第12話 忘れ物取りに行って頭殴られるとか

「あー、あったあったぁ」


 サウス・スクールの自分が使っていた座席まで来たリリアンは机に放置されていたノートを発見し、一息ついた。講義と趣味両方のメモがとってあるノートは彼女にとって非常に重要なアイテムだ。今回まとまった連続殺人鬼と吸血鬼の話は近々形にしようと心に決めている。とりあえず連続殺人鬼が女装姿のまま吸血鬼にまたがるシーンは絶対に入れようと決心し、リリアンはノートを抱え込んだ。

 隆弘が待っているから早くいかないと。

 誰かが一緒に行動してくれるだけで随分と心強い。ニコニコと笑うリリアンが小走りで廊下に出ると、横に人影が立っていた。

 見覚えはあるが隆弘ではない。知り合いだったら挨拶くらいしようと視線をむけたリリアンの頭に強い衝撃が走り、彼女はそのまま意識を失ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る