▼ 終章 『遠い宇宙《そら》の向こうに』 ♯1
予期せぬ再起動と同時に、猛烈な違和感を覚えた。
機能停止する直前に把握していた状況と、今、己を取り巻く状況とがあまりにも違い過ぎる。
機能停止直前、自分はフィニィを守るべく、メインブリッジに登ろうとする
コンピュータコアとメモリーデヴァイスを刺し貫かれる直前、これが死か……と思ったのを覚えている。
何者かによって偽の記憶に改ざんされた可能性を模索したが、その形跡は確認されず、第一そんなことを行う理由が思い浮かばない。
メインコンピュータや“ドクター”にも尋ねたが、彼らも自分とまったく同じ状況であり、謎の答えは返ってこなかった。
だから、今観測されている状況の全ては、まごうことなき現実として考えるしかなかった。
どうやら機能停止から再起動するまでの間に、推測のしようもないことが起きたらしい。
いったい何がどうしてそうなったのかを確認する術は、一つしかなかった。
[ウォ~イ! コチラVS‐802〈じんりゅう〉搭載いんたーふぇーすぼっと・えくすぷりかヨリ、周辺ヲ航行中ノSSDF航宙艦ヘ。
再起動直後ニツキ周辺状況ノ把握ガ出来ズ、現状ノ説明ヲ求ム!
繰リ返ス――]
返答はすぐに返ってきた。
ほとんどはエクスプリカと同様の疑問を抱き、同じ質問をする周囲を同航中のSSDF艦艇のAIからだったが、一隻だけ、人間の声での返答があったのだ。
『エ……エクスプリカぁ!? あなたまで蘇ったのぉ!?』
それは返答というより支離滅裂な大騒ぎだとも言えたが、エクスプリカはその声……ユリノ艦長の声に、猛烈な安堵を覚えた。
彼女は無事だったのだ。
そして背景に聞こえる声から、ユリノだけでなく、他の〈じんりゅう〉クルーらの無事も確認することができた。
だがその通信の発進元である、どう見ても〈びゃくりゅう〉にしか見えない航宙戦艦が、艦首にボンとくっついた巨大航宙艦の正体については皆目わからなかった。
[アア……ゆりの無事ダッタンダナ、イッタイ何ガドウナッテイ――………ア………アア~ソウイウコトカ! ……ナンテコッタ!!]
エクスプリカはキャピタンとかいう【ANESYS】の亜種みたいな統合思考体から送られてきた圧縮データ転送により、瞬時に状況を理解し、思わず声に出して呻いた。
〈じんりゅう〉が突入した【ザ・ウォール】を作った異星遺物【ウォール・メイカー】は、ある種の超高性能
それが墜落破壊された〈じんりゅう〉ふくむSSDF航宙艦の構成物質と情報を元に、新たに〈じんりゅう〉他の航宙艦を作り直したらしい……自分も含めて……。
エクスプリカは自分が自分ではなく、破壊された自分のコピーなのではないか? という疑問のループに陥りかけたが、それどころではなく逼迫した状況を把握したことによって免れた。
今、人類は未曽有の危機に瀕しているらしい。
しかもそれを止められるのは、どうやら自分達だけのようだ。
エクスプリカは、どうせ目覚めるならもっと後が良かった……と思った。
ケイジ達が見守る中、生まれ変わった(?)〈じんりゅう〉がその姿を出し切ると同時に、その後方で縮小を続けていた【ウォール・メイカー】が変容した巨大リングは、鏡のような銀色から灰色へとじわりと変色すると、次の瞬間塵となって霧散してしまった。
驚くべき事態であったが、ケイジ達はそれよりも墜落し、原子にまで分解されたはずの〈じんりゅう〉が、再び目の前に現れたことに気をとられてそれどころではなかった。
いかに100隻以上味方艦が増えたのだとしても、敵の総数に対してはあまりに少ないことに変わりはないはずだった。
だが、かつて沈んだはずの味方艦と共に〈じんりゅう〉が帰ってきた。
その事実は、これから決死の攻撃作戦を行おうとするケイジ達にとって、他の何にも勝る希望に違いなかった。
「これで1000対1が1000対100になったな」
