第四話・世界の成り立ち~この世界の事、この檀弓ちゃんが教えてあげるからしっかり聞いてね~
散々な事を言ってきたが、別に私はおにいの事が嫌いな訳ではない。どちらかと言えば、兄妹しては好きである。だから、今のおにいを見ると少し悲しくなる。出来ればこれ以上おにいに何かを背負わせたくはない。その為にも明日の会談は成功させなければならない。
不安はない。しかし、必ず成功出来るとも思っていない。少しでも成功率を上げる為、今出来る事はあるか?少しイメージトレーニンみたいな事でもしてみようか。そうは言っても、大概の場面は想定してきた。なのでちょっと斜めに考えて、何が起こっても冷静に対応出来る訓練でもしてみる。まずは、会談と全く関係ない突拍子のない出来事でも考える。例えば、過去の人がタイムスリップしてくる。さて、その人に今の世界の事をどう説明したらいいのだろうか?
この世界は貴方の世界から見て、遠い未来にあるかもしれない世界
ある時、人類は非常な現実を突きつけられたました。それは、地球の資源が完全に枯渇してしまう具体的な年数です。
まだ、遠い遠い先の話ではありました。ですが、刻々とその日へと近づいてきます。人々は恐怖しました。対策が必要でした。多くの人が様々な議論を繰り返します。しかし、結局は二つの道しか残されてはいなかったのです。地球と共に心中するか、地球を旅たち新天地を目指すか。長い長い議論の後、人類は生き残ることを選択し、地球を旅立つ事にしました。
計画は始まり、各国それぞれで外宇宙へ出るための箱舟を開発しました。箱舟を開発出来きなかった国力に乏しい国は、箱舟を持つ国と交渉し同船させて貰いました。こうして、全人類は地球から旅立つ準備を終えたのでした。
それとは別にもう一つの計画も進んでいました。人類が旅立った後の地球を再生させるための計画です。機械による地球環境の保全と再生の促進。それにより、元の青く美しい母なる星を取り戻そうという計画。自分たちの育った星をそのままにしておけないという想い。旅の失敗を想定しての帰還場所の確保。地球資源の再利用。などなど、 この計画には様々な思惑がありました。多くの思いを乗せ、計画は進んでいきました。しかし、この計画は一つの問題に衝突してしまいました。機械の暴走の危険性。
機械がただ壊れ、停止するのであれば問題はありません。ただ再生が遅れるだけです。ですが、暴走してしまったら、本来の機能から外れ地球環境に大きな影響を与えてしまうかもしれません。計画の凍結の案も出ました。しかし、早期再生による帰還場所の確保は、人類の存亡に関わるとされ、計画は進めなければならないと判断されました。暴走の対策としてある事が決められました。それは、人類の中で管理者を選定し、地球の周辺に居を構え、地球を観察し続けるというものでした。
管理者を決めるため、また多くの時間議論し合いました。結果、選ばれたのは極東の島国の人間でした。理由は、押し付けられたとも、自ら立候補したとも言われています。しかし、結局のところ理由ははっきりとはしませんでした。こうして、極東の島国の人間一億数千の人々は、地球周辺に残る事が決定しました。住居として、元からあった地球の衛星の一部を人が住めるよう改装され、それとは別に十一もの人が生活出きる巨大な人口の衛星が建設されました。こうして月と呼ばれていた衛星は十二個に増える事になったのです。極東の人々はその十二の衛星に移転し、他の人類の旅立ちを見送くりました。
それから、百余年の月日が流れていきました。それぞれの衛星に移り住んだ人々は、その星々で独自の文化を作り上げ、それぞれの星、その一つ一つが国となりました。元は同じ国とは思えないほど別の存在となってましたが、一つだけ全ての星に共通点があります。
星を統べるもはみな、女性でした。
十二の衛星
十二の月
十二の国
十二の統治者
十二の…かぐや姫
以上、その「かぐや姫」の一人、
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