第2話 ステラの少女

 東羽珈琲宮篠台みやしのだい店は、私鉄宮篠台駅から五分程歩いた場所にある。繁華街とは反対側の改札を出てバスロータリーの外周をぐるりと半分歩くと、道路を挟んだ向こう側に大きな公園がある。宮篠台の駅前では有名な公園で、中央の大きな池を囲んでアスレチックやテニスコートも備えている。昼間こそ子どもや犬を連れた年配層で賑わっているが、夜になれば鬱蒼と生い茂る樹木で園内は暗闇に包まれ、夜間に限っては正直治安が良いとは言えない場所らしい。その公園を左手に道路を直進すると宮篠台店の看板が目に入った。

 交差点の角に位置する敷地は、その四分の三が駐車場になっており、店舗は敷地の隅に追いやられるように建っていた。アンティークさとモダンさを併せ持つ白い煉瓦造りの外観が東羽珈琲の特徴だ。宮篠台店は三階建てで一階に注文カウンターと厨房、禁煙席が三十席。二階に喫煙席が四十席。三階が事務所兼従業員の休憩室となっている。昨今の嫌煙ブームから言えば客席の配分が逆転していると言えるが、のんびりと読書や仕事をする目的で利用する客が多いため喫煙席を多く設けている。カウンターで注文と支払いを済ませ、商品を持って席につく、所謂ファストフードタイプのカフェでは総席数七十席はかなり規模が大きい方と言える。元々別の目的で建てられた物件をリノベーションしてカフェに改装したらしい。深い茶色の格子で囲われた窓からは中の様子が窺えず、混雑具合はわからない。だが駐車場に止められた車の数を見る限りではかなり混雑しているのではと思えた。

 日和の住むアパートからは電車で三十分ほどの距離だ。快速なら二十分で到着できる。今日は店舗の現状確認を兼ねてアルバイトリーダーである主婦の西浜と簡単なミーティングを予定していた。とはいえ店舗は今、社員不在の状態だ。辞令では来週月曜の日付で着任となっているが、明日からでも店に立てるように備えなければならないだろう。

 石造りの短い階段を上がり、木製の重苦しい扉を引いて店舗の中に足を踏み入れた。瞬間、日和の体が喧騒に包まれた。目の前にサラリーマンらしきスーツの背中が立ちはだかり、衝突しそうになって足を止める。それはカウンターの前から続く行列の最後尾だった。昼の忙しい時間はとうに過ぎているはずだ。にもかかわらずレジからは十人ほどの列が伸び、待たされるストレスを露わにしながら注文を待っていた。日和は列の横を回って足早にカウンターへ近づき、レジを対応している女性に隙を見計らって「あの」と声をかけた。東羽珈琲の店舗はどこもレジ一台で注文を受けるシステムだ。昨今のファストフード系カフェならばオーソドックスなタイプである。レジに立っていたのは中年の女性で年齢は四十代後半といったところだろうか。きっちりとしたメイクで身だしなみもしっかりしており、てきぱきと客を対応しているが表情からは焦りと疲れがにじみ出ていた。左胸のネームプレートに西浜と書かれている。西浜は日和に向かって申し訳なさそうな表情を見せて言った。