「カオルコ少佐、正確に言えば、1万対1隻が1万対112隻になっただけなのです……あくまで艦艇数でだけで言えば……の話なのですが……」
「まぁまシズ殿、水を差すよなこと言わな~い」
「ねぇルジーナぁ……あれ……ホントにボクらの知ってる〈じんりゅう〉で良いんだよね? ね?」
「凄い……ユリノ艦長、各艦のAIから状況確認の問い合わせが飛び交ってましたが、キャピタンの説明で全艦、一瞬で納得してくれたみたいです」
「それってつまり……【ウォール・メイカー】が再生してくれたのには人間は含まれていないってこと?」
「そのようです艦長、【ウォール・メイカー】内に入った段階で生存者がいなかったからなのか、その能力が無いからなのかは不明ですが……」
「え? ……って~ことは副長、もしかしてもしかするってぇと生存者がいた場合は、そいつらってひょっとしてゾンビ的な……」
「フォムフォム……クィンティルラよ、それ以上考えない方が良いと思う」
〈じんりゅう〉復活の喜びが安堵へと繋がったのか、クルー達が一斉に口を開き始めた。
だがそんな中、その直前まで大いにしゃべりまくっていた人間が沈黙していた。
ついさっきまで立ち上がってまでして【ダークタワー】攻撃を訴えていたフォセッタ中佐は、今は肩を落としてうつ向いていた。
そのことに気づいてしまったケイジは、つい心配げに彼女の方を向いてしまい、顔を上げた彼女と目が合ってしまった。
フォセッタ中佐は、一瞬ケイジに顔を見られたことに驚き、続いて恥ずかしそうな顔をした後、ケイジに対し“心配するな”と言うように笑顔らしきぎこちない顔を見せると、それ以前に流した涙を拭ってから再び立ち上がった。
ケイジは見逃さなかった。
再び立ち上がり、大きく息を吸い込んで何かを言おうとした彼女の顔に、一瞬深い悲しみの表情が浮かんでいたことに。
それでも彼女は立ちあがったのだ。
「…………諸君!」
突然、ひときわ大声で呼びかけたフォセッタ中佐の声に、ブリッジの他のクルーは沈黙した。
フォセッタ中佐は続けた。
「諸君……アンタ達は…………今すぐこの艦から出ていけ!」
結局彼女は、悲し気な表情を隠しきれずにそう告げた。
「スキッパー、キャピタンを通じての周辺の全SSDF航宙艦AIへの協力要請は済んでるか?」
[はいフォセッタ、全艦の搭載AIは、キャピタンを通じて知らされた諸々の状況を鑑みた結果、それぞれの判断により【ダークタワー】攻撃作戦への協力を快諾しています]
「よし! ただちに全艦へ通達、これより【ダークタワー】攻撃作戦の指揮は、VS802‐〈じんりゅう〉が行う!
以後各艦は〈じんりゅう〉の指示に従って行動されたし!」
一気呵成に指示を繰り出しはじめたフォセッタ中佐に、ケイジ達は呆気にとられる他なかった。
「キャピタンはただちに艦を〈じんりゅう〉に接舷させてくれ!
…………ユリノ艦長、そういうことだ…………」
フォセッタ中佐は指示を繰り出しながら、艦長席のそばまで歩いてくると告げた。
「悪いがその席を代わってもらえるか、そこは自分の席だ……忘れがちだけど本来は…………な……。
これより自分がこの艦の指揮を引き継ぐ! アンタたちはアンタたちの艦、〈じんりゅう〉で行け!」
「フォセッタ中佐…………」
ユリノ艦長は突然のフォセッタ中佐の宣言にしばし絶句したが、フォセッタ中佐の表情を見て、全て察したようだった。
ユリノ艦長はすぐに艦長席から降りると、フォセッタ中佐に向き合って敬礼した。
「ありがとう……フォセッタ中佐」
ユリノ艦長は辛うじてそれだけフォセッタ中佐に告げた。
言いたいことは沢山あっても、言えることは少なかったのだ。
「エクスプリカ、聞いてる? 今すぐ〈じんりゅう〉をこの艦〈アクシヲン三世〉艦首上部の〈びゃくりゅう〉ユニットに横づけして、今から私達がそっちに移乗する!」
[了解シタ、モウナンデモ良イカラ早クシテクレ!]
