第15話 火計


琥珀が起きると曹操が横で琥珀の髪を指ですいているのだった。


琥珀

「クスクス、なにしているかと思ったら」


曹操

「おはよう、いいではないか。

お前の髪はサラサラで綺麗なのだからこうやっていつも触っていたいのだ」


琥珀

「おはよう、でもそろそろ着替えなくては夏侯惇が来るのでは?」


曹操

「今日までは大丈夫だ、休みを取った。

お前とこうやって居るのが夢のようだ」


琥珀

「大げさね、もう妻なのだから約束通り守ってね」


曹操

「ああ、誰にも渡さぬ」


曹操は肌身離さず付けている翡翠のバングルを琥珀に一つ外し琥珀の手に付ける。


琥珀

「曹操?」


曹操

「これは私の母の形見だ、お前に似合う。」


琥珀

「でも大切な形見・・・・・・・・。」


曹操

「私はもう一つあるからいいのだ。これはお前が私の妻だという証だ。」


琥珀

「有難う、でも私は何も・・・・・・・・」


曹操

「私はお前が傍に居てくれるだけで十分だ。」


その日も二人で過ごす曹操と琥珀、張遼は呉陣営に潜り込んでいた。


由妃が縁側で少しため息を吐いた。


由妃

「はぁ・・・・・・・・・」


諸葛亮

「どうした?」


由妃

「諸葛亮、ため息も吐くわ。

ここでの暮らしが息苦しいの。」


諸葛亮

「仕方あるまい、ここは呉だ孫権殿の領地だからな。」


由妃

「諸葛亮は孫権殿の妹君と上手くいっている。」


諸葛亮

「いきなりどうした?昨日の事は忘れてくれと言ったであろう?」


由妃

「分かっているわよ。

諸葛亮の愛するものが曹操の陣に居たらどうする。」


諸葛亮

「そうだな、時と場合によるが必ず取り戻す。」


由妃

「なら、相手の人が必ず迎えに来るから待っていてと言われたら?」


諸葛亮

「待つしかないのではないか?

だが私は動く!

愛しい者はこの腕にいつも抱いていたいからな。」


由妃

「意外と男らしいこと言うのね。」


諸葛亮

「フッ、惚れたか?」


由妃

「そうね、想い人が居なかったら惚れたかも。」


諸葛亮

「そうか、お前は寂しいのだな。」


由妃

「クスッ、そうね、そうとも言う。」


諸葛亮

「だがあまり無茶をしないでくれ。

あまり無謀な事されると後が困る。」


由妃

「分かったわ、それと悪い情と良い情報があるわ。」


諸葛亮

「なに!!それはなんだ?」


由妃

「曹操の陣で風土病か流行り出していて思ったより早く曹操は戦を始めようと考えている。」


諸葛亮

「マズイな・・・・・・・・・。」


由妃

「だけど良い情報は貴方も気づいているでしょう、風向きが明日にでも変わるわ。」


諸葛亮

「それは本当か?」


由妃

「ええ、それと今日は私、この陣に居ないから。

明日の夕方に帰って来るわ。」


諸葛亮

「何処に行くのだ?」


由妃

「呉の町で少し気分転換して宿に泊まる。

息が詰まりそうで皆に八つ当たりしそうなのよ。」


諸葛亮

「そうか、気分転換も大切だからな。」


由妃

「この戦い、天は貴方方に味方するわ。

琥珀には悪いけど私の勘は当たるから。」


諸葛亮

「・・・・・・・・・そうか。

だがお前は曹操が死んだ後どうするのだ?

孫権殿に求婚をされているのだろう?」


由妃

「琥珀次第よ。

一人になった妹をほって置けないじゃない。」


諸葛亮

「妹の為に己の人生を閉ざすのか・・・・・・・・・。」


由妃

「双子だから分かるのよ。

琥珀は曹操と生死を一緒にすると決めているわ。

だから今は彼との時間を大切にしたいという気持ちも大きいはず、でも貴方方の事を心底心配し安住の地を与えようとしている。」


諸葛亮

「・・・・・・・・・そうか。

そうしてまで鬼達に何故生涯を捧げるのだ?」


由妃

「父が愛した鬼の一族よ。

昨日言ったでしょう。

私達にもその血が半分入っている。

見捨てることが出来ないだけよ。」


諸葛亮

「今はお前を信じるよ。」


由妃

「有難う、いつ戦が始まって良い様に準備をしておいてね。」


諸葛亮

「ああ、今から軍議だがどうする?

