第九話・会談の開催~なんとしてでも成功させなければ~
明らかな挑発を口に出し、
「それじゃあ、交渉開始します。と言いたいけど、その前に貴女のけったいな態度を謝ってくれへんか」
「私の態度が許せないか、器の小さい奴だ。それに貴様は私の武力を止めたいのであろう。なのに、この程度の挑発で嫌悪の情をぶつけてくるか。くくっ、知性が足りていないな」
「なんやて、そんな常識のない振る舞いしとる奴が、うちの人となりをとやかくゆう資格ないわ!」
側近の
「
「
「ですが…!」
「とやかく言われる資格がない?資格がなくとも、いくらでも言ってやる!貴様はすぐに頭に血が上る、
「言わせておけば、この腐れが!」
「
「なんや!」
わが娘が割って入って来た。これ以上の事態の悪化を防ぐつもりだろう。側近でも止められなかった。今も伸司は
「えい」
娘が
「―なっ!」
鈴華嬢は顔を真っ赤にして娘から離れる。
「何するん!?」
「こういう時のお約束です、落ち着きました」
「あ…」
「かんにんな、これじゃ相手の思う壺やな…おおきに」
一度頭を冷やしたことで、相手の意図が理解できたようだ。取りあえずなんとかなったようだ。
「どういたしまして。それじゃあ、会談を再開します」
そう言って、娘は自分の席に戻った。意図は分かるのだが、もう少し他のやり方はなかったのだろうか。ともかく、
「つまらん。もう少しそこのうつけの愚かさを、観察していたかったのだがな」
「
娘が
「なんだ?小娘」
「言われた通り、貴方を説得するんで」
そこまでは笑顔で言葉を紡いでいた。だが、一瞬で娘の顔から笑顔が消えた。
「少し黙っててもらえませんか?」
口調は落ち着いていた。しかし、底に凄まじい怒気を感じる。娘の目を見た。父である私でさえ
「凄まじいな。本当に貴様、十代の少女か?分かった分かった、まずはお前の話を聞こう」
「まず、私達の目的はあなたの武力行使の阻止です。ですが、その為に国が滅ぶのも同意できません。それ以外ならいくらでも差し出せる覚悟があります。どうか、それで兵を引くことは出来ませんか?」
今さっき黙れといった人物に、なんでもしますから戦いを辞めて下さいと頼むのは、少し情けないと思う。だが、これでいい。とにかく、戦争の回避が優先なのだ。しかし、この案では、恐らく
「それは無理だな。そんなものでは足りはしない」
当然こう答えてくる。しかし、一応は試すだけ試したかった。
「うちらも援助する。それでも足りひんか?」
「ああ、足りない。分かっているだろう?力を持ち続けるには、その程度で得られるものでは全然足りはしない」
その通りである。余りに国の規模に対して、軍事力が膨らみ過ぎている。この会談に参加する三国の援助程度では到底賄えない。だから、どうしてもその軍事力を、どうにかして貰いたかった。
「ならばこういうのはどうでしょう。ここにいる
「それは少々面白い。だが、我が国の破滅には到底間に合わないと思うのだがな」
だが、それでも足りない。いくら
「分かっています。だから、あなた方にもやってもらいたい事があります」
「ほう、なんだ?」
ここだ。これに同意してもらえれば、この会談は成功したと言っても過言ではない。なんとしてでも合意してもらわなければ。
「あなた方『
「小娘、お前、言っている事の意味が分かっているのか?」
当然の反応だ。それはいわば、自殺してくれと言っているようなものである。
「ええ、分かっています。今の状態で軍を縮小させると、あなた方を恨んでいる国に、『
これが事前に考えた案の中で一番最良なものである。「
「『
頼む。この案に乗ってくれ!
「は、はは、ははははは、あーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!」
笑った。
「はは、守る?守るかあ!そうくるとはなあ!あーはっはっはっはっは」
何が…何が可笑しい?
「まったく…ふざけた提案だ!こんな、こんなもので私が!私の国「
憤るように、呆れるように、馬鹿にするように
「なあ、貴様ら。戦争をする相手に 、条件を突き出して、、停戦と軍備縮小を迫る行為を何て言うか知ってるか?」
ある単語が、脳裏によぎる。だが、それは…
「降伏勧誘って言うんだよ!こういう事はなあ!」
私は、私達は本気で「
「そんな事を言われて『はい』なんて頷く訳がないだろう。守るなんて詭弁だな。貴様らは、私達を自分達の都合がいいように動かしたいだけだ。誇り高き我が国がそんな提案に屈すると思ったか?ふざけるのも大概にしろ!」
まだだ、まだ案はある。戦争は、戦争は絶対に起こさせはしない。だが、そんな私の思いは次の一言で完全打ち砕かれてしまった。
「これからどんな提言が来ようとも、我ら『
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