第3話 イケメン
玄関に入るとさっきとは打って変わり至って普通の何の変哲もない下駄箱があった。使ったときには何もなかったが本当に何もないのかつい疑ってしまう。
あの子達が所属している文芸部も高校見学のときは普通だったので今下駄箱が変な風に変わっている可能性は捨てきれないのだ。
開けたくないな。でも、普通に他の人たちは開けてけるけど別に何も起こってないし、ビックリした様子もないから開けるか。
下駄箱を開けてみると大量の手紙が入っており開けた時に生じた振動のせいか床に一通の手紙がひらひらと落ちていく。何で入ってるんだ?床に落ちた手紙を拾って裏を見ると黒いマーカーで『黒崎悠一様へ♡』と書いてあった。
俺は不思議に思い下駄箱のプレートを見ると確かに黒崎悠一となっている。いつのまにか隣の下駄箱を開けていたらしい。でも、隣の下駄箱は二年が使っているわけではないよな?何で初日から早速様付けされて呼ばれているんだろう。
しかもこれ、ハートマークがついているということはラブレターってやつの可能性が高いし。入学式がこの高校には無いのにいつ惚れられたんだ。惚れるチャンスといえば高校見学のときぐらいしかない。
それでこの人数の女子を篭絡するとは恐ろしい。恐らく超絶イケメンで金持ち、性格も良しという恵まれすぎている人に違いない。俺はそんな奴がいることに戦慄を覚えながら手紙を入れて下駄箱を閉めた。
そして、今度はちゃんと自分の名前が貼ってあることを確認し、下駄箱に靴をしまう。中学三年生に大きめのを買ったが予想したよりも大きくならなかったせいでまだ大きい上履きを手提げから取り出した。
ちなみに上履きはこの高校では特に指定はない。なので俺は中学校のときに買った上履きを使っているが、周りの人には普通に外で履きそうなファッションナブルな靴を履く人がチラホラ居る。ただ、さすがにブーツを履く人は居なさそうだ。
親切に『1年生はコチラ』という張り紙に従い目の前にある階段を上り、もう一回階段を上ると今度は右方向に矢印のマークが貼ってあったのでそちら側に行くと1-Aの教室に着いた。
1-Aの教室に着くと黒板に大きく『席は自由にしろ』と書かれていた。別にいいんだが、そうすると他校の中学生と仲良くする機会が失われる可能性が無いか?自由にしちゃいけないのものあると思う。
俺が来たときには少し他の子が居た。自然と中学生時代の習慣?それとも常識か?に従って男子女子は列でしっかり別れているようだ。ここは男友達がいるところの後ろか前に座りたいところだが中学校時代の知り合いすら男子には居ない。
女子はいたが、別に何か思うところもないしそいつが隣に居れば安全ということもない。なのでここは知り合いが来ることに期待をこめて前後が空いている席に俺は座る。
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