振り返るなり矢継ぎ早に繰り出されるユリノ艦長の指示に、エクスプリカのどこか懐かしい投げやりな返答が返ってきた。
「みんな! 行くわよ! 急いで!」
ユリノ艦長が改めてブリッジを見回しながら〈じんりゅう〉クルーに告げた。
その言葉が意味することに、すでに皆気づいているようだった。
まず席を立ったクルーのうち、カオルコ少佐がフォセッタ中佐の前に立つと、いきなり彼女をぎゅっとハグした。
「ありがとうフォセッタ……」
頬を合わせるようにしてカオルコ少佐がささやくと、一瞬固まっていたフォセッタ中佐は「ど、どういたしまして……」と答えながらおずおずと抱き返した。
つぎにルジーナ中尉に飛びつくように抱き着かれ、ミユミがすでに半泣き状態でハグしてきた。
「さ……さぁ次は誰だ!? 来るならどんと来~い!」
今それどころじゃないのに……と明らかに彼女の顔は焦っていたが、同時に全クルーとこうして別れを惜しむことからは、もう絶対に逃れられはしないと悟ったフォセッタ中佐は、ほぼヤケクソ気味に叫んだ。
次にフォセッタ中佐はおずおずと前に立ったシズ大尉を、大いに腰を屈めて抱きしめてあげ、続いてフィニィ少佐をつま先立ちにさせながら強く抱きしめた。
サヲリ副長が珍しく積極的にフォセッタ中佐を抱きしめると「この新しい左腕、大事にします」と囁いた。
抱っこするようにしてハグしたクィンティルラ大尉に対しては「フォロミラ姉さんをよろしくお願いします」と囁くのが聞こえた。
姉妹であるフォムフォム中尉とフォセッタ中佐はひと際長い時間、抱きしめ合って別れを惜しんだ。
ケイジは次々とフォセッタ中佐が皆と別れのハグを交わす中、自分の番が来ることを、かつて感じたことの無い種類の緊張感と共に待っていたのだが、情け容赦なく自分の番は訪れた。
「あ……俺は……」
フォセッタ中佐は意外なほどに躊躇なくケイジを抱きしめてきた。
ケイジは意外な喜びと、得体のしれぬ恐怖と共にそれを受け入れ、つい先刻、アヴィティラのホログラムに抱きしめられた時と同じように、両の手をペンギンのようにそっくり返らせた。
そして、今どうして俺は
「……ケイジ三曹、君には助けられた……君の作った食事は上手かったぞ……他にも色々と……」
「その……どういたしまして」
耳元でささやくフォセッタ中佐になんとか答える。
もうフォセッタ中佐は、今それどころじゃないと焦るのを諦めたようだった。
ケイジは今、彼女にしてあげられることは無いかと必死に考えたが、何も思いつかなかった。
自分達が〈アクシヲン三世〉を出ていく……それは彼女との永遠の別れとほぼ同義と言って良かった。
そして同時に、再び彼女がこの艦で一人ぼっちになるということでもある。
それもとても長い長い期間、彼女は一人で過ごす未来が待っているはずなのだ。
絶対とは言わないまでも再会できる可能性は、極めて低い。
フォセッタ中佐はその決断を自ら行ったのだ。
ケイジは抱きしめる彼女の身体が微かに震えているのを感じ、なんて優しくて勇気のある女性なのだろう……と思うしかなかった。
そのことを皆分かっているから、こうしてこのクリティカルなタイミングであっても、時間を割いて別れを惜しむことにしたのだ。
「さてケイジ三曹、行きがけの駄賃を所望するってわけじゃないが……自分の人生の経験値アップに協力してもらえるか?」
「はい?」
「いったい何をすれば……?」と尋ねる前に、ケイジは襟首をつかんで顔を引き寄せられると唇をふさがれていた。
一瞬、まだブリッジから出ていかずに、ハッチ前で待っていたクルー一同の「あっ!」という声が聞こえた気がする。
