二十一話・激化する戦い~まだ有利な状況ではあるけど、決して油断は出来ないよ!~
再び現在へと戻る。
俺は、
「
「こちらこそ!」
「おう!」
二人と合流する。役割は事前に決めてある。情報収集とサポートが得意な「
「すいません、
「構わないよ。敵の攻撃くらい自分でなんとかするさ。昨日今日乗ったひよっことは違うんだ、任せときなって!」
自信満々だ。やはり、
「
「思った以上に敵がばらけて孤立したままだ。小隊が上手い具合に機能すると思うよ」
都合が良い。早めに動いた方が良さそうだ。まずは、全体に指示を飛ばす。
「皆さん、この段階までくると、混乱し動きを止めている機体は放置して構いません。冷静さを取り戻し、動き出している機体から潰して下さい。動いている味方がやられたとなれば、停止している機体のパイロットはより混乱します。今だに立ち直れていないのがその証拠です」
これで少しは相手が立ち直るのを遅らせる事が出来るだろう。さて、指揮を執る者があまり前線に行ってはならない。だが、機体を遊ばせている余裕もない。俺もいかねばならない。
「それじゃあ二人とも、俺に付いてきて!」
「いったい何が起こってるの⁉」
まずは、味方に合流を呼びかける。しかし、応答してくれる数は少なかった。連絡がついた者も次々と撃墜されていく。状況が非常に悪い。早く残りの戦力を集結させ、体制を整えなければならない。
「
「
「分かりました!……大変です、
これ以上何かあるのか⁉もう私の許容範囲を超えている。
「副官の一人が、敵の指揮官らしい機体を見つけたらしく、仲間を集めて突撃すると言ってます!」
「今すぐ止めさせて!」
冗談ではない。そんな中途半端な戦力で敵の指揮官に届くとは思えない。貴重な戦力がただ無駄に散るだけだ。
「駄目です!通信を遮断されました!」
仕方がない。そいつらは見捨てるしかない。
「近くにいる僚機は迎えに行ってあげて!だけど、けっして接敵しては駄目!」
この状況で、どれだけ味方を救える事が出来るのだろうか…難しくとも、やるしかなかった。
「
アタッカーは、目の前の敵を止める事を考えればいい。後はシューターが決めてくれる。
シューターは、ただ止まった敵を狙い撃てばいい。自分自身は、ディフェンダーが守ってくれる。
ディフェンダーは、コマンダーから指示が入った敵を警戒し、ただ味方を守るだけでいい。後は味方が敵を倒してくれる。
一番やる事が多いと言われたコマンダー。俺の役割だが、意外と楽である。次の攻撃目標と、こちらを狙ってる敵機は、小型索敵艇の管制室からデータを送って貰える。なので、横槍が入りそうな時はディフェンダーと一緒に警戒。周りに攻撃目標以外の敵機がいない時は、アタッカーとシューターの援護に入ればいい。
実際にこの作戦をやってみると、アタッカーよりシューターの方が稼ぎ頭。アタッカーも狙われるので、ディフェンダーはそっちも守らないといけないなど、事前情報と違う事もあった。まあ、これについては卓上だけでは分からない事もあるので仕方がない。だが、特に問題なく運用出来ているので、気にする事でもなかった。
そんな些細な、事前情報の食い違いよりも、利点の方が遥かに大きい。やはり、自分の仕事だけに集中出来るのは、気が楽になる。気が楽って事は、落ち着けるって事だ。それは戦場ではとても重要だ。戦場で慌てると碌な事にならない。まあ、そんな訳で、俺の小隊は特に被害もなく、成果だけ貰えている。
我が隊のスコアは、今のところシューターが三機。不用意に横槍に入ろうとした奴を俺が一機落とした。合計で四機。上々である。
一度、遠距離から敵の一撃が飛んできた。だが、相手が外してくれた。まあ、こっちはディフェンダーに指示を出して警戒させてたから、当てにきても対処出来ただろう。どうやら、、狙撃していた敵機には、こちらの僚機が近づいていたようだ。狙撃は、機体が自動的に目標の移動予測地に標準を入れてくれるが、最後の細かい調整はやはり人の手でやらなければならない。自分が狙われている事に気づき、動揺して外したのだろう。その後そいつは、近づいていたこちらの味方に落とされる事になる。やはり、戦場で慌てると碌な事がない。
さて、小隊で行動する前、残りの敵機は二百八十三機と報告を受けた。こちらの小隊数は二十六小隊。一小隊、十~十一機倒さなければならない。つまり、残りのノルマは六~七機だ。まだまだ仕事をしなければ。さあて、一丁頑張りますか。この作戦を立ててくれた
俺はあの作戦会議、
「六機目!」
今倒した敵は、パニックを起こし、近接武器をブンブン振り回していた。周りに他の敵機がいないかったので、冷静に射撃で落とす事が出来た。やはり、孤立している敵が多いのは戦いやすい。
「
この質問は何回目だろうか?しかし、指揮官としてできる限り全体の状況を知っておきたい。
「順調だよ。まだ、味方の被害は少ない。それに対して敵は次々と落ちていく。このままの状況が続いてくれたなら、勝利の女神はこちらに微笑んでくれるかもしれない」
油断は出来ない。戦場での状況はすぐに変わっていく。その証拠と言わんばかりに、
「大変だ、
専用機二機の俺たちは戦場でかなり目立つ。だから、そういう輩が出てきてもおかしくはなかった。
「どうする?援軍を呼ぶ?」
「いや、下手に味方を動かして、今の流れを切りたくはない。その五機、俺達だけで対応するよ」
味方にあれだけ無茶をするなと言ったのに、張本人がこんな事をするのは気が引ける。だが、今が勝つか負けるかの分かれ目なのだ。この状況を維持できれば、
「すいません、
「気にすんなって!寧ろ付き合わせて欲しいくらいだ!」
「ありがとうございます!」
心強い言葉を貰う。自然と気合が入る。
「ねえ、
「あ、うん、ごめんね」
「ぞんざいっ⁉」
いや、そんなつもりはなかったのだが。何だかんだいつも居てくれるし、当たり前になっているのかもしれない。
「馬鹿なやり取りしてんなよ!敵機来るぞ!」
「お城を着こんでいるみたい」
僕もそう思う。頭や肩に三角形の屋根に似た装甲が付いており、そう見えるのだ。色彩も白の部分が多く、全体的にごつい。なんで、こんなデザインになったのだろうか?設計者に問いただしたい。だが、設計者はこれを作った時かなりのご老体で、既に亡くなられている。なので、永遠にこのデザインの謎は解けないだろう。
戦いには向いていないが武装はキチンと付いている。一つは近接用の小太刀。これは普通である。だが、もう一つが、特徴的なものとなっている。三連小型
三連
一発目!敵は蜘蛛の子を散らすように回避する。
二発目!敵はさらにバラバラになるが、攻撃は当たらない。
三発目!一機を狙い撃ちだすが、大きく移動して回避されてしまう。
ぜ、全発外してしまった…
…まあ、狙い通りなんだけどね。
私の機体は二人の機体よりかなり後方にいる。そこで、「
この機体、基本的には量産型の「
さあ、若い奴に任せてばっかなのも気が引ける。だから、ここらで活躍しないとな。
狙いを絞ってトリガーを引く。放った一撃は、敵機のコクピットに命中した。
残り三機!その三機が、こちらに向けて射撃を開始した。当然だろう、俺は今、相手の射撃に対し、絶好の位置にいるのだから。すぐさま回避行動に移る。そして、この時の為に前もって見つけていた「
また一機、敵機が落ちた。
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