第八話・三国のかぐや~緊張で胃がキリキリする、娘の胆力が羨ましいな~
静かである。主催が他の代表より遅れる訳にもいかず、余裕を持って会談の場に入室した。その為、まだこの部屋には娘と私しかいない。この静けさは心を摩耗する。子供たちの前では出来るだけ威厳を持って接しているが、本来私はこのような場所に出る身分ではない。婿として
そんな事を考えていると誰かが会場の戸を開けた。
「失礼します」
はんなりとした音程の言葉が、戸の向こう側から飛んでくる。言葉の後、レディーススーツを着こなした、貼り付けたような笑顔を浮かべた女性が入って来た。
商業大国「
「どうぞ、こちらへ」
すぐに席へと案内する。
「おおきに」
そう、お礼を言いながら、席に着かれた。
それよりも注目すべきは、先に訪れたかぐや姫、鈴華嬢であろう。二十代後半という若さで、自らの実力のみで三大大国の一つ「
見切りをつけられるのが早いので、そうならない様に相手の得になるよう対応しなければならない。だが、基本的には善人である。味方に付いてくれるのであれば頼もしい存在である。
「
そう言って、
「子供扱い禁止!でも、貰う!」
貰うのか⁉そのまま、我が娘は飴を口に入れてモゴモゴしている。果たして、会談が始まる前に溶け切れるのか…
「相変わらず、
「ありふぁとうふぉざいまふ!」
口に物をいれて喋らない!
「それにしても、あんさんらも大変やな。あんな怖い人らにめえ付けられて」
「それはそちらも同じ事ですよね。今は私達を名指ししていますが、『
娘が即座に対応する。「如月」もまた解除プログラムを持った衛星である。その事をすぐさまぶつけた。私ではこうはいかない。こういう時口下手な事を悔やんでしまう。後、飴玉はどこに消えた?もう舐め切ったのか?
「そうですなあ。せやからそちらさんの話に乗ったんどす」
「
「手筈通り、お願いします」
「わかっとります。うちらも戦争しとうないからなあ」
「失礼します」
そう言って、軽く会釈をする。その顔立ちは、成熟した大人にも見えるが、幼い子供にも見える。美しくもみえるが、可愛らしくも見える。だが、全てを見下したような表情が、とても不快に感じてしまう。
「
かぐや、「
かぐやの成り立ちはひとまず置いといて、目の前の女性「
まず「
「お席はこちらでよろしいですか?」
いつの間にかに
「そうです、どうぞお座りください」
恐怖を感じる。しかし、この方の協力なしでは今回の案は成立しなかった。「
「今回の会談、事前の打ち合わせ通り、私はほとんど口を出しませんので、そのおつもりで。私はあくまで結末を見に来ただけですから」
「はい、存じ上げています」
協力の条件の一つである。その為実質、「
そう言えば、今回我が娘は静かである。そちらの方を見てみる。娘は、
「衣装かぶってる」
いや、そこは気にすべき所ではないぞ。
会談の始まる午後一時まで2分を切っていた。「
真っ赤な甲冑にみを包み、堂々とした姿勢でこちらに歩いてくる。その顔立ちはまるで獅子のようだった。
「
久住は、自分の席に到着したかと思うと、いきなり机をバンッと叩き周りを見渡している。
「どうやら面子は揃っているようだな」
そう言って、椅子にドカッと座り込んだ。とても滅びそうな国の国主とは思えない不遜な態度である。空気が一気に悪い方へと流れた。なんとかしてこの空気を元に戻さないと。とりあえず、会談に参加するものが全員集まったので、まずは開始の挨拶を行おう。そう思い、立ち上がろうとした。だが、
「それじゃあ、始めるか。貴様ら私を聡したいのだろう。ほら、かかってこい」
先手を取られた。会談は、いきなり一色触発の状態になってしまった。
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