「お客様申し訳ございません。お並びになって少々お待ちいただけますか」

 日和は両手を前に広げて西浜を制止した後、顔を近づけて小声で囁いた。

「高坂です。わたしのユニフォーム、納品されていますか」

 日和のその言葉を聞いて西浜の表情が途端に和らいだ。まさに地獄に仏の表情だろう。

「三階の事務所です。入って右手のロッカーの前にダンボール箱があります」

 西浜はイライラを募らせる客たちに気を遣いながら早口で日和に耳打ちした。日和は小さく頷くと小走りで一階のホールを駆け抜けて、二階へと続く階段を上がった。踊場を左に折り返して数段上がると正面に三階へと続く階段、右手に喫煙席のあるホールへと入る入口がぽっかりと空いていた。真っ直ぐ三階へと続く階段へ向かいながら、横目で喫煙席を確認した日和の足を一瞬の違和感が掴んで動きを止めさせた。日和の目の前に広がる四十席の喫煙席。全体を木目調のセットで統一した東羽珈琲らしい落ち着いた雰囲気のホール。臙脂色のビロードが張られたソファ。コーヒーと食事が置かれてもパソコンや参考書を広げられる広めのテーブル。柔らかな光を放つ白熱色の間接照明。今から午後のティータイムを迎えるはずの喫煙席。その全てが、静寂で埋め尽くされていた。誰一人、着席していない。一階の喧騒の中から駆け上がってきた日和に、その静寂は最大まで捻ったボリュームダイアルを勢いよくゼロに絞ったような急激な環境の変化を覆いかぶせてきた。換気のためだろうか、半分開かれた窓から入り込む風にブラウンのカーテンがゆらゆらとなびいていた。空間の中でそれ以外に動きがあるものはなかった。この状況に納得のいく仮説を頭の中になんとかして導き出したかったが、今は一刻を争う状況だ。欝々とした気持ちを抑え込んで、日和は三階の事務所へと続く階段に足をかけた。

 事務所の扉はナンバープッシュ式の鍵が据え付けられていたが開錠されていた。不用心だが余裕のなさは十分に伝わってくる状況だった。二十畳近い休憩室兼事務所は六人掛けのダイニングセットの他にソファとガラス張りのローテーブルで組まれた応接セットまであった。ほとんどの店舗が休憩室兼資材倉庫という狭い小部屋で休憩をとっていることを考えるとかなり贅沢な造りであった。この広さなら閉店後にちょっとしたパーティーでもできそうなものだ。アルバイトも喜んで店舗に顔を出しそうなものだが、定着率が悪いというのだから日和には不思議でならなかった。右手に小さいながらも鍵付きの個人ロッカーが並び、ユニフォームはすぐに見つかった。箱を開けて社員用のシャツとスラックス、ネクタイ、カフェエプロンを適当に掴んで更衣室に入った。

二年ぶりに袖を通す東羽珈琲のユニフォームは新品なのに懐かしい匂いがした。スラックスは裾を上げていないため丈が合っていないが仕方がない。キレイに捲り上げて見た目だけ整える。更衣室を出て、休憩室の奥から続く小さな扉が半開きになっていることに気が付いた。そっと中をのぞくとそこが事務所だった。白いデスクの上にデスクトップパソコンと複合機が置かれ、ファイルが無造作に散乱していた。ゆっくり物色している暇はないのでバッグをイスの上に投げ出し、足早に休憩室を後にした。

 階段を駆け下りて一階に舞い戻る。途中、がらんとした二階席が再び視界に入ったが気にしている余裕はなさそうだ。

「お客様大変お待たせして申し訳ございません!すぐにご注文をお伺いいたします!」

 カウンターの中に入って素早く手洗いを済ませる。初めて立つカウンターでは資材の配置も全くわからない。だがそれ以上に、この状況をどう打開するかという戦略を考える思考回路が日和の中でフル回転し、やってやる、という使命感と高揚感で満たされていた。レジに並ぶ客数はさきほどより減っているように見えた。ペーパータオルで両手の水気をふき取りながら状況把握する。戦力は何人だろうか。カウンターには主婦の西浜一人しか見当たらない。フードメニューを調理するバックの厨房に人の気配がある。聞こえてくる音から察するに一人だろう。二人でこの状況はさすがに厳しいものがある。日和は冷静に自分が入るべきポジションを検討した。今販売しているフードのレシピが未確認な以上厨房のヘルプはむしろ邪魔になるだろう。レジのキー配列も把握していない状態では一人あたりにかかる時間も長くなってしまう。今の自分にできることは比較的簡単でレシピの変更点も少ないドリンクメニューをフォローしながらお客様に謝罪しクレームを回避すること。そう決めて西浜の後ろに立った。

