第7話呪いからの解放
俺は朝起きると、ガイエルさんとガイエルさんの奥さんのニーナさんは既に起きており朝食も用意されていた。
「おはようございます」
「おはようリデル」
「あら、起きたのねリデル。朝食出来てるわよ」
順応はえぇ…
会って次の日にこのナチュラルな対応とは恐るべきコミュ力だ…
「あ、ありがとうございます、頂きます」
そして朝食を食べ終えた後、俺はガイエルさんと一緒に自警団に向かったのだった。
自警団に着いた後、ガイエルさんと別れて仕事を教えてくれる先輩の元に向かったのだった。
「あんたが今日から入った子かい、可愛らしい子だねぇ。私はフラーナ、あんたの名前は?」
「リデルです、よろしくお願いしますフラーナさん」
「リデルね。とりあえずエプロンを取りに行った後自警団の人達に挨拶にいくよ」
「分かりました!」
エプロンを取りに行った後、朝礼で自警団の人達が全員集まっていた裏庭に行き、前に出て挨拶を行った。
「えっと、今日から自警団で働かせてもらうことになったリデルです、よろしくお願いします」
そう言ってお辞儀した後、辺りを静寂が支配したのだった。
なんで無言なんだ、俺なんか変なこと言ったのか!?
だが、次の瞬間─
「うおぉぉおー、めっちゃ可愛い子だぁぁあ」
「この自警団に唯一の女の子が来たぞー」
「リデルちゃんこっちむいてくれぇえ~」
「よっしゃー、なんかやるきでてきたぞぉおー」
と、自警団の人達が叫びだしたのだった。
さっきのは嵐の前の静けさと言ったところか…
あと、自警団の一人がフラーナさんに「私は女の子じゃないってのかい?」と詰め寄られてたが見なかったことにしよう。
「おーい、それぐらいにしておけ、リデルちゃんが戸惑ってるだろう?」
みんなが騒いでるなか、良く通る声でハーリッシュさんが自警団の人達を落ち着かせたのだった。
昨日自分もスリーサイズ聞こうとしたりしてたのに仲間達の前では真面目なのか。
「隊長も昨日リデルにスリーサイズ聞こうとしてましたけどね」
あ、ガイエルさんに突っ込まれてる。
「おぉぉい、今ここで言わなくてもいいだろうガイエルー」
その会話で皆が爆笑したのだった。
少し不安もあったが、ここでならやっていけそうだという思いを抱き、俺は仕事に臨んだのだった。
「さて、挨拶も終わったし仕事について説明するわね。リデル、あんたの仕事は主に掃除、洗濯、お風呂掃除、食事の給仕をやってもらう。掃除は自警団と自警団の横に建っている寮の掃除を行う、洗濯は一日で大量に出る洗濯物をさっきの裏庭にある井戸で水を汲んで洗い井戸の近くにある物干し竿に掛けていってもらう、お風呂掃除は寮の方に浴場があるからそこの掃除だね、それで食事の給仕は私が料理を作るからそれを運んでいってくれたらいいわ。正確な場所とか使う道具は後で説明するが大体分かったかい?」
「はい、大体分かったと思います」
「そうかい、それじゃあ早速仕事に取り掛かろうかね、仕事は大量にあるからねぇ」
俺はフラーナさんに教えてもらいながら仕事をこなして行った。
最後の方はフラフラになりながらも何とかやりきり、仕事が終わったのは夕方の7時頃だった。
仕事を終えてガイエルさんと一緒に家に帰ると、ニーナさんが夕飯を作って待っており、俺はガイエルさんとニーナさんの息子のエドウィン君と顔を会わせたのだった。
そして、夕飯を食べ始めて少しした頃、俺は仕事中に発覚した重大な問題をガイエルさん達に話したのだった。
「あの、ちょっといいですか?」
「ん?どうしたんだリデル」
「今日仕事中にわかったことなんですけど…」
「なんだ?自警団の連中に何かされたのか?」
「い、いえ、違います。あの、私文字が読めなくて、出来たら教えてもらいたいなーと…」
「ぶふぉ」
「ちょっと、あなた汚いでしょ」
「いや、リデルが急に畏まって何の事かと思ったらそんなことか」
