※8話 ブログのイメージでは、旦那がマグロで、嫁が猫です。

 ブログのアドレスを一つ持っている。

 掲載してるのは、近況の仕事履歴と公開可能なイラスト。それと4コマ漫画だ。

 今回の漫画のタイトルは、


 『日曜日の嫁さんの話 第8話』


 主に『マグロ』と『猫』が、どうでもいいことを話しあっている。漫画に目を通してくれる読者は、この二匹を『デフォルメした夫婦のキャラクター』だと思い込んでいるだろう。

 実際『俺』はそうなのだが――旦那に隠れて、美味そうにプリンを盗み食いしたり、机の上に座布団を敷いて座ってゴロゴロしたり、アプリゲームの『双剣乱舞』を夢中になってプレイしつつ、


『ジジイが! うちのおじい様がやってくれたーー!!』

『冬イベントクリアやったぞうおおおおおーーー!!!!』

 

 とか、リアルタイムで、高速ブラインド肉球タッチで、テンションマッハでツイート発言を繰り返す、尾が二股に分かれた黒猫は、割とノンフィクションで存在する。この前、旦那の俺に『ジジイ描いて! お祝いにジジイ描いて! プロでしょ!』と迫ってきた時は、割とキレた。


 誰も信じないだろうけど、いるんですよ。妖怪は。


 ちなみに前回のブログネタは、風呂の湯を張った土鍋で、幸せそうに仰向けになってたゆたっている、だらしのない姿を描いてやった。

 これもまたノンフィクションで、非常に反響が大きかったのだが、


「旦那さんっ! えっちなのは、ダメだって言いましたよねっ!?」


 後日、嫁さんがキレたので削除した。

 俺はてっきり、エロというのは、夫婦の営み的なアレだと思っていたので、あっけに取られた。

「……土鍋に猫が浸かって頬を赤らめて、にゃあん(はぁと)とか言ってるのは、全然セーフだろ」

「どこがですか! アウトですよ!」

「何でだよ。この絵の何処にR-18要素があるというんだ。最高に可愛いトロ顔が描けてるじゃないか」

「そういう問題じゃありません! 奥さんの入浴シーンを全国ネットで公開して、旦那さんは何も思わないんですか!?」

「……嫁さん、俺の前では基本的に全裸だからな……」

「日曜日以外は、ちゃんと服着てるじゃないですか! 今だってほら!」

「うーん」

 男女の価値観。育った環境の違いによる慢心の違いか。ともあれ、一度逆鱗に触れてしまったので、以降、ブログの4コマ漫画をアップする際は、嫁さんの許可を得ることが必須となってしまった。面倒くさい。


 とある平日の夜。タブレットでブログを見ていた嫁さんが、言ってきた。

「旦那さん、旦那さん」

「うん、どした?」

「見てください。読者の人からまた、お嫁さん可愛いね、って言われちゃいましたぁ!」

 幸せそうな顔で「ほら、ほらぁ」と画面を見せてくる。土鍋の時はマジギレしていたのに、最近はコレである。釈然としない。

「旦那さん、もっと漫画書きましょうよ~」

 釈然としない。

「ねぇねぇ、旦那さん、今度人気投票しましょう」

「登場人物が二名しかいないんだが?」

「いいじゃないですか! 負けた方が、勝った方にアイスを奢りましょう」

「…………嫁さん」

 あえて言おう。うちの嫁さんは、セコ――

 (この記事は削除されました)



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