「すみません。お待たせしました」

 小声で西浜にそう告げると、レジに登録された商品を見ながら手探りでドリンクを作り始めた。定番商品のブレンドコーヒーとアイスコーヒー、カフェラテ程度はすぐに勘を取り戻した。手空きで冷蔵庫の扉を開けて原材料の配置をざっくりと把握していく。幸いにも持ち帰りの客が大半だった。グラスとカップの洗浄が間に合わなくなる心配はなさそうだ。商品を袋に詰めて手渡しながら、精一杯申し訳ない表情を作って謝罪し手渡していく。相談センターに勤務していた日和にとって謝罪は得意分野だった。中にはひったくるように商品を受け取って怒りの形相で店を後にする者もいたが気にしている暇はない。そうこうしているうちに厨房から出来上がったフードメニューが出てきて取り揃え用のカウンターに並べられていく。ドリンクを揃えながら暖簾のように連なったオーダーレシートを確認して商品を突き合わせる。とてもじゃないがホールに出て商品を届けに行く余裕はなかった。一度席についた客をカウンターから呼び戻すのは失礼極まりないと心得ていたが、長時間待たせるよりは良いだろうと判断した日和が、息を吸って「お待たせしました」と言いかけたとき、ホールをゆっくりと歩く女性スタッフが視界に入った。よかった。どうやらもう一人いたようだ。混雑する一階ホールを整えていて気付かなかったのだろう。アルバイトのユニフォームだが首元に花柄のピンクのスカーフを巻いている。

ステラだ。

 ステラはアルバイトの中でも接客サービスのエキスパートに与えられる称号だ。この状況でこれ以上ない心強いスタッフだった。混雑するホールを、落ち着いた所作でホールを歩いていた。

「商品のお届けお願い!」

日和がホールに向かってそう叫ぶと、レジ対応をしていた西浜が驚いた様子で「え?」と日和を振り返った。

「わたしですか」

「あ、いえ、ホールの彼女に……」

 目を離したの一瞬だったはずだ。ほんの一時西浜と目を合わせた日和が再びホールに視線を戻したとき、先ほどまで数メートル先を歩いていたはずのステラの姿は、どこにもなかった。ピンクのスカーフを目印に背伸びしてホールを見渡す。階段に目を向けたとき二階へと消えて行くスカーフの端だけが目に入った。

「ちょっと……」

 この状況で誰も使っていない二階席に何をしに行くというのだ。空気が読めないにも程があった。呼び戻そうとカウンターから外へ出ようとした日和だったが、レシートを片手に怪訝そうな表情で向かって来た男性と鉢合わせになってしまった。

「けっこう待ってるんだけど。まだ?」

 男性客は購入レシートをひらひらと日和の目の前で振りながら商品を催促してきた。

「あ、申し訳ありません。すぐに確認してお届けいたします」

 結局ドリンクを作る合間を縫って日和が商品のお届けを行くという形で一時間が過ぎた。そして日和が見たステラの少女がホールに戻ってくることは二度となかった。

 日和と西浜が膝を突き合わせて話しができるようになったのは、午後三時を少し過ぎたころだった。閉店まで勤務するスタッフ二名が到着し、店内も落ち着きを取り戻し始めたころになって、疲労困憊の二人は崩れるようにソファへと腰を下ろした。一息ついて、西浜は思い出したように姿勢を正し、深々と頭を下げた。