顔は出さないと孫権殿が怪しむが?」


由妃

「軍議は出るわ。

今の情報を言っても構わないわよね。」


諸葛亮

「ああ、構わない。」


軍議が始まると由妃が話し出した。


由妃

「この前婚儀に参列したときに得た情報があるわ。

曹操の陣で風土病が流行っている。」


孫権

「此方には好都合ではないか。」


由妃

「不都合よ、その為曹操は思ったより早く争いを始めようとしている。」


劉備

「だけど琥珀がなんとか時間を稼いでいるから大丈夫だよ。」


由妃

「・・・・・・・・・ごめんだけど琥珀は曹操の所に行った時に倒れ記憶を失っているわ。」


諸葛亮

「なんだと!?」


由妃

「それで好都合な事もある。

曹操は琥珀か記憶を失っているうちに婚儀をして妻と迎えた琥珀に呉と争いを始まる事を知られない様にしているわ。」


孫権

「だがそれなら尚更戦がし易いのではないか?」


由妃

「孫権殿、琥珀は戦の中で母親を亡くしているのよ。

戦が嫌いなのは曹操も承知の上よ。

だから曹操も戦を始めるのが容易くないと言う事よ。」


諸葛亮

「だが、何故そんなに曹操は琥珀に気を使うのだ?」


由妃

「琥珀は曹操と約束しているのよ。

曹操が大陸制覇を始めたら別れる事を・・・・・・・・・。

だから曹操は琥珀を愛しているから手離したくないわけよ。

それと良い事もあるわ。

明日には風向きが変わるわ。」


孫権

「本当なのか!?」


由妃

「ええ、それは確実よ。

で、私は少し息抜きには出るわ。」


孫権

「なっ!逃げる訳ではないだろうな!!」


由妃

「信用されてないのね。

これだけの情報をあげても信用されないのね。

悲しいわ孫権殿。」


孫権

「・・・・・・・・・。

だが・・・・・・・・・。」


由妃

「いいわ、明日の夕方には帰って来るから出て来るわ。」


諸葛亮

「由妃、曹操は明日には戦を始めないのか?」


由妃

「明日までは曹操も始めないと思う。

だからそこを突くのよ。

でも曹操は勘がいい男よ。

用心をする事ね。」


由妃は部屋から出て行くのだった。


諸葛亮

「孫権殿!?

少しは由妃を信用してくれても良いのではないか?

血のわけた妹が敵陣にも居るにも関わらず此処に我らに味方してくれているのだ。

それとも孫権殿が曹操に臆していると言うのか?」


孫権

「なに!!我は少しも臆していない!!」


諸葛亮

「ではそれなりに孫権殿も行動して貰いたい。」


珍しく諸葛亮が怒っている様だった。


趙雲

「軍師殿珍しく冷静では無いのだな・・・・・・・・・。」


諸葛亮

「あまりにも孫権殿が信用しないのでな腹が立っただけだ。

あれでは由妃が可哀想すぎる。

それと趙雲、私も出掛けてくる。

もしかしたら帰りは明日になる。」


趙雲

「承知した。」


由妃は呉の町で少し買い物をしているといきなり路地に引き込まれる。


張遼

「相変わらず隙だらけですね由妃」


由妃

「相変わらず強引ね張遼・・・・・・・・・」


張遼

「!!どうしたのですか?引いた手が痛かったのですか?」


涙を流している由妃に驚く張遼。


由妃

「私もたまには泣くわ。」


張遼

「寂しい思いをさせてすいません。

出来れば早く貴女を迎えたのですが・・・・・・・・・。」


由妃

「良いのよ。

私もそんなに聞き分けが悪い子供でもないわ。」


張遼

「今日はこれを貴女に差し上げたくて来ました。」


由妃

「綺麗な石のネックレスね。

有難う。」


張遼

「はい、貴女によく似合います。

今日は此処の宿に泊まるのですが一緒に居てくれませんか?」


由妃

「祝言も挙げてないのに?それに泣いていたからと気を遣わなくても良いのよ。」


張遼

「私も貴女に愛を沢山あげたいのです。

贈り物や愛の言葉は何時でも出来ます。

駄目ですか?」


由妃

「駄目ですかと言われても・・・・・・・・・

断る理由はないわ、私も貴方の愛が欲しい。」


その時2人に声を掛けてきた者が居た。


???

