第5話 策略


世平の家から公孫賛が屋敷に戻ってからだった。


趙雲

「公孫賛様いいでしょうか?」


公孫賛

「おお、趙雲かいいぞ」


趙雲

「白蓮さんの情報が入ったのですが・・・・・・・・・。」


公孫賛

「見つかったのか!?」


趙雲

「白蓮さんはもう亡くなって居るそうです。」


公孫賛

「そうか・・・」


趙雲

「それと白蓮という名は偽名だったそうです。本当の名は蘭麗というそうです。」


公孫賛

「そうか・・・もう亡きものとなっていたのか・・・。

あの琥珀という娘はもしや蘭麗の娘では?」


趙雲

「それは夜、琥珀さんと話してみては?俺が聞いたのはここまでです。」


公孫賛

「そうか夜が楽しみだ。」


趙雲

「はい、では俺はこれで。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


趙雲と歩いているとひらひらと花びらが舞って月夜が綺麗だった。


琥珀

「趙雲さん少し待って・・・・・・・・・。」


趙雲

「どうした?」


琥珀

「月と花びらが舞っていて綺麗だな~とおもいまして。」


趙雲

「本当だな、俺は君の方が綺麗だと思うがな。」


琥珀

「クスクス、趙雲さんはそうやって何人の女性を口説いているんです?」


趙雲

「っ!?口説いた事はない。

君が初めてだ・・・・・・・・・。

もう行くぞ、公孫賛様を待たせてはいけないからな。」


薄っすら頬が赤らんでみえる趙雲だったが琥珀が公孫賛の屋敷に入った時だった。


公孫賛

「その服は!?」


琥珀は微笑むだけで何も言わなかった。


公孫賛

「ああ、すまない。此処へ腰掛けてくれ。」


琥珀

「はい、今日はお招き頂き有難う御座います。」


公孫賛

「長旅で疲れていると言うのに無理して来てくれ此方からも礼を言うぞ」


琥珀

「いえ」


公孫賛

「本当に白蓮いや蘭麗にそっくりだ・・・・・・・・・私の間違いでなければその服は蘭麗に贈った物だが君は蘭麗の娘かな?」


琥珀

「はい・・・・・・・・」


公孫賛

「そうか・・・・・・・・・私の元を去った後他の者と結婚して君が?」


琥珀

「公孫賛様もご結婚をしたのでしょうか?」


公孫賛

「いや、私は今でも一人だよ。

恥ずかしながら蘭麗を想うあまり結婚出来なかったのだ・・・・・・・・・。」


琥珀

「では!?何故母を探さなかったのですか?」


公孫賛

「探さなかったのではなく、探しに行けなかった。

私もあの頃は若く父から自由を奪われ出られなかったのだ。」


琥珀

「・・・・・・・・・母もまた公孫賛様を愛していたのですね。

亡くなるまで結婚もせず公孫賛様を愛して亡くなって行きました。」


公孫賛

「では、君は私の娘・・・だというのか?」


琥珀

「分かりません。

私が物心ついた頃には父親など居なかったし、貴方の父は高貴な方で会ってはいけない迷惑かけるからと死ぬまで母は貴方の名前を言いませんでした。」


公孫賛

「で、では何故私の名を?」


琥珀

「母が息を引き取る間際に私を貴方と思ったのでしょう・・・・・・・・・

貴方の名を告げ愛していると言い亡くなりました。」


公孫賛

「!!・・・・・・・・・・では、本当にお前は私の子・・・・・・・・・。」


公孫賛は嬉しい中どうしたらいいのか分からずにいた。


琥珀

「公孫賛様、今日はこの辺で私は失礼します。」


公孫賛

「どうしてだ!?お前は私の子なのだから此処で一緒に暮らせば良い。」


琥珀

「いえ、私は半分鬼の血が混ざった混血です。その様な子が居たと世間に知られれば貴方の名に泥を塗りかねません。」


そのまま部屋から逃げるように出ると趙雲が居た。


趙雲

「どうした!?」


琥珀

「これ以上・・・・・・・・・

公孫賛様とお話しが出来ません。」


涙を流す琥珀。


趙雲

「落ち着くんだ琥珀、では公孫賛様にお断りをいれてくるから此処で待っていてくれ。」


趙雲は公孫賛に話しに行くのだった。


趙雲

「公孫賛様、今日はこれで帰してよろしいでしょうか?」


公孫賛

「・・・・・・・・・そうだな。

私も少し考えたい。

何かあったら大変だから送っていってくれるか趙雲?」


趙雲

「はっ!」


琥珀を送りながら趙雲は少し話すのだった。


趙雲

「琥珀は公孫賛様を父として受け入れられないでいるのか?」


琥珀

「・・・・・・・・突然だったからまだ、心の準備が出来ていなかったの公孫賛様に後で詫びを入れいたと伝えていて欲しいの。」


趙雲

「直ぐには父親として迎えられないのか・・・・・・・・?」


琥珀

「本来、公孫賛様の隣には母が居るべきだったはずなのに私だけ・・・それに母は苦労しながら私を育てたのよ、私だけ幸せに父の側に居ていいのかと思ってしまって?

駄目だわ、もう何も考えられないわ。」


趙雲

「明日、また会いに来ていいか?」


琥珀

「えっ!?公孫賛様が?」


趙雲

「違う、お、俺が会いたいだけ・・・だ。」


琥珀

「クスクス、

本当に趙雲さんて口説き上手なのね。

私も会いたいわ。

お休みなさい。」


趙雲

「ああ、また明日な、お休み。」


琥珀は家に入って行った


翌日趙雲は琥珀に会いに来ていたが姿が見えなく探すと少し離れた所から笛の音が聞こえてきた、それに誘われるように近づくと公孫賛も近くに来て静かに見守ていたのだった。


趙雲は何も言わず公孫賛の後ろでひかえていると公孫賛が話し出す。


公孫賛

「趙雲・・・・・・・・・

私に娘がいたらお前と結婚させたいと言った言葉を覚えているか?」


趙雲

「はっ、はい!?」


公孫賛

「まさか本当にいたとは思わなくてな・・・・・・・・・。

だがあれだけ美しければお前も悪い気はしないだろう?すぐにとは言わないが娘を頼んだぞ趙雲!?」


趙雲

「身に余るお言葉・・・公孫賛様は琥珀さんを屋敷に迎え入れるのですか?」


公孫賛

「欲深な公孫越がどう出るかは心配だがそうしたい・・・・・・・・・。

少しずつでいいから親子の絆を深めたいのだ。」


趙雲

「では、俺が説得します・・・・・・・・

その後俺と結婚させるかはお考え下さい。」


話が終わると公孫賛は屋敷に戻る。


琥珀

「趙雲さん、お早う御座います。」


趙雲

「おはよう。

それと呼び捨てで構わない俺もそうするから。」


琥珀

「はい、趙雲。」


微笑む琥珀に趙雲は公孫賛の気持ちを話そうと思うのだった。


趙雲

「琥珀・・・その・・・。」


琥珀

「公孫賛様のお話ですか?」


趙雲

「ああ・・・そうなのだが・・・・・・・。」


琥珀

「今日の夜は皆も一緒に行くそうです。その時に私の気持ちを公孫賛様に話そうと思います。」


趙雲

「気持ちがまとまったのか?」


琥珀

「ええ、心配してくれて有難う。」


趙雲

「そうか・・・良い返事だと俺も嬉しいのだが・・・・・・・?」


琥珀

「趙雲は公孫賛様をだいぶ慕っている様ね?」


趙雲

「ああ、俺の親同然のようなものだからな。」


琥珀

「趙雲は親は?」


趙雲

「俺は戦争孤児でな、死に掛けているところを公孫賛様に拾われ今の俺があるんだ。父親同然の人だよ」


琥珀

「そう・・・・・・・・・。趙雲のお父さんでもあるのね公孫賛様は。」


趙雲

「ああ・・・。」


少し空を見上げる琥珀


琥珀

「趙雲あのね、公孫賛様はあまり永く生きられないのね。」


趙雲

「!!・・・・・・・・・ああ、病気のことは知っていたんだよな?」


琥珀

「ええ、もう少し長生きしてもらいたいの・・・・・・・だから協力してくれる?」


趙雲

「俺が出来ることなら何でもする」


琥珀

「じゃ、夜に会いましょう。」


趙雲

「俺はもう少し君と居たいのだがな?」


琥珀

「趙雲、一つ聞いていい?」


趙雲

「俺に答えられることならいいのだが?」


琥珀

「公孫賛様は私を貴方の妻にしたがっているのでは?」


趙雲

「そ、それは!?」


琥珀

「クスクス、本当に素直で嘘が下手なのね。」


趙雲

「・・・・・・・・・。ああ、娘のことを頼むと言われた。」


琥珀

「そう・・・・・・・・・で、等の貴方はどうしたいの?」


趙雲

「えっ?」


琥珀

「貴方は私を妻にしたいと思っているのかということよ。」


趙雲

「俺は君に夢中だ。今すぐにでも俺のものにしたい。」


琥珀

「私は半分人間じゃないのに?」


趙雲

「恋には人種なんて関係ないと思うが?」


琥珀

「公孫賛様も母をこうして愛してくれたのかしらね・・・・・・・。

趙雲有難う返事は夜まで待ってね。

少し考えたいから帰るわね、貴方と話せて楽しかったわ。」


琥珀は家に帰り考える


琥珀

(お父さんには長生きしてもらいたい・・・・・・・・・・。)