「そこまで笑わなくても…」
「いや、すまない。しかし、言葉は理解出来るのに読めないのか。ならエドウィンと一緒に読み書きを覚えるといい」
「そうね、エドウィンもそろそろ読み書きを覚えてもいい頃だしね」
「リデル姉ちゃん一緒に頑張ろうね!」
「お、おう!」
そうして、仕事や読み書きの勉強を頑張り、日常生活は面白くもないので割愛するが、半年ほど経った頃にようやく目標金額の100万Gとオリビエに向かう旅費を貯めた俺は、毎月1日に開催される裏オークションに間に合うように開催の二日前にリーデットを出発したのだった。
リーデットからオリビエ迄は約半日程で到着するらしい。
そして、オリビエ迄は休み取ってくれたガイエルさんが送ってくれる予定になっていた。
とりあえず裏オークションの前日に開催される場所の確認と教会で首輪を見てもらい外すのに幾ら掛かるかを確認しに行ったのだった。
裏オークションの場所は縮尺の違いで少しずれていたが簡単に見つけることができ、その後教会に向かったのだった。
「ああ、迷える子羊よ、今日はどのような御用事ですか?」
絶対ヤバイ人だろ…
何がヤバイって主に頭が。
「あの、この首輪を外したいんですけど、幾ら掛かるか見てもらおうと思いまして」
「なるほど、お安い御用です。さぁ神よ、可哀想な子羊に愛の救済を」
「…どうですか?」
「ええ、神は1億Gの寄付をすれば貴女の呪いを打ち消す祝福を下さるそうです」
やはり1億か…神様結構要求高いな。
「なるほど、そうですか。またお金が用意できたら来ますね」
「はい、待っていますよ。神は迷える子羊を見捨てはいたしませんので」
金持ってこれなかったら見捨てられてるのと変わらないと思うのは俺だけだろうか。
とりあえず今日はやることが終わったので、宿を取った後は街にある店を見て回り相場などを調べていったのだった。
途中何度も声を掛けられたが全力で逃げて回避したが、さすがに暗くなると危ないので17時頃には宿に戻ったのだった。
翌朝、俺は裏オークションの会場に向かった。
夜中にやってるものだと思ったが、普通に昼間から開催されるようだ。
入場料の100万Gを払い会場に向かったが、奴隷の首輪を着けていたこともあり、俺自身を商品と勘違いした係員に出品されそうになり焦った。
まあ、ちょっとしたトラブルもあったが、無事に商品を出品することが出来た。
出した商品はレアモノの素材や最上級回復薬等だ。
普通では入手が困難な物ばかりなのでこれで1億に届いてくれると嬉しいが恐らく半分行くかどうかだろう。
最悪無事だった装備品達の中から1つ手放す必要があるかもしれない…
結果から言うと全部で6500万Gだった。
くっそぅ、やはり足りなかったか。
この後の飛び入り出品で装備品を出品するしかないようだ。
しかし、俺の装備は入手が困難な物ばかりなので、また再び入手出来るかすら分からない。
悩んだ末にまだ一番入手しやすい『神刀・
武器を手放すのは苦渋の選択だったが、奴隷の首輪を外さない事には持っていても仕方ないので、非常に残念だが
だが、俺は神刀・
余談だが、神刀シリーズは神の力の一端が宿ると言われており、素材や製造法も今では失伝しておりその価値は計り知れない物となっていた。
今回のオークションでの単品での最高金額は5000万Gであった。
普通の一般家庭では、月25万G程で家族1世帯が普通に生活できるほどである。
5000万Gですら一般家庭の月収の200倍である。
では、神刀・
「すいません、この刀出品したいんですけど」
「おっと、またもや飛び入りの方ですね。では出したい商品を近くの係員にお渡しください」
「お客様、それでは商品をお預かり致しますね。この商品はなんと言う刀ですか?」
「神刀・
「は?」
「え?」
「えーっと、神刀・