「ありがとうございました。本当に助かりました」

「とんでもないです。こんなに混む時間だと思ってなかったので、ちょっとびっくりしましたけど」

「うちは大体十一時半くらいから混み始めて、今くらいの時間までが一番忙しいんですよ。本当はもう一人いるはずだったんですけど」

「キャンセルが出たんですか」

「十二時から来るはずだったはずのフリーターの子が来なくって。何度か電話したんですけど、結局出てくれませんでした」

 事務所のデスクに散乱していた書類はアルバイトの連絡先を控えた名簿だった。慌てて連絡をとろうとしたが結局つながらず、諦めて戻ったと西浜は語った。アルバイトが急にこなくなる、通称「ばっくれ」と呼ばれる現象は良くないことではあるが珍しいことでもない。仕事が自分に合わず辞めたいと思っても、自ら応募して面接を受けた手前、辞めると言い出せず逃げるようにいなくなることはよくある。本人に問題がある場合がほとんどだが、そういう事態が連続して起こると職場環境を疑われ改善を促されることもある。

「いつもは四人で回しているのですか?」

 日和がそう尋ねると西浜は少し首を傾げた。

「いえ、三人ですね。レジが一人、厨房が一人、あとは高坂店長が入ってくださったフリーのポジションが一人です。もともとの予定では、わたしがフリーで動いて二人のフォローをするはずだったのですけど」

 店長と呼ばれることにまだ抵抗のある日和だったが、西浜の言葉を聞いて背筋に冷たい空気が流れたような感覚に陥った。

「えっと、ホールにステラの子が一人、いませんでしたか」

 日和の問いに西浜は再び頭を傾げて、すぐに首を横に振った。

「まさか。三人だったらあんなことにはなりません。高坂店長にはわたしたちの仕事ぶりを観察して頂きながら、お店の中をゆっくり見てもらおうと思っていたのですから。それに、今うちにはステラになれるような子はいませんよ」

 何かの見間違いだったのだろうか。ステラが着用するスカーフは特徴的なピンクの花柄だ。二年ぶりとはいえ、三年間現場に立ってきた日和には、見間違えるはずがなかった。ホールのどこにいてもすぐに見つけられるように、あのデザインになっているからだ。偶然似たような服装の客がいたのだろうか。だが、商品も持たずに、誰もいない二階の客席へ吸い込まれるように消えていく光景は客の動きとしてはあまりにも不自然に感じた。そして何より、二階席のあの状況だ。もっと優先して話し合うべきことが山ほどあったが、それを聞かずにはいられなかった。

「あと二階の客席を誰も利用していなかったようですけど」

 西浜は「ああ」と小さく漏らすと視線を日和から外して床に落とした。キレイにワックスがかけられた白い床を通して、真下にある二階席を見通しているようだった。

「誰もいなかったんですか。今日は」

「あまり人気がないのですか。キレイに整えられているし、居心地が悪いようには感じませんでしたけど」

「いろいろ言われてますけどね。住宅街で年配のお客様が多いから階段を嫌って上に行かないとか。荷物と商品を持って階段を上るのが面倒だとか。二階席のあるお店ではよくあることなんですって」

 西浜の言うことは一応筋が通っていた。そういう客層なのだろう。とはいっても一階と二階であれだけの差が出るものだろうか。頷きながら聞いていた日和だったが、西浜はその後に「ただ」と続けた。

「わたしはほかにも何か理由があるんじゃないかと思ってます」

 西浜の発言に日和の中でステラの少女が蘇る。日和の中のもう一人の日和が、そんな馬鹿馬鹿しいことを、と一瞬その思考回路を払拭するが、完全には拭い去れない何かが残った。

「上手く言えませんけど、あの二階席はちょっと変なんです。もちろんお客さんが入ることはあるんです。でも、すぐに帰っちゃうっていうか。喫煙席でゆっくり時間を潰したいはずなのに、禁煙席のお客さんよりも回転が速いって感じです。わたしも最初は変だなって思ってたんですけどね。今はなんとなくわかる気がするんです。なんかこう、長居したくないっていうか」

