第6話 初めてのホスト2
L字型のソファへと案内された雪乃達は若葉、雪乃、凛の順番で座る。
少し余裕が出てきた雪乃が周りを見れば、女の子を抱きしめているホストや耳元で囁いているホスト、友達の様に飲み勝負をしているホストなど、ホストの種類にも沢山あるようだった。
「ねぇねぇ。雪ちゃん。あの人カッコ良くない?」
ホスト観察をしていた雪乃の肩を若葉がつっつく。
「若葉・・・。人様を指ささないの」
若葉を注意しながら、その指がさす方へと目を移せば、黒髪のニコリと笑う笑顔が印象的なホストがいた。
昔から若葉の好きになる男性はこの手のタイプが多かったなとしみじみ思ってしまう程、若葉のタイプは今も変わっていないようだ。
「私、あの人が来たら絶対に話す!!!めちゃ笑顔が好き!!!!」
話してもいない内から盛り上がる若葉を落ち着かせつつ、凛の方へと視線を向ければ、一心不乱に何かを携帯に打ち込んでいる。恐らく忘れない内に色々書いているのだろう。
三人三様に過ごしていれば、一人のホストが席へとついた。
「初めまして。サクラって言います。お酒作っても良いですか?」
素早く三人に名刺を渡すと、サクラは何割りが良いかを聞いてくる。
このホストクラブは基本的に初めてのお客様は飲み放題らしく、何割りでも料金は変わらないとの事で、雪乃達は一番飲みやすいだろうと緑茶割りでお願いする。
サクラは手慣れているようで、三人分をさっさと作ると自分の分も作っていいかと尋ねた。
「そんな事聞かずに作ればいいじゃん!!」
三人を代表して若葉が答えれば、ホストクラブでは必ずお酒を飲んでいいのかお客様に聞かなければいけないと教えてくれた。
「へー。ホストクラブにも色々決まりがあるのね」
早速メモる凛。せっかく来たからには、少しの話も逃さないと言う気迫を感じる。
「じゃぁお酒もできた所で乾杯しよう。今日の出会いに乾杯!!!!!」
サクラのノリが良い乾杯音頭に、雪乃達もグラスを掲げ乾杯する。
「所でさぁ、まだ名前聞いてなかったよね?名前教えて!!!」
「私が若葉で隣が雪ちゃん。その隣が凛ちゃんだよ」
こういう時全ての質問を捌いてくれる若葉は大変貴重な存在だ。
「若葉ちゃんに雪ちゃんに凛ちゃんね。よし!覚えた!」
何度か三人の名前を繰り返すと、サクラは本当に覚えたようで間違える事なく名前を呼んだ。
サクラはこの店では丁度真ん中らへんの立ち位置らしく、初めてのホストクラブの雪乃達に色々とホストについて教えてくれた。
指名についてやシャンパンコール、料金の事についても嫌がる事なく話してくれ、お金がなくても後あと払うと言う事で未収というものがあり、未収を回収できずいなくなられる事もある事まで・・・サクラが話している間、凛の手が止まる事はなかった。
サクラのホスト講座がキリよく終わると、サクラは違う席に行くと言う事で席を離れた。
次に席に来たのは若葉が良いと言っていた笑顔君とお店の入り口に大きく飾ってあったNo.1とNo.3の三人だった。
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