「二人共待ってくれ。」


由妃

「諸葛亮!!」


張遼

「なぜ貴方が・・・・・・・・・。」


諸葛亮

「矢張り相手は張遼だったか・・・・・・・・・」


張遼

「・・・・・・・・・。」


由妃

「諸葛亮どうしたの邪魔しに来たの?」


諸葛亮

「そうだな、そうとも言う。」


由妃

「貴方らしくないわね!?」


諸葛亮

「お前の幸せを思えばだ!!」


由妃

「どう言う事?」


張遼

「由妃は渡しませんよ!!」


何時も冷静な張遼が由妃を抱きしめて動揺しているようだった。


由妃

「張遼どうしたの?」


諸葛亮

「では話そう、張遼良いな?」


由妃

「なに、何か隠しているの?」


張遼

「くっ!・・・・・・・・・。」


諸葛亮

「由妃よ、お前の幸せを思えばの事だ私を許してくれ。」


由妃

「なによ意味が分からないわ!?」


諸葛亮

「張遼、お前死人であろう?」


張遼

「・・・・・・・・・矢張り貴方に・・・

どうしても邪魔されてしまうのですね・・・・・・・・・。」


由妃

「えっ、何言っているの?張遼・・・こんなに温かいし死人ではないわよ!?」


諸葛亮

「聞いた事がある。

呂布は仙女だったのであろう、死んだ魂を生き返らせ家臣にしていたと。」


由妃

「!!!!

ちょう・・・りょう・・・本当なの・・・?」


張遼は由妃に悲しげに微笑んだ。


張遼

「ええ本当です・・・。

でも私はこんなにも貴女を愛しています。

それだけは信じて下さい。」


由妃

「では、何故呂布が死んだ時に貴方も消えるのでは?」


張遼

「それは知りません・・・

呂布様が掛けた術と私の思いが強かったのかまだこうやって形取っています・・・・・・・・・。」


由妃

「嘘よ・・・張遼、嘘と言って!!

ねっ!嘘でしょう!!」


諸葛亮

「現実は残酷なのだな・・・。

本題に入る、張遼!!私に由妃を託してくれ。

必ず幸せにする。

いずれお前は消える、それともそのまま連れ去り由妃を不幸にしたいのか?」


張遼

「・・・・・・・・・。

そうですね、私はもうこの身体では永く居られないようです。

でも由妃を愛しています。

それだけは永遠に変わりません。

由妃、貴女に会えた事、貴女にこうした事私は悔やんでいません。」


由妃

「じゃ何故私だったのよ!!

私もこんなに愛しているのに・・・・・・・・・。」


張遼

「私の人生は一度呂布様に狂わされています。

だから貴女を見つけ私もやり直せると思いましたが・・・・・・・・・。」


由妃

「一度生き返らせた者は二度は生き返らせる事が出来ないわ。

契約者が死んだ後は自然に消える。」


張遼

「そうですね。

私もあまり時間が無さそうです。

由妃許して下さい。

次は戦場で会いましょう。」


張遼は消え、よろめいた由妃を抱き締める諸葛亮。


由妃

「酷いわ・・・・・・・・・諸葛亮。

そのままにして置いてくれても良かったのに・・・・・・・・・。

もう・・・心が折れそうよ・・・・・・・・・。」


諸葛亮

「すまない・・・・・・・・・。

お前が死人と一緒に死んでいくのを見ていられなかった。

思った以上に私もお前を好きになってしまっている。」


由妃

「尚香は如何するのよ?

それとも私を側室にでもするき?

それとも孫権の正室になれとでも!!」


諸葛亮

「落ち着け!!

