第2話 風と光と水と♪

 レアンは、毎日ギターを弾き続けていた。


 ギターを弾いている時は、何もかも忘れて自由になれるような気がして練習が楽しくなってきていた。


あんなに、難しいと思っていたバレーコードも今では自然に押さえられるようになり、ギターと会話をしているような感覚すら感じられるようになっていた。


 そんなある満月の綺麗な夜、こおろぎと鈴虫がモーツアルトのアイネクライネマハトムジークのような音色を奏でていた。


レアンにはそう聞こえていた。音楽の感覚が敏感になってきたのだろう。するとまたあの黒猫がやってきた。


「にゃおーん。」


「おおッ。久しぶりだね。おいらのファン第1号の黒猫ちゃん。今日は新曲ができたんだ。『風と光と水と』、っていう曲なんだ」


 レアンは歌い始めた。


 「星が降る種山が原で 見渡す限りの白い銀河が 爆発するような夏の夜

 シロツメ草の灯りがキミにも見えだろう


 それはポランの広場への道しるべ それは愛と夢の国への道しるべ

 風と光と水が輝く 北のふるさとへ帰ろう


 風と光と水が輝くこの大地で力の限り生きていこう

 風が遊ぶ丘の やまなしの花のような 純白の花を心に咲かせて


「なんていい曲いい歌詞。どうしたらいい。町の路上ライブなんてこんな田舎の町じゃ恥ずかしいし、ライブハウスにでも出るか」


 レアンは、歌った。すべてを忘れるかのように。頭の中に歌詞の光景が浮かんでるくる。緑の草原をさっそうと吹き渡る風、黄金色に輝く稲穂の光、命をはぐくむ清らかな水。

そうだ誰もまねでもない、純粋な言葉を歌詞にすればいいんだ。新しい歌詞がまた、浮かんで来たぞ。


「銀河の彼方にともに笑って すべての悩みを忘れてしまえ

風と光と水が輝くこの大地で 力の限り 生きて行け。」

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