「ふむ、なるほど! こういう感じなんだな!」
ケイジが我に返ると、唇を離したフォセッタ中佐が、ロマンもムードも無く拳で口を拭いながらコメントした。
「まぁ許せ。なにしろこの機会を逃したら、自分にはいつ経験するチャンスがあるか分かったものではないからな! はっはっは」
「……」
ケイジは返す言葉が出てこなかった。
今のフォセッタ中佐には、怖いものなど無いのかもしれない。
「ケイジ三曹、彼女達のこと……頼んだぞ!」
フォセッタ中佐は最後にケイジの両肩をベシベシ叩きながらそう告げた。
ケイジはただ、ブリッジの出口で待つ他のクルーとユリノ艦長の視線が、まるで対宙迎撃レーザーのように鋭くて、顔に穴が開くんじゃないかととてもとても怖かった。
「さぁ艦長、アンタが最後だ」
どこか晴ればれとしたフォセッタ中佐が、立ち尽くすユリノ艦長に自ら進んで抱き着いた。
「フォセッタ中佐……わた…………私は……」
ユリノ艦長は顔を真っ赤にしながらも、観念して彼女を抱きしめ返した。
「ありがとう……ありがとうフォセッタ中佐……」
「ああ、もう充分聞いた、さっきも聞いた。もう分かったってば…………それに、礼を言うのはこっちの方さ……」
他に言葉が出てこないユリノ艦長に、フォセッタ中佐がしみじみと答えると、ゆっくりとユリノ艦長の肩をつかんで体を離した。
「さぁ行け! 〈じんりゅう〉がアンタ達の帰りを待っているぞ!」
フォセッタ中佐が泣きそうなのに、どこか晴れやかな笑顔で告げると、ブリッジの出口で固まって待っていたケイジ達は、もうこれ以上ここに留まる口実も無く、走り出すしかなかった。
その背中を、フォセッタ中佐が見えなくなるまで見送っていたことを、ケイジは振り向かなくとも確信していた。
「このすけべぇものが……」
「……浮気者」
「まぁ~ったく女ったらしですなぁ……」
「……ニェット」
バトル・ブリッジから〈びゃくりゅう〉の舷側エアロックへと走る最中、一部クルー達から言われなき罵倒をされた気がしたが、ケイジは黙っておいた。
言い訳したいことは山程あるが、今はそれに割く時間をはない。
「エクスプリカ、接舷完了まであとどれくら――わっ!」
ユリノ艦長が〈じんりゅう〉を操舵してるエクスプリカに尋ねている途中で、突然襲ってきた軽い衝撃に驚いた。
[接舷ナラ丁度イマ完了シタ。ぼーでぃんぐ・ちゅーぶ伸長中、えあろっくデ待機サレタシ。
移動ハ速ヤカニ終エテクレ。ココハノンビリ移乗デキルヨウナ宙域ジャナイ]
エクスプリカから通信を聞きながら、ケイジ達は振動と共に〈びゃくりゅう〉ユニットの右舷舷側と、〈じんりゅう〉の左舷舷側とかドッキングアームで繋がれたことを悟った。
ケイジは今だ周囲に【ザ・ウォール】の破片が浮かぶ最中での、航宙艦同士のドッキングと、これから行う移乗に不安を感じたが、同時にフォセッタ中佐との別れを惜しんだ時間が、何か致命的な時間のロスになったわけではないことを知り安堵した。
仮にさっさとバトル・ブリッジを飛び出たところで、接舷が完了するまで何もできずにただ待っているだけだったのだ。
[ぼーでぃんぐ・ちゅーぶ伸長オヨビ接続完了。安全確認終了。ゆりの達ハ速ヤカニ移乗開始サレタシ]
エクスプリカの声と共に、ヘルメットを展開させ待機していた
ケイジ達の眼前の舷側エアロックのハッチが開き、〈じんりゅう〉へと続く長い直線通路が現れた。
当然ながら、ここから先〈じんりゅう〉艦内までは人口重力は働かない完全な無重力だ。
