第5話プロローグ5

 0時から始まったアップデートは夕方の16時までに及び、学校から急いで帰って来た俺は、アップデートが終わるのを攻略サイト等を見ながら待っていた。

 そして、ついにアップデートが終わり、すぐさまログインした俺は、ギルドホームへと移動して他の人が来るのを待っていたのだった。

 そして、一番始めにやって来たのはやはり§ジョー§だった。

 お互いに昨日の大会の感想などを話し合っていると他のギルドメンバーも集まり始めた。

 そして、そこそこの人数が集まったので新しいマップに行こうと思ったとき、FUO全体に緊急アナウンスが流れた直後転移が始まり、そこには膨大な人数のプレイヤー達が集まっていたのだった。

 装備等を見た感じでは、今さっき始めたばかりの初心者も大勢混じっているようで、初心者の為のイベントでも始まるのかと思ったが、それにしては強制転移は大掛かり過ぎると思い、状況を確認しようとしたとき、上空にある人物の顔が浮かび上がった。


 その人物は中村と言うらしく、このFUOのプログラムの大部分を担当したプログラマーだと自ら名乗った。

 そして中村はこの世界からは脱け出せないようにし、この世界から解放されたければ私を倒して見せよと言ったのだった。


 その言葉の後、プレイヤー達は混乱を起こしてしまったが、ルールを説明すると言って中村がプレイヤー達の前に現れると、皆が静まって中村の行動を凝視したのだった。

 プレイヤー達が静まった時に、俺は体術の空歩を使ってプレイヤー達の上を通って、喋りだそうとした中村の前に降り立った


 今まさに良い感じで喋りだそうとしていた中村は、俺の登場に苛立った顔を向けてきたが、俺は気にせず剣を抜いた。

 中村が何か言っていたが、俺はこの茶番を終わらせるべく中村に斬りかかったのだった。


 俺の一撃は急に現れた槍に止められたが、俺の勢いが死んだわけでは無いので、すぐさま次の攻撃を繰り出していった。

 攻撃の途中で中村が短距離の転移を行い、俺の攻撃から逃れたのだった。

 普通のプレイヤーであればHPが半分以上は削れているはずの攻撃が、中村のHPは1割程しか削れていなかったのだった。

 しかし、俺はダメージが通らない等を考えていたので、案外あっさり倒せそうで拍子抜けしていた。

 中村は俺のその態度が気に食わなかったようで、先程出現した槍で攻撃を仕掛けてきた。

 中村の速度は普通ではあり得ないようなスピードだったが、辛うじて目では終えるのと、動きが単調なので避けるのも案外簡単なものだった。

 苛立ちでさらに動きが単調になっていく中村に、速さに慣れてきた俺はカウンターを叩き込んでいったのだった。


 中村のHPが半分を下回った頃、緊急アナウンスが流れてプレイヤー達は強制ログアウトしだしたのだった。

 俺の気が一瞬逸れたとき、中村が短距離転移で距離を取ってからシステムオペレーションと口ずさんだ後、俺の装備に奴隷の首輪が現れ、装備が使用不可になりステータスも初期値になったのだった。

 ヤバイと思い逃げ出そうとするが、ステータスが初期値ではステータスを弄っている中村から逃げることが出来ず、皆がログアウトしていく中俺のHPは全損せず、奇声をあげている中村に殴り続けられた。

 中村は殴り続けて幾分か満足したのか、俺にマヒを掛けた後歪んだ顔で俺を見下してからログアウトしていった。


 中村がログアウトした直後FUOの世界が崩れ始め、周りに誰も居らず一人取り残された俺は、崩れゆく世界の中で意識が途切れたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る