由妃よ、私はお前を幸せにすると言った。

意味は分かるな。

お前を私の正室に迎えて私の傍で何時も笑っていて欲しい。」


由妃

「もう・・・・・・・・・

何が何だか分かんない・・・・・・・・・。」


諸葛亮

「今は私を見ていてくれ・・・・・・・・・。」


2人共宿て一夜を過ごすのだった。


翌日の夕方に風が変わると由妃はニコッと笑う


諸葛亮

「行こうか。」


由妃

「ええ。」


諸葛亮

「お前の事だ張遼と共に死のうとは考えていないとは思うが・・・・・・・・・。」


由妃

「大丈夫よ、流石に宿に行った時は貴方に抱かれとる思ったけど抱き締めたまま寝るだけなんて、貴方も紳士なのね。」


諸葛亮

「フッ、本当は物にしたかったさ。

だが抱いてしまえばお前は多分・・・」


由妃

「有難う。

もう少し考えてみるわ。」


諸葛亮

「ああ、戦もある。

良い返事を待っているぞ。」


由妃

「あまり期待しないで、天下の孔明様の妻となれば苦労も見えているものクスクス。」


諸葛亮

「フッ、なんとても言え。」


仲良く陣に帰る2人だった。


琥珀

「生暖かい風ね・・・風向きがかわったのね。」


曹操

「そうだな・・・・・・・・」

(なんだこの胸騒ぎは・・・・・・。)


琥珀

「曹操、服着て外の空気吸わない?」


曹操

「そうだな・・・・・・。」


琥珀

「曹操?どうしたの。」


曹操

「いや、何でもない。

少し気なることがあるからお前は中庭で風に当たるのだぞ。

まだ外には出てはならないからな。」


琥珀

「わかってるわ。

早く中庭に来てね。」


曹操

「ああ。」


曹操は夏侯惇のところに行く。

そのころ諸葛亮は琥珀に合図を出すのだった。


諸葛亮

(琥珀、気付き逃げてくれよ・・・・・・・。)


孫堅

「由妃殿は何処だ?」


由妃

「此処にいるわよご心配なく。

みんな行くわよ!!!!」


劉備軍

「オー!!!!」


周喩

「出陣だ!!!!!」


呉軍

「お!!!!!!!」


船の先端に火をつけ火計が始まるのだった。


曹操

「呉陣の様子はどうだ?」


夏侯惇

「変わった様子は見受けられないのですがなにやらポツポツと明かりが飛んでくるのです・・・・・」


曹操

「くっ!!

夏侯惇来るぞ!!

迎える準備をするんだ!!!!」


夏侯惇

「ハッ!!」


曹操が急ぎ琥珀のもとに来た。


曹操

「琥珀!!」


琥珀

「曹操?なんだか外が騒がしいわ?」


琥珀が空を見ると諸葛亮が飛ばした合図の灯りが沢山飛んでいた。


曹操

「呉との戦が始まったのだ・・・・・・・」


琥珀

「!!・・・・・・・・・。」


そう、琥珀は欠落していた記憶をおもいだしたのである。


曹操

「お前は先に荊州に行け。」


琥珀

「スクスク、嫌よ」


曹操

「どうした琥珀」


琥珀

「曹操、今からでも遅くないわ!!

戦をやめ許都に帰りましょう!?」


曹操

「我が負けると?」


琥珀

「ええ、この戦、貴方が負けるわ!!

呉の陣には私の姉も居るのよ。

姉さんには誰も勝てないわ!!」


曹操

「!!記憶をなくした振りをしていたのか・・・・・・・・琥珀・・・。」


琥珀

「記憶を無くしていたのは本当よ!!

今思い出したの・・・曹操お願い!!

今ならやり直せるわ、私は貴方と幸せに暮らしたい。

戦なんてやめて!!」


曹操は琥珀を一度抱きしめ言う


曹操

「始めったものは止める事が出来ないんだよ琥珀。

張遼!!琥珀を連れ荊州に行け!!」


張遼

「はい、畏まりました。」


曹操は陣に戻っていくのだった。


張遼

「琥珀様行きましょうか?」


琥珀

「張遼、この服では動きにくいわ。

鍛錬に使う服を用意してちょうだい。」


張遼

「ただいま。」


琥珀は服を着替え張遼に言う


琥珀

「張遼、ここに残って居る兵を連れこのルートを渡り荊州に行くのです。」


張遼

「琥珀様は?」


琥珀

「私は曹操の妻です。

彼のそばに行くわ!」


張遼

「ですが・・・・・・・・・。」


琥珀

「兵を逃がしたら張遼、曹操達も撤退してきます。

貴方が曹操を荊州に逃がし荊州から直ぐに許都に逃げるのですよ。」


張遼

「畏まりました。」

(やはり姉妹ですね。

ですがもう私は・・・・・・・・・)


