第2話 火星からの狙撃

 暗殺者は火星から、ライフルの照準を地球に向けていた。

 難度が高いといわれる火星から地球への直接狙撃だ。

 照準を拡大し、地球の地面を歩いているフクヤマ外務大臣に狙いを定める。

 ドキューン。

 火星から発射された弾丸は四十日間かけて宇宙空間を飛びつづけ、フクヤマ外務大臣の一メートル横のコップを撃ちぬいた。

 おしい。

 フクヤマ外務大臣のボディガードは弾着から狙撃手の位置を探った。

 すると、飛んできた先の空には、火星が浮かんでいる。

「くそう。この距離を狙ってくるとは、敵はプロだな」

 フクヤマ外務大臣はうめいた。

「大丈夫です。敵は一発目を外すというミスを犯しました。ちょっと、ビビらしてやりましょう」

 ボディガードはすぐさま火星に狙いを定め、一発の弾丸を撃ち返した。

 ドキューン。

 地球から発射された弾丸は四十日間かけて宇宙空間を飛びつづけ、火星の暗殺者の右腕を撃ちぬいた。

「ぐあっ、バカな。この距離で撃ち返してくるとは、向こうにも相当なプロがいたようだ……」

 こうして、暗殺者は次の狙撃をあきらめ、平和は保たれたのである。

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