無名の夏

富樫 砕花

プロローグ

2年前、東京に小隕石が飛来した。

衝突とまではいかず、大きな被害を与えることもなかったが、隕石にのって地球に存在しなかった未知のウィルスが飛来した。

そのウイルスは、僕ら人類には大きな変革をもたらした。その時東京にいた10代の男女の一部はウィルスに感染し、原来の人類にはない特殊な能力を持たされることになった。能力は多種多様で、超高速移動、自然発火能力、テレパシーなど虚構の世界の産物が一気に現実世界に氾濫した。

ウィルスによる混乱はあったものの、ウィルスに関する研究は大人たちによって盛んに行われ、多くのことが明らかになった。覚醒した特殊能力はウィルスによるもので、ウィルスが僕らの体を子孫繁栄の為の乗り物にする「ご褒美」として能力を与えているということや、ウィルス自体が死滅する訳ではないが、18歳の思春期を過ぎると能力は消滅してしまう。ここの因果関係についてはまだ未解明のことが多い。また、ウィルスの感染による能力の覚醒以外の人体への影響も不明とされている。だが、ウィルスの応用により、科学技術は目覚ましい進歩を遂げた。

そのことを切り取ってなのかいつからかこのウィルスは「楽園へのウィルス」、「エデンウィルス」と呼ばれるようになり、能力は「エデン」と呼ばれるようになった。

これはそんな世界の物語。

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無名の夏 富樫 砕花 @cathy2401

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