張遼は消え琥珀は曹操の陣に走り出す

そのころ戦況は最悪で曹操軍は壊滅状態だった。


由妃

「はあああぁぁ!!!!」


ドシャーン!!!!!


夏侯淵

「なっ!!あれは由妃!!」


夏侯惇

「一振りで船が沈んだだと!!」


逃げ惑う兵を琥珀は張遼の方へ導き曹操が居る船へ急ぐ琥珀だか張遼も又由妃の居る船へ現れたのだった。


由妃

「張遼!!」


張遼

「約束ですので参りました。」


由妃

「そう・・・・・・・・・。」


張遼

「私と一緒に死んで下さい由妃!!」


ガシャン!!!!


キン!!


ギシギシ!!


由妃

「張遼!!その申し出、お断りするわ!!!!」


張遼

「フッ、貴女ならそう言うと思ってましたよ。」


ガシャン!!!!


壮絶な斬り合いかしばく続くと張遼に隙が出来由妃は斬り込んだ。


由妃

「はああああ!!!!!」


その時張遼は既に剣を捨てており最初から由妃に斬られるつもりでいたのだった、由妃も又それを分かっていて剣を振り下ろすのだった。


張遼

「くっ!!流石です由妃、私の愛した人。」


由妃

「張遼・・・・・・・・・・」


由妃は張遼を抱き締める泣き崩れる。


張遼

「由妃、私は此処に貴女を連れて来たことは後悔していませんよ。

愛しい人幸せに・・・・・・・・・・」


由妃

「私も愛していたわ張遼。」


張遼

「はい、有難う由妃。」


砂のように消える張遼、由妃は涙を拭いそのまま琥珀の元へと急ぐのだった。


夏侯惇

「曹操様!!ご無事ですか!!」


曹操

「くっ・・・・・大丈夫だ!!」


夏侯惇

「火の回りが早すぎます、ここは撤退しましょう。」


周喩

「逃がすか!!!!」


曹操

「お前は周喩・・・・・・・・・。」


周喩

「曹操!!首を頂戴するぞ!」


激しい斬り合いが始まった。


曹操

「フッ、この程度の腕では我に勝てぬぞ!

はあああああ!!」


炎に包まれながらの戦いは天は周瑜に味方した。


趙雲

「大丈夫か!!」


関羽

「曹操!!」


関羽は夏侯惇を防ぎ周喩と趙雲は曹操と戦うのだった。


趙雲

「クッ!!なんだこの力は・・・・・・・」


曹操

「容易くやられる我ではない!!」


時間が経てば経つほど曹操には不利な時だったか船尾方向から周喩めがけ槍が飛んできた。


キン!!


周喩

「ハッ!!何者!!」


炎の中から現れてのが琥珀だった。


琥珀

「あらら、一人相手に二人は卑怯じゃない?」


曹操

「琥珀!!なぜここに!!」


琥珀

「あらっ、妻ですもの傍にいるのが当たり前じゃない?」


周喩

「では・・・・・・・曹操の味方なのだな。」


琥珀

「クスクス、当たり前じゃない。

命が欲しければ逃げるのね。

船尾の呉兵は皆川に落ちたわよ。」


周喩

「なっ!!」


琥珀

「夏侯淵!!」


夏侯淵

「ハッ!!」


琥珀

「曹操を連れ逃げて。

あの傷ではもう戦う体力はないわ。

お願い!!。」


夏侯淵

「分かりました。」


曹操

「なっ、駄目だ!!

