第12話 南侵


曹操は玉座に座って思うのだった。


曹操

(琥珀なぜ我のもとに来ぬ・・・・・・・・。

こんなにも愛しく思うとるというのに・・・。)


その頃劉備達は曹操軍の襲撃があるとも知らず新野でのどかに暮らしていたが。


諸葛亮の部屋に文矢がうたれた。


ガツ!


諸葛亮

「なっ!!」


諸葛亮が文を読むと


曹操軍10万荊州に向かう。

指揮する者夏侯惇、張遼。

注意せよ。


諸葛亮

「誰なんだ・・・・・・・・」


諸葛亮は劉備及び鬼の一族を集め策を練るのだった。


趙雲

「軍師殿どうする?」


諸葛亮

「火計を仕掛けたい。」


劉備

「火計で追い払うのだな。」


諸葛亮

「はい、この新野は草木、藁が多くはえており

火計には最適な土地ですがそこまで誘い込むには・・・・・・・・」


趙雲

「では俺が誘い込もう。」


諸葛亮

「では最初は戦う素振りをし逃げ誘い込んでくれ、相手に罠だとバレないようにな!?

相手は戦慣れしている夏侯惇と張遼だ!?」


趙雲

「なっ!!夏侯惇と張遼か・・・・・・・・・」


関羽

「では私も趙雲と出るわ。」


諸葛亮

「そうだな、関羽は夏侯惇と張遼に顔も知れているから罠だと思われずにすむ。」


趙雲

「では軍師殿その策で進めよう。」


それから夏侯惇と張遼が諸葛亮の火計の罠にはまりやむなく撤退曹操が下したのが・・・・・・・・。


夏侯惇

「申し訳ありません!!」


曹操

「ククククク・・・・・・・やるな臥龍よ。」


夏侯惇

「曹操様、今一度我にチャンスを!?」


曹操

「夏侯惇、そう焦るな。」


夏侯惇

「で、ですが・・・・・・・。」


曹操

「皆の者きけ!

我ら曹操軍の力もここまで大きな物にした。

これより本格的に南侵を始める!!

第一陣夏侯惇、第二陣夏侯淵、第三陣張遼、

第四陣賈挧、第五陣は我自ら指揮をとる。」


曹操軍

「おー!!!!」


賈挧

「陣ごとに軍勢の人数はどうされますか?」


曹操

「陣ごとに10万!総勢50万で出陣する!!」


4人

「ハッ!!」


まもなく南侵を始める曹操。


琥珀は分かっていた。


自分が曹操のもとに行っても曹操が南侵をやめないことを・・・・・・・・・・・。


諸葛亮

「もう新野では曹操と戦う事ができません。江陵に向いましょう。」


劉備

「我々を信じてくれた民たちを置いてはゆけぬ」


諸葛亮

「で、ですか難民を抱えての移動は困難を・・・・・・・」


劉備

「分かっておるが民は大切な宝だ置いてはゆけぬ。」


劉備達は難民を抱えての移動を始めるのだった。


由妃

「・・・・・・・・・ザッツと見て50万。」


琥珀

「最後尾に曹操の陣があるのね・・・・・・・・・」


また姿を消す2人


趙雲

「50万!!」


関羽

「これでは襄陽に行き援軍を劉表様にお願いしないと勝ち目がないわ!」


諸葛亮

「無駄だ・・・・・・・・・。」


趙雲

「どういう事だ?」


諸葛亮

「襄陽は今頃曹操の物となっているはずだ。

曹操も馬鹿ではない。」


関羽

「でも、どうすれば・・・・・・・・。」


諸葛亮

「この調子だと長坂坡で曹操と戦いになるだろう・・・・・・・。」


趙雲

「琥珀はなにを考えたいるんだ!?

琥珀が曹操の元に帰れば争いも終わるのではないか?」


諸葛亮

「それは無理だ、琥珀と言う者も利口だというべきだ。」


趙雲

「どういう事だ?」


諸葛亮

「先の戦いお前はどう見た?」


趙雲

「軍師殿の策で大勝利だったはずだが・・・・・・・・?」


諸葛亮

「お前は感じなかったのか?」


趙雲

「なにを?」


諸葛亮

「曹操軍は民には目もくれず鬼だけを襲ってきた!それがどういう意味かわかるか?」


趙雲

「曹操は鬼だけを殲滅したがっていると言う事なのか?」


諸葛亮

「そうだ、琥珀というものが姿を現さないのも一つの策だと思うのだが曹操は鬼の存在が邪魔と見た。」


関羽

「そんな・・・・・・・・。」


諸葛亮

「現実はこんなものだ。

琥珀というものは鬼を大切に思っていたのであろう?」


趙雲

「ああ・・・・・・・・。」


諸葛亮

「曹操は鬼を残らず殲滅すれば琥珀は自ずと自分のところに来ると思ったのであろう。」


趙雲

「琥珀・・・・・・・・。」


諸葛亮

「それにもう一つ聞いて良いか?」


趙雲

「ああ、なんだ?」


諸葛亮

「由妃と言っておったが・・・もしや涼州の猛将由妃ではないか?」


趙雲

「そうだ、琥珀の双子の姉だ」


諸葛亮

「なるほど〜では尚更琥珀と由妃は出てこぬ。

あの由妃は我と匹敵するぐらい軍師の才があってな、あの馬騰、馬超が惚れた女だと聞く。

我も興味を持っていたところだ。」

(あの文矢、由妃かもしれんな。)


由妃

「琥珀、私は夏口で劉琦様と会うわ。」


琥珀

「じゃ、私も」


由妃

「駄目、貴女が居ると劉琦様との駆け引きが出来ない。」


琥珀

「じゃ私はここで待つわ。」


由妃

「そうね、曹操がどう出るか見ていてちょうだい。」


由妃は夏口に向かうのだった。


由妃

「劉琦様お久しぶりです。」


劉琦

「由妃さん!!ご無事だったのですね。」


由妃

「はい、ですが余り時間が無いのでお話だけでもとお伺いしたのですが?」


劉琦

「私にできる事なら手を貸します。」


由妃

「劉備様達が此方に来ると思います。

その時に一緒同盟を結んで下さい。」


劉琦

「はい、もう劉備殿は我らの仲間ですから」


由妃

「劉琦様はお父様である劉表様がもう亡くなられているのはご存知ですか?」


劉琦

「はい、曹操が荊州侵攻した時にそうだと思ってました。」


由妃

「では劉備様と劉琦様で呉に渡り呉と同盟を結んで下さい。

そうすれば曹操を荊州から追い出す事が出来ると思います。」


劉琦

「ですが同盟を呉と結ぶのは難しいのでは?

我ら荊州からは呉も敵軍です。

特に孫権殿は良く思ってないと思いますが?」


由妃

「そこを劉備様、劉琦様、諸葛亮殿で上手く纏め同盟を結んで頂きたい。」


劉琦

「私にも利はあるのでしょうか?」


由妃

「曹操を荊州から上手く追い出したら貴方は今まで通りこの夏口を治める事が出来ます。」


劉琦

「私も貴女を想う男です。

良い交渉ですが私からお願いが有ります。」


由妃

「お願い?」


劉琦

「貴女の口付けが欲しいのです。」


由妃はニコッと笑い劉琦の首に手を回し口付けをするのだった。


劉琦

「由妃さん・・・・・・・・・」


由妃

「では、約束通りにお願いしますね。」


劉琦

「由妃さん、貴女は私の鞘に収まらない方だと分かっていても好きです。」


劉琦は由妃を優しく抱き締めるのだった。


由妃

「劉琦様、お気持ちだけ頂いておきます。

私がここに来た事は絶対に誰にも言わないで下さい。

バレると劉琦様まで危ないですから。」


劉琦

「分かりました。

では由妃さんにご武運を」


由妃

「有難う御座います。」


由妃は夏口から去るのだった。


劉備達は長坂坡では壮絶な戦いになり劉備の妻、子が逃げ遅れたことを聞き趙雲は単独で救出に向かうのだった。


劉備軍兵1

「敵中に趙雲殿が一人で!!」


劉備軍兵1

「もしや曹操軍に寝返ったのでは!!」


劉備はその兵に平手打ちをする。


劉備

「趙雲は私を捨てて逃げたりはしない!!」


民を逃がす劉備、その頃敵で充満している場所に劉備の子阿斗、甘夫人はおり今にも殺されかけているところを趙雲が救ったのだったが趙雲も負傷をする中甘夫人は趙雲の足でまといになると井戸に身を投げるのだった。


やむ得なく趙雲は阿斗だけを連れ帰陣するとそれを見届けた張飛が長坂坡の橋に仁王立ちし、蛇矛を構え劉備および民を逃がすため身命を捨ててこの場所にのこった。

雷声がこの時、戦場に轟き渡る。


張飛

「我こそは張益徳なり!!死を賭けて戦おうぞっ!!!!」


曹操の軍勢は恐怖のあまり、総崩れとなって我先に逃げ出すのがやっとであった。


諸葛亮の案で江陵に向かわず夏口に向かい劉琦と合流し呉の孫権と同盟を結ぶ為に動くのだった。


曹操は江陵を落とし次の策を練るなか、由妃と琥珀は長坂坡で井戸に身を投げた甘夫人を救出し人目のつかないところで手当をしていた。


琥珀

「甘大丈夫?」


「由妃と琥珀・・・有難う。

生きているのが不思議だわ・・・・・・・。」


由妃

「なぜ、趙雲が助けに来たのに身を投げたの?」


「足でまといになっていたので、それに趙雲も負傷し危うかったから。」


琥珀

「そう・・・・・・・。

少し良くなったら呉に向かうわよ。

もう劉備達も向かっているはずだから」


「ええ・・・・・・・・。」


様子を見ながら由妃と琥珀たちも呉に向かうのだった。


その頃荊州を手に入れた曹操


曹操

(おかしい・・・・・・・・・・

由妃と琥珀の姿が見えない?

劉備め2人を隠しているのだな!!)

「夏侯惇、間者から情報はまだか?」


夏侯淵

「ハッ、琥珀様はまだ姿を見ていないうえ劉備達が何処かに囲っているのやもしれません?」


曹操

「そうか・・・・・・・・・・。

よい、引き続き情報を集めよ!!」


曹操達も軍備を整えるのだった。


2人は負傷した甘夫人を連れての旅は時間がかかるが置いて行けずにいた。


琥珀

(曹操・・・貴方は赤壁の戦いを始めてしまうのね・・・・・・・・・。)

「甘、少し急ぎましょう!!」


甘夫人

「はい」


急ぐ三人だか曹操の耳に情報が入ってしまうのだった。


曹操

「フフフフフ・・・・・・・。

呉が鬼どもと手を組んだか。」


夏侯惇

「はい」


賈栩

「流石諸葛亮と言うべきですな。」


曹操

「この曹操の申し出を断り鬼と組むか孫権。

夏侯惇、賈栩、軍備が整い次第呉を侵攻する。」


2人

「ハッ!!」


動き出すのだった。


張遼

「曹操殿少し良いですか?」


曹操

「なんだ張遼?」


張遼

「曹操殿はあの2人を手に入れたいのですか?

それとも琥珀さんだけ手に入れたいのですか?」


曹操

「2人だ!!」


張遼

「でも、曹操殿が愛しく思われているのは琥珀さんだけですよね?」


曹操

「そうだが?それがどうした?」


張遼

「では2人共手に入った際は由妃さんを私にくださいませんか?」


曹操

「どういう意味だ?」


張遼

「私は由妃さんを愛しています。

妻に迎えたいのです。」


曹操

「ほう〜お前もそれなりの働きをしたら由妃をお前にくれてやる。」


張遼

「有難きお言葉、では必ずやお役に立ってまいります。」

(由妃もう少しで会えますよ。)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


由妃

「琥珀は曹操を愛しているの?」


琥珀

「藪から棒にどうしたの?」


由妃

「貴女の心内を知りたいからよ。」


琥珀

「愛してるからこうやって呉に急いでるんじゃない・・・・・・・・・・。」


由妃

「そう・・・・・・・・・。」


琥珀

「そう言う姉さんだって張遼の事愛しているの?」


由妃

「分かんない、言葉ではなんとても愛を囁けるけど張遼の心内が分からないわ。」


琥珀

「張遼は少し人間離れしているから想いを伝えるのも下手なんじゃない?」


由妃

「少し性急すぎるからね〜」


琥珀

「えっ、もう抱かれたの?」


由妃

「ぷっ!!抱かれるはずないでしょ。

でも諸葛亮と会うのも心高鳴るわね琥珀。

あの諸葛亮孔明よ。

一日中語り明かしてみたいわ。」


琥珀

「姉さん、諸葛亮に興味があるの?」


由妃

「それはあるわよ〜

あれだけ劉備を勝利に導くのよ。

凄いじゃない。」


琥珀には由妃の心内が分からなくなってきた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る