 実際、あの喫煙席で西浜が何かを見たということはないそうだが、接客業を長く続けていると空気の変化には敏感になる。西浜なりに何か感じるものがあるのだろう。日和自身は幽霊とかお化けのような存在を真っ向から信じているわけはないが、否定しているわけでもない。ただ、なんとなく居心地がいいとか、ここには長居したくないとか、そういう空気感のようなものが存在することは知っていた。アルバイトが長続きしない職場環境。客の居着かない客席。前任店長須田の死。ステラの少女の影。日和が知っている東羽珈琲の店舗とは違う何かがこの店にはある気がした。

 仕事に直接関連のない気がかりばかり出てきてしまったが、西浜には中学生になる息子がいるらしく、夕飯の支度があるため十七時には家に帰らねばならないということだった。辞令の着任日付以降の勤務に関しては、もともと予定されていた須田の勤務スケジュールをそのまま引き継ぐことにした。社員にも決められた休日数がある。店長が休むということは、その日は朝から晩までアルバイトのみで営業することになる。アルバイトにも学業や家事など本分があるわけなので、今からアルバイトの勤務スケジュールを大きく変更するのは申し訳ないというのが第一の理由だ。業務に必要な帳票類の保管場所や、パソコンと金庫の暗証番号を教えてもらい、最後に店舗の鍵とセキュリティカードを受け取った。スタッフの不安を解消するため、日和自身が早く店舗になれるために、休日も時間があれば店舗に顔は出すこと、何かあればすぐに携帯に電話をしてほしいことを伝え、業務に関する簡単な引き継ぎは終わった。

 帰り支度を終えて事務所を出ようとする西浜が、思い出したように足を止めて日和に向き直り、頭を下げた。

「明日からよろしくお願いします。今いるアルバイトたちは須田店長に採用してもらった子ばっかりです。須田店長には皆よくしてもらっていて。店長が変わるのは初めてのことですから、戸惑っている子も多いと思います。理由も理由ですし。高坂店長も急なことでいろいろ大変だと思いますから、何かあれば何でも相談してください」

「ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」

 互いにそう挨拶すると、西浜は「お先に失礼します」と言って店舗を後にした。広い休憩室に日和だけが残された。先ずは現状の確認からと思い、事務所に入って帳票類や業務日誌のチェックをすることにした。前任の須田とは直接面識はなかったが、事務所の中を見る限りとても几帳面な性格だったのではないかという印象を受けた。男性店長一人で運営していると比較的事務所は散らかりがちで、日和も新入社員時代はよく事務所と休憩室の整理と清掃をしていたものだ。自分が在籍していた店舗と比べると、帳票類も必要な物は座ったまま取り出せる位置に置かれているし、デスクの引き出しに収められた文具類もきちんと整理整頓されていた。これなら日々の業務で困ることはなさそうだと判断し、明日以降の人員状況を確認して帰宅することにした。

 階段を下りて二階の喫煙席を恐る恐る覗き込んだ。しん、とした空気が充満し着席している者は誰もいなかった。時間は十八時に近かった。都内の駅前にある店舗なら帰宅客で比較的忙しい時間だ。住宅街に近い立地のため夕飯時は家で過ごす者が多いのだろう。そう自分に言い聞かせて足早に一階へと降りた。

 カウンターにいた大学生らしい男性が日和に気づいて顔を向けた。

「お疲れ様です。さっきはありがとうございました」

 さきほど厨房でフードを担当していたのがこの人物のようだった。ネームプレートには白井と書かれていた。

「気にしないで。早く慣れるように頑張るから。よろしくね」

「いろいろ大変だと思いますけど、よろしくお願いします」

 白井は疲れた表情で小さく頭を下げると厨房の中へ帰って行った。いろいろ、とはどういった意味だろうか。根深い問題があるとしても、新人店長に対してアルバイトは口を開きたがらないだろう。まずは店舗での業務にいち早く慣れて、信頼関係を築かなければならない。それまでは須田が残した書類を調べながら問題を探っていくしかないだろう。店長として勤務する以上、収益も上げなければならない。やることは山積みだ。外へ出て店舗を振り返ると、誰もいない二階席の照明が夜の闇へゆらゆらと漏れ出ていた。

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