琥珀お前も一緒だ!!」


夏侯淵

「急いで下さい曹操様!!」


夏侯淵は曹操を押さえながら船に乗るのだった。


琥珀

「夏侯惇、少し趙雲と関羽の相手していてね」


夏侯惇

「分かりました。」


その時に由妃も姿を現わすのだった。


琥珀

「姉さん・・・・・・・・・」


由妃

「どうしたの?」


琥珀

(姉さんはやはり呉の味方よね・・・・・・・・・)


夏侯惇が剣を構えると由妃は周喩の隣に立ち一瞬ニコッと琥珀に笑う


周喩

「ハッ!!」


由妃

「相変わらず隙だらけね周喩!!」


周喩

「うわあああああ!!由妃貴様!!」


ジャボン!!!!!


周瑜を川に突き落としたのだった。


由妃

「夏侯惇もういいわ。」


夏侯惇

「えっ?」


琥珀

「貴方もほら船が来ているわよ。」


夏侯惇

「ですが由妃様!!琥珀様!!」


琥珀

「夏侯惇・・・・・・・・曹操をお願いね。

許都に戻り中原の王になってと言ってね」


夏侯惇

「!!琥珀様まさか・・・・・・・・。」


琥珀

「私はもう曹操の傍には居られないの、多くの罪のない兵士を巻き込み死なせた罪は大きいわ。

あの人の妻が人殺しではダメでしょう?」


夏侯惇

「ですが、戦というものはそういうものです。」


琥珀

「違うの・・・・・・・この策を初めから知っていたのよ。

ごめんね・・・夏侯惇。」


夏侯惇

「琥珀様・・・・・・・・。」


琥珀

「曹操をお願いね、貴方が支え立派な王にして。」


由妃

「張遼も死んだわ、貴方が荊州から曹操を直ぐに許都に逃すのよ夏侯惇。」


琥珀

「!!姉さん・・・・・・・・・・。」


夏侯惇

「・・・承知しました、琥珀様と由妃様に武運を!!」


夏侯惇は船に飛び乗っていった。


琥珀

「・・・・・・・・・趙雲、関羽。」


趙雲

「2人共帰ろう。

もう火がここまで来ている。」


関羽

「ええ、そうよ。」


琥珀

「有難う趙雲、関羽。

ほら、周瑜の船が来ているわ。」


なぜか琥珀は関羽に由妃は趙雲に抱き付きいうのだった


琥珀

「二人とも幸せになってね。」


由妃

「諸葛亮に貴方の側に居られなくてごめんと・・・・・・・・・」


趙雲

「由妃・琥珀お前等・・・・・・・」


琥珀

「私は曹操の妻よ貴方たちともう居れないわ・・・・・・・

可愛い妹分に最愛なる家臣。

幸せになって。」


趙雲

「だが、公孫賛様からお前等のことを頼まれている。」


琥珀

「父の最後の言葉を貴方に伝えるわね。

好きに生きよ我が息子よ・・・・・・

趙雲!!!!!

関羽を離すな!!!!」


周瑜の船に突き飛ばした。


趙雲

「由妃、琥珀!!!!!!!」


琥珀

「姉さん・・・・・・・・・。」


由妃

「これで本当に良いの?」


琥珀

「うん・・・・・・・・・。

姉さんまで巻き込んでごめんね・・・・・・・・。」


由妃

「良いのよ、さあこれに包まって。」


由妃のマントに2人はくるまり


由妃

「行くわよ。」


その後船は炎に巻かれ沈んでいくのだった。


諸葛亮

「そうか・・・・・・・・・。

船とともに沈んだか・・・・・・・・・。」

(由妃も琥珀と一緒に、生きていると良いのだが・・・・・・・・・。)


関羽は号泣していた。


その後曹操軍は命からがら許都に帰り長江の赤壁の火計は琥珀と由妃によって呉軍、劉備軍に勝利をもたらし、何時までも紅蓮の炎で包まれた。

しばらくして甘夫人が病気で亡くなり、劉備は尚香と結婚したのだった。それは由妃も知らなかった、全て諸葛亮の策だった。


諸葛亮

「やはり遺体は見つからなかったか・・・・・・・・・」

(フッ、上手く逃げたのだな由妃よ。

我ながら本当に惜しい事をしたな。

生きていれば又会えるだろう。)


趙雲

「ああ・・・・・・・・・。」


関羽

「あの2人のことだから生きているわ、私は信じている。」


趙雲

「そうだな。」


趙雲は空を見上げるのだった。




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