一応UVシールドで守られているとはいえ、蛇腹状ストローを伸ばしたようなボーディング・チューブには、当然装甲能力は皆無に等しく、ついでに言えば、今〈じんりゅう〉と〈アクシヲン三世〉は秒速約1000キロで慣性航行中である。
慎重に慎重を重ねて、じっくりと移乗できるシチュエーションでは無かった。
というか滅茶苦茶危険で命がけだった。
一瞬、ケイジ達は互いに顔を見合わせた。
「なんだ? ちゃっちゃと〈じんりゅう〉に帰ろうぜぇ!?」
クィンティルラ大尉が最初に口を開くと、ケイジはどういうわけか、思わず笑い出してしまった。
そうだ、我々はこれから
「行きましょう! みんな!」
ユリノ艦長が状況にそぐわぬ微笑みを浮かべながら告げた。
皆で離れないように手を繋ぎ、一列になってボーディング・チューブに飛び込み、慣性で一気に通過する。
恐ろしく危険な約100mの無重力回廊を、30秒程かけて〈じんりゅう〉側舷側エアロック内に入った瞬間、再び働いた人口重力に、ケイジ達はふぎゃと短い悲鳴を上げながら、床に重なって崩れた。
何故か一番下になっていたケイジは、思わず「重い……」と呻いてしまい他の皆から驚愕と殺意の目で睨まれてしまった。
同時に通過し終わったエアロックのハッチが自動閉鎖され、振動と共に、〈じんりゅう〉と〈アクシヲン三世〉のドッキングが解除されたことが分かった。
ケイジ達はとうとう〈じんりゅう〉へと帰還を果たしたのだ。
ケイジ達は本能的に壁にかけられた舷窓替わりの外景ビュワーから、遠ざかっていく〈アクシヲン三世〉の姿を見送った。
短い間だったが自分達の家となった艦との、永遠の別れの瞬間だった。
だが、もうこれ以上センチメンタルに時間を割いている場合ではなかった。
ケイジ達の視界に、それまでほぼ
[オ前タチ…………オカ――]
「エクスプリカ! ただいま! 状況はどうなってる!?」
ユリノ艦長と共にどやどやと〈じんりゅう〉バトル・ブリッジに駆け込むなり、ユリノ艦長はエクスプリカに尋ねた。
エクスプリカが何か言いかけ、遮られてヴ~ンと寂し気に呻いた気がしたが、今はそれどころではなかった。
[ぐぉいどノ発射シタ実体弾群ガ、間モナク艦首方向200キロヲ通過スルゾ。
予想通リ、実体弾群ハ分裂シテ、【ザ・ウォール】破片群ヲ蹴散ラタシテ排除スルコトガ目的ナヨウダガ、アマリ効果ハ無イト思ワレル]
気をとりなおしたエクスプリカがユリノ艦長の問いに答えつつ、
ケイジは自分達をとりまく状況を再確認し、改めて恐怖すると同時に、あまりにも違和感が無いことに遅れて気づき驚いた。
この〈じんりゅう〉は完璧なまでに〈
【ザ・ウォール】内で残骸となった〈じんりゅう〉内に入った時の、バトル・ブリッジの惨状の後などどこにも見つけられなかった。
その上、操舵席と電測席の後ろには、ケイジが取り付けたクィンティルラ大尉とフォムフォム中尉用の予備の操舵・電測席が、今もちゃんとそこにはあった。
――やっぱこれは〈じんりゅう〉なんだ……。
ケイジはその結論に達しようした……その直前で、重大な事実に気づいた。
ちょっと待てよ……と。
――…………だとしたら……この艦の主機関は何で動いているのだろう?
ケイジは機関コントロール席で、コンソールに表示される諸々の数値を見ながらその疑問に至った。
なぜなら、元々〈じんりゅう〉が積んでいたオリジナルUVDは、今〈アクシヲン三世〉艦首の〈びゃくりゅう〉に積んであるはずだからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます