第6話

 今度は、インターフォンの音で目が覚めた。無機質で、嫌な音だ。その音の主は、驚くべきことに、少女の母親だった。

「先日は娘がお宅にお邪魔しましたようで、申し訳ございません」

 少女の母親の物腰は丁寧だったが、そこには慇懃無礼なのか機械の様なのか、どこかしら僕をいらだたせる雰囲気があった。

「いいえ、構いません」

「私もお花について伺いたいものですわ」

 その言葉が前以て用意された機械の言葉であるということくらいは分かった。

「もちろん、機会があれば是非」

「特に…」

「特に?」

「人を殺す花のことについて」

 背筋の糸が強引に引き上げられる音がした。

 少女よ。君はもう、大人になってしまったんだね。

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