へげぞぞ超短編小説集第一期

木島別弥(旧:へげぞぞ)

第1話 世界崩壊前の一日

 ものすごく長い行列の先で、おじさんが整理券を配っていた。

「はいはい並んで並んで。五分後にこの世界は崩壊します。だから、タイムマシーンで過去に戻ってやりなおしてください。これは整理券です。整理券を受けとった方から順番にタイムマシーンに乗りこんでくださーい」

 少年がおじさんに話しかけた。

「ねえ、タイムマシーンに乗ったらどうなるの?」

「一日前に戻るんだ。一日たったら、またここへ来てくれ。昨日と今日をくり返すだけで、ずっと生きていられるよ」

 少年は整理券をもらい、一日前にワープした。

 世界滅亡前の一日をもう一度遊んで過ごすと、また滅亡の時間が近づいてきた。

 ものすごく長い行列の先で、おじさんが整理券を配っていた。

「はいはい並んで並んで。五分後にこの世界は崩壊します。だから、タイムマシーンで過去に戻ってやりなおしてください。これは整理券です。整理券を受けとった方から順番にタイムマシーンに乗りこんでくださーい」

 少年がおじさんに話しかけた。

「ねえ、タイムマシーンに乗ったらどうなるの?」

「一日前に戻るんだ。一日たったら、またここへ来てくれ。昨日と今日をくり返すだけで、ずっと生きていられるよ」

 少年は整理券をもらい、一日前にワープした。

 世界滅亡前の一日をもう一度遊んで過ごすと、また滅亡の時間が近づいてきた。

 ものすごく長い行列ができて、おじさんが整理券を配っている。

「はいはい並んで並んで。五分後にこの世界は崩壊します。だから、タイムマシーンで過去に戻ってやりなおしてください。これは整理券です。整理券を受けとった方から順番にタイムマシーンに乗りこんでくださーい」

 これに乗ると、また昨日に戻って一日すごすことになるんだな。

 こうやって、みんなずっと同じ一日をくり返して生きているんだ。

「ねえ、タイムマシーンで戻らなかったらどうなるの?」

 少年が不思議に思って聞いた。

「五分後に世界といっしょに爆弾でふっとんじゃうよ。だから、ちゃんとタイムマシーンにのってのって」

「おいら、昨日には戻らないよ。本当に五分後に世界が滅ぶかどうか見てくるんだ」

 少年は勇敢に五分後に立ち向かった。

 みんなタイムマシーンで一日前に戻ってしまい、世界には少年だけになった。

 五分後。

 ドカーンと、ものすごい音と爆発が起きたが、別に死んだりはしなかった。

 遠くに動く未来の人々が見えた。

「やったあ、生きている人がいた」

 少年が跳びあがって喜ぶと、向こうが少年に気づいた。

「まずい。感ずかれたか。困ったことになった。すべての人間を過去に転送させ、五分前からの世界を我々だけで使うつもりだったのに」

 それを聞いて、少年は真相に気づいた。

「くそう、みんなを騙していたんだな」

 少年は未来人たちをやっつけてタイムマシーンを奪い、昨日に戻ってみんなに世界が滅亡しないことを告げた。

 こうして、少年によって世界が救われたのだ。

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