それから数分後・・・
「皆さま!本日最高の品の出品でございまーす。なんと先程の飛び入りの出品の神刀・
「「「うぉぉおおおおおー」」」
「うちの鑑定士は優秀で御座いますので、間違いはございません。さぁー、皆さまっ!スタートは1Gからです!それではオークションスターーートですっ!」
「1000万G!」
「俺は2000万Gだ!」
「私は4000万G」
「では8000万Gで」
なんだこれは…
最後は8000万Gを提示したおっさんともう一人若者の成金コレクターとの一騎討ちになったが、1.5億Gでおっさんの方が勝利していた。
「では!1.5億Gで終了で宜しいでしょうか?他に誰かいませんか?」
若者成金コレクターが悔しそうな顔でおっさんを睨んでいたが、おっさんは気にせず落札した神刀・
て言うか、
まあ、目標金額には届いたので良しとしよう。
俺はオークション会場から出た足でそのまま教会に向かったのだった。
「おお、子羊よ。もうお金を用意できたのですか?」
「ああ、お金を用意できたから首輪を外してもらってもいいですか?」
「分かりました、ではこちらに。あと、お金は儀式が終わり次第神が自動で押収しますので悪しからず」
「あ、分かりました…」
神様お金にガメついな…
「では、儀式を始めます。後ろを向いて首輪を見せてください」
「はい」
神父が首輪に手をかざしながらなにか呪文のようなものを唱えていった。
しかし、儀式の途中で神父が詠唱を中断したのだった。
「あれ?」
「ん?どうかしたんですか?」
「ええ、この首輪は主の設定がされていないので、呪いを解かなくても普通に外せますよ?」
な・ん・だ・とっ!
俺の努力は何だったんだー!
「普通に外せるんですか?」
「はい、ちょっと待ってくださいね」
そう言って神父が俺の首輪を外して見せたのだった。
「はいどうぞ。しかし、どうやって着けたらこんなことになるんでしょうかね」
「…ありがとうございます」
そう言えばこの首輪は中村がシステムを使って俺に着けたんだったな。
呪いの効果は発揮していたから外せないものだと思い込んでいた…
「では、鑑定料の10万G頂きますね」
金取るのかよ!
用事も終わったのでさっさとリーデットに戻ろうとしたとき、リーデットの自警団にいた新人のマールさんがオリビエの入り口にいたのだった。
マールさんは全身がボロボロで、俺はなにか会ったのだと急いでマールさんのもとに駆け寄ったのだった。
「マールさん!なにがあったんですか!?」
「あ、リデルちゃん…ガイエル副隊長はいないですか?」
「ガイエルさんなら昨日リーデットに帰ったはずですよ?」
「そんな…、と言うことはガイエル副隊長の身にも何かあったのか」
「どういうことか説明してください!」
「ああ、リーデットの街が、モンスターを操った呪術士達に襲われたんだ。危ないから君はこの街で─」
「今すぐ向かう」
「なっ!」
「すぐに終わらせてくるんで、マールさんは治療を受けにいってきてください」
「なに言ってるんだ!危ないから近づいちゃ駄目だ!」
「大丈夫ですよ」
俺はそう言って、二刀流用装備に換装したのだった。
マールさんは俺の姿に唖然で声もでなかったようだった。
俺は時間も無さそうだったので、オリビエから全力で走りだしリーデットに向かったのだった。
ある程度オリビエから距離が離れたとき、体術スキルの空歩で空中を走り一体のペットを召喚した。
「こい!グリルド!」
召喚されたペットは龍王グリルド。
FUOではリデル以外入手方法が知られていない最強級のペットであった。
もはやペットと呼んでもいいのか分からないが、リデルはグリルドに乗ってリーデットに急いで向かったのだった。
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