人と〈じんりゅう〉とを【ANESYS】状態でつなぎ留めたってんで構わんから……」

『良かった……確認する術はありませんが、最新の情報をもって推測した限りでは、【ヘリアデス計画】の最後に、ワープゲイトが開いた状態で〈じんりゅう〉が【ANESYS】を行った結果、【ガス状巡礼天体ガスグリム】内の異星AIとの予期せぬコンタクトが行われ、ワープゲイトが閉じた後も、【ANESYS】の繋がりが維持された可能性が考えられます』


 ノォバが折れるなり、アビーはおもむろに、目からホログラムを空中に投影させながら続けた。


『なぜ遠距離間でも【ANESYS】の回線が維持できているのかについては、いくつかの説がありますが・もっとも可能性が高いのは、UVエネルギー崩壊時にアンダー・ヴァースへと還っていくエネルギーに、【ANESYS】の回線データが便乗する形で〈じんりゅう〉とのパイロット二名間の【ANESYS】回線を維持している説です。

 もしこの説が正しければ……』


 アビーは内部のヒューボから、UVエネルギー技術についての教科書に載っているような概念図を投影させながら、立て板に水のごとくまくし立てた。

 一気呵成にしゃべくるアビーに、残る三人は口を挟むことができなかった。

 一応VS艦隊のエンジニア・セクションの責任者たるノォバには、アビーの説が何を言っているかくらいは理解できた。

 元をたどれば、〈太陽系の建設者コンストラクター〉の異星遺物であるオリジナルUVDから端を発し、人類とグォイド双方で発達してきたUVテクノロジーは、アンダーヴァースと名付けられた異次元からくみ出されるUVエネルギーを基に構築されている。

 UVエネルギーはこちら・・・の宇宙にくみ出されると、約2秒で崩壊消滅してしまうが、それはただ消えたのではなく、素粒子サイズの時空の穴を通ってアンダーヴァースに還っている……というのが最新の学説である。

 そうしないとUVエネルギー崩壊後の宇宙に、何も残っていないことの説明がつかないからである。

 今、パイロット二人と〈じんりゅう〉との間で維持された【ANESYS】は、アンダーヴァースからくみ出され、崩壊してアンダーヴァースへと還っていくUVエネルギーの流れに【ANESYS】を繋ぐデータ回線の情報が便乗して、こちらの宇宙とは異なる物理法則の支配するアンダーヴァースを通過・移動することで、距離によるタイムラグを無視して繋がっている……とアビーは言っているのだ。

 もしそれが真実ならば、ノォバはこれまで信じてきた宇宙の常識に大変な影響があるんじゃなかろうか……と危惧したのだが、確かにこの説ならば、遺憾ながらあらゆる謎への説明がついてしまうのが困りものであった。


「分かった! お前たちの仮説は理解したから! その上で、お前たちがいったいどうしたいのか教えてくれ。

 なにかアイディアか頼み事があって来たんだろが」


 ノォバはそろそろオーバーフロウしてしまいそうな頭を掻きながら結論を急いだ。

 クィンティルラとフォムフォムと〈じんりゅう〉とを繋ぎ維持された【ANESYS】は、おそらくだが【ガス状巡礼天体ガスグリム】内の〈太陽系の建設者コンストラクター〉製異星AIの仕業である可能性が高い。

 大雑把に言えば、〈太陽系の建設者コンストラクター〉の超技術により、距離による【ANESYS】のタイムラグが無視されているのだ。

 そしてパイロット二人と〈じんりゅう〉クルーは、維持された【ANESYS】により、日常生活をおくる仮想現実あるいは夢を体験させられているのだという。

 自分の理解が正しければ、このちんまいコンビが突き止めた真相はこういうことになる。

 いや、これらはあくまで推測だが、エビデンスを求めたところで、それは不可能な話だろう。

 ただ、この説で筋が通っていることだけは確かなだけだ。

 しかし…………、


「……こほん! テューラ司令とチーフが次に求めるのは、この説の確証ですよね。

 結論から言いますと、私は〈じんりゅう〉クルーの皆が実行中のこの不可思議な【ANESYS】に、私自身の【ANESYS】適正を用いて繋がって、それにより|件の仮想現実に侵入。

 仮想現実内で〈じんりゅう〉クルーにコンタクトし、真相を究明すると同時に、あわよくば|【ガス状巡礼天体ガスグリム】の彼方に入る〈じんりゅう〉級三隻と連携をとり、後の対【ガス状巡礼天体ガスグリム】戦を有利に進められるよう試みたいと思うのです」


 ノォバはこのちんまい少尉が具申してきた内容に、しばし絶句することしか出来なかったが、同じくそれを聞いていたテューラが、いわく言い難い表情で溜息をついていたことに気づいた。

 まるでこの具申を予期していたかのように…………。

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