思っていると関羽が入ってきた。


関羽

「琥珀さん少しいい?」


琥珀

「どうぞ。」


関羽

「公孫賛様のことについてなんだけど・・・・・・・・?」


琥珀

「それで?」


関羽

「琥珀さんは今後どうするのかと・・・思って?」


琥珀

「丁度良かったわ趙雲もまだいる?」


関羽

「ええ・・・いるわよ。」


琥珀

「鬼の皆と趙雲を集めてくれる?」


皆が集まると・・・・・・・・・・・・。


世平

「琥珀はこれからどうするんだ?」


琥珀

「そうね・・・悩んでいたんだけど父も生きていることだし父のところに行こうと思うの」


趙雲

「では、これからは公孫賛様と一緒にということだな」


琥珀

「それは良いんだけど・・・・・・・・」


趙雲

「ん?どうした?」


琥珀

「私が父である公孫賛の元に行けばどうなるかわかってる?」


趙雲・世平・関羽

「???」


琥珀

「本当に貴方がたは呑気ね、私は君主である公孫賛の娘になるのよ!」


趙雲

「!!時期君主になるという事だよな・・・・・・・・・」


琥珀

「それに今や公孫越が袁紹と手を組んで裏で何やら企んでいるわ、旅をしている時に噂は聞こえてきたから。」


世平

「内部から反乱が起きると言う事だな」


琥珀

「ええ、今やこの幽州は公孫賛側と公孫越側の両者で君主争いが始まるという事。

更に趙雲と私を結婚させようとしている父。

時期君主は趙雲、貴方になるのよ。」


その時かすかに関羽の表情が曇った。


趙雲

「!!俺がこの幽州を・・・・・・・・・。」


世平

「いいんじゃねぇーの?趙雲ならそれなりの器はあるし。」


関羽

「そうよ、大丈夫よ!」


琥珀

「あまい、その考えが甘いのよ!

あの袁紹が裏で公孫越をあやっているのよ!

公孫賛、この鬼の一族を合わせても対抗出来るか危うい。」


趙雲

「君はそこまで考えているのか・・・・・・・・・。」


琥珀

「趙雲には悪いけど私が娘として公孫賛の屋敷に入れは袁紹が黙っていない。」


趙雲

「袁紹が求婚をして来るというのか!?」


琥珀

「ええ、袁紹、曹操、などが私に会いに来て幽州欲しさに求婚してくると思うわ」


趙雲

「でも俺は君を他の奴に渡す気はない!!」


琥珀

「有難う趙雲、ではこれから私の策を聞いて欲しい。」


皆、琥珀を見るのだった。


琥珀

「まずは、私は父の元に行き親子の絆を深める。

その間に公孫越は慌て袁紹と接触すると思うのそこで公孫越を利用し袁紹を招く。

それは各地の間者も動くはず。

そこで父は各諸侯を幽州に招かざるえなくなるという事」


世平

「招くのは良いのだかその後はどうするのだ?」


琥珀

「そこで劉備様のお力をおかりしておきたいのです。各諸侯と親睦を深めていて欲しい。」


劉備

「俺が他の諸侯と親睦を?」


琥珀

「ええ、必ず後から力添になります。

それとその時にわざと私は趙雲との結婚の話を父から公表してもらえば良いかと思います。

でもあくまでも状況判断でだけどね。」


趙雲

「だが、反乱がおきるのでは?」


琥珀

「ええ、もう乱世は動き始めているのよ趙雲、覚悟なさい。あの曹操が勢力を上げている中戦は避けられない。」


趙雲

「くっ!君は・・・・・・・・。」


琥珀

「劉備様、趙雲、皆んな、私のすべての力をお貸しします。

だから夜はこの策で事を進めていきますのでお力添えを宜しくお願いします。」


皆解散するのだったが琥珀は関羽を呼び止めた。


琥珀

「関羽待って!」


関羽

「どうしたの琥珀さん?」


琥珀

「呼び捨てで構わない、貴女の事は母からよく聞いていたから私の姪みたいな者よ貴女趙雲が好きなのね?」


関羽

「!!・・・・・・・・・。

でも、結婚が決まってしまったのだから。」


琥珀

「関羽、胸に秘めておくだけでは何も前に進まないわ趙雲に告白なさい!」


関羽

「で、でも、公孫賛様が・・・・・・・・・。」


琥珀

「関羽、好きになったら思いは止められないわ、そのことで苦しみながらここで暮らすの?それに趙雲は私の外見に惑わされああ言っているけど心では貴女を想っているわ見てわかるもの公孫賛様に忠実なのも時には仇となるわね。」


関羽

「でも・・・・・・・・・。」


琥珀

「私は良いのまだ趙雲を好きではないから少しの勇気が未来を切り開くのよ!

私が言ったとか言わないでね。

関羽貴女なら趙雲と幸せになれるわ!」


関羽

「琥珀有難う。頑張ってみる!」


琥珀

「ええ、頑張って!」


関羽は趙雲のところに駆け寄って行くのだった。


由妃は幽州の手前まで来ていたのである


由妃

(確か・・・幽州は公孫賛殿の領地ね。

鬼の一族が何処に居るかは君主に聞くべきね。

会って貰えるかしら?

それに・・・・・・・・・

琥珀も居ると良いのだけど・・・・・・・・・)


馬を歩かせる由妃だった。









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