第十一話・戦争の開幕~神無月の者達よ、絶望に打ちひしがれるがいい~
会談が終わってしまった。
「
「…うん、
でも、止められなかった。
「何故、会談に参加する理由を聞いてはいけなかったんだ?今だに、それが分からない」
「今、お父さんがへこんでいるのが理由。きっかけをこちら側に作らせる。
私が乳を揉んでまで、
「あの場で私がそれを問いたださなければ、会談は失敗していなかったのか?」
「ううん、そんな事はない。正直万事休すだった。もし、誰も理由を聞かなくても、いずれは
あの場では、私が理由を聞いたら駄目だったという状況を作り出してしまった。そこは反省。だが、そうしなくても、
「お前の事だ。案はなくとも、新たな案を出そうと試行錯誤していたのだろう。その為に、無駄だと分かっていても、事前の打ち合わせ通り会談を進め、時間稼ぎをした。それなのに、その時間さえも私のせいで無くしてしまった。本当にすまない」
そういうところが察しが良くても困る。私の事を分かってくれてる故だから、悪い気はしないけど。でも、まだ私達には出来る事がある。早くお父さんには立ち直って欲しい。
「謝らないで、時間が少し伸びた所で、あの場をどうにかする方法は思いつかなかった。結局結末は変わらない。だから、元気出して。ね」
露骨だったかも。でも、露骨くらいが意図を分かってくれる。お父さんは、私の事になると、鋭さが増す。親馬鹿だなあ。まあ、そこは嬉しかったりする。
「分かった。だが、時間をくれ。少しだけ一人にさせて欲しい」
「そう言うと思った。ちょうど、私にはやる事があるから」
「ん?なんだ?」
話をしたい人物がいる。さて、この衣装で追いつけるかな?
「ちょっと、
少し駆け足になる。この服、綺麗だけど本当に動きにくい。スピードを上げて、ようやく追いついた。
「あの、お話しよろしいですか」
「
「
「ごめんな、会談の結果あんなんになってしもうて…けどな、うちは国民が何よりも大事なんや。意見を変える事は出来ひんの…」
「分かっています、それは仕方がない事だと理解してますから」
視線を背の低い私に合わせてくれる。優しいなあ。そして、甘い。キチンとこちらに負い目を感じてくれている。今なら頼み事も聞いて貰いやすい。乳だって揉ましてくれそう。頼まないけど。
「その代わりとしては何ですが、頼み事をお願いしたいんです」
「うちに出来る事なら、なんでも言うて。って言いたいとこやけど、うちらも戦争の準備があるから、出来る事は限られとるんよ。堪忍なあ」
当たり前の事なのに、そんなに謝らなくても。そういえばこの人、孤児院に寄付とかもしてたっけ?実は子供が好きなのかな?
「いえ、そんなにお手を取らない事です」
だが、これからのちに重要になってくる事。
「お願い事は二つ。まず、そちらがこれから集め続けであろう『
思ったよりもあっさりオッケーを貰ってしまった。たった一つ理由を答えるだけで二つ返事で了承してくれた。拍子抜け。だけれどもこちらにとってはありがたい。すぐに交渉が終わって良かった。これが、他の二人のかぐやでは、こうはいかない。
「よろしかったのですか?」
側近の
「ええのええの、あの子がゆう通り、時間は出来るだけ稼いでもらわんといけんからなあ」
「それにな、うちらの国は昔、えげつない事をぎょうさんしてきた。せやから、出来るだけそのイメージを払拭する為に良き人でありたいんや。今回は悪い方が目立ってもうたが」
「
「ですが、『
「大丈夫大丈夫、うちのポケットマネーから出すから国にダメージはきいひんよ」
「何でもポケットマネーで解決する癖やめて貰えませんか!」
頑張っている人間にあまりこういう言葉は言いたくはない。でも、もう見えなくなった背中にこの言葉を送りたい。応援の気持ちを込めて。
「頑張ってな、
「そっか、駄目だったんだね…」
目の前の端末には、父さんの顔が映っている。端末の遠距離通信機能で、会場から直接掛けてくれているのだ。
「
父さんが頭を下げる。
「顔を上げてよ。俺、父さんのそんな姿見たくないよ」
「お前を死なせてしまうかもしれないんだぞ!」
父さんが叫ぶ。父さんの思いが伝わる。俺を本気で死なせたくないのだ。
「安心して、俺は死なないよ。だから、謝らないで。そして、出来れば応援してくないかな。そっちの方が俺は嬉しいよ」
父さんは泣きそうな顔をしている。いい大人がそんな顔しないで。
「勝ってこい!そして必ず生きて帰ってこい!」
俺は端末のカメラに拳を映した。父さんが意図を察してくれた。父さんも拳を映す。そして拳を合わせる。
「うん!必ず勝って戻ってくる!」
そうして会話は終了した。
さあ、いっちょ頑張りますか。
多くの機械パネルが並ぶ席で、輸送艦艦長、
輸送船が何故一番最初に動かなくてはならないか、疑問に持つ者も多い。よく軍の新人に質問される。もっともである。こいつの本業は輸送であるが、同時に索敵能力もかなり高い。今の戦闘において、輸送艦や戦艦は
小型索敵艇に反応がある。どうした?今さっき宣戦布告されたばかりだぞ。「
「あいつら、本当に何もしてこなかったな」
会談の条件として、会談前、会談中、会談後私が国に帰るまで、私に武力行使を行わない。そう約束していた。あのような結果となったのなら、それを破ると思っていた。だから対策もしてきた。多少の武力を「
このシャトルの最高速度は二十六万八千キロ、この場をすぐに去る事が出来る。重量を極限まで軽くして、人一人を運ぶ為だけに作られた特注品だ。今の世の中スピードを求めなくていけない。確かに、地球圏内で完結している私達にはスピードは必要ない。その為、進化の方向は、どれだけ電気エネルギーのみで規格を統一出来るかになった。おかげで、今のシャトルは全て電気エネルギ―で動いている。しかし、それではつまらない。そうして安定性だけを求めても遊びがなさすぎる。このシャトルのように、電気エネルギー以外の燃料も使ってみるものである。地球資源があればそれも自由に出来るだろう。まあ、それでも
「さあ、戦争の開幕だ」
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