第13話 無限蛇箱―開放
手に力をいれて急接近するが合気道の様に受け流されて背中を強打される
攻撃がどこから来るのかが分かっているかの様に簡単に攻撃を躱される
「戦闘には不慣れみたいだね」
「どうですかな?」
崩された体勢から足蹴りを繰り出す
腕でガードされるがそれを軸にして上に飛び上がる
そこから降りる瞬間に何発も蹴りを入れるが全て来る事が分かっていたかの様にかわされる
そして着地と同時に足の体勢を崩されて横に蹴り飛ばされる
「はっはっはっ、体術は一通り、いやそれ以上の力を使っているけどまだみたいだね」
手を招かれて挑発される
術式を使えれば状況は打破出来るが私の中で使える術式はそんなにない
使えるバススロットも少ないのが一番の問題だ
相手から何とかあの箱を取り戻せれば出来るかもしれない
「まぁ勝てるとは思わないけどね」
「負けを認める?」
「まさか?貴方は私の兄だけど劣っているのだから勝てないという道理はない」
「それでこそ、笛木の娘だね」
転がっていた刀をもう一度掴むと持ち主に許可を取って満奈に戻す
「これで発揮と行くよね」
「余裕ね、それであの凱斗も大怪我をしたっていうのに」
「君じゃあキューブを使った所で凱斗くんの足元にも及ばないよ、勝てたのは君が味方だったから」
実際に行っていることは正確だ
キューブなんて物を使っていたら凱斗の術式の威力の足しになってしまう
しっかりと刀を握りこんで接近する
兄も応戦体勢へとフォームを切り替えた
お互いにハイスピードの中から共の武器が急所に当たるか当たらないかの場所で止まった
そして異変に気が付いた
一瞬にして何か膨大な魔力を受け、その次に衝撃が走った
『気付かれたか、まぁいい』
目線の先には狂った顔をしている女性がリーダーを抱えながら立っていた
「リーダー!!」
「黒炎もいたのか、ワンは完全に倒されて今は仲間割れ中かな?」
「家庭内の問題だ、そしてそいつを返せ!」
「どうしようかな~?」
舌を出して頬を少し舐めて見せ付けられる
麻里奈は何かが掛かっているのか苦しそうにしている
「『無限蛇箱』を渡しなさい、そしたら開放してあげる」
合図を送って一回俺に返してもらう
「これだろ」
「えぇ、だけど返してすぐに攻撃されると困るから貴方達は動かないでね」
「お互い自分の下に置いて取りに行く」
キューブを下において敵の方に歩いていく
相手も同じ様に麻里奈を足元に置いてこっちへと歩いていく
キューブを取られて俺も麻里奈に手を出した瞬間、意識がないにもかかわらず一人でに動く
さっき腕としていた部分が本物の蛇の様に動き出して、麻里奈は敵の手元に戻ってしまった
今の行動がとても面白かったのか嘲笑してとても楽しそうにしている
その瞬間、自分の中でスイッチが変わったのが分かった
「馬鹿ね、私達がそんな簡単に乗るわけ無いでしょ?」
「――えせ」
「はっ?もっと大きな声で話してよ」
「返せって言ってんだろ!!」
瞬きした瞬間には既に殴り飛ばされて、校舎の壁に大きなクレーターを作り出された
ボロボロになった体を強引に作り直して立て直しながら相手を良く見る
瞳から光の筋のようなものが出ていて、少し動く度にその光が線の様に宙に書かれる
その瞳の色はさっきまでと違い紅く鋭い目に変わっていた
「化物か」
「俺はルールを破る奴は嫌いなんでね」
強く握り拳を作って一触即発状態だ
だけどまだこっちには味方がいる、この子がいる限り攻撃はできない
瞬時加速で迫った瞬間に味方の子を盾として使う
だが攻撃は中止される事なく攻撃は続いた
そしてその一発が私に触れた瞬間に手から出された光で燃やされた
強引に作っているから状態はかなり脆くボロボロで腕として成り立たなくなっている
「味方も攻撃するほど錯乱しているのね」
「リーダーに攻撃は通らねぇよ、黒炎を使わない限りな」
神久夜術式、それは黒炎以外の攻撃を通さないものだ
オートで発動するようになっている為、気を失っていても攻撃は通ることはない
少し距離を取り、作り直した蛇の体で鞭の様に攻撃するが100キロ程の速度が見えるのか簡単に捕まる
「良い攻撃だ、だけど俺には効かない」
殺る気のある目だ、少なくとも仲間をあんな風にされて怒らなかっただけでも忍耐力はあったのか
それを私が壊したから彼は本気で―――
凱斗は何も躊躇することなく腕を伝って敵の体まで引火させる
全身に術式が掛けられているから普通の火を放たれたのと同じ状態だ
そしてこれは片手の問題だ、相手には掴んでいないもう片方の手が残っている
黒炎が引火し、触れるか触れないかの所で止められる
「凱斗くん、もう十分だよ」
「だけど、あいつは!!」
「あの人はもう戦闘不能状態だよ、これ以上やったら査問会に呼び出しされちゃうよ」
「そうですが・・・」
「そしたら君をご飯が食べられなくなっちゃう、他の人だってそう思っているよ」
「・・・はぁ~、そういう所はイズルさんらしいですね。面白い事をやってくれる」
ゆっくりと目を閉じて考える
もう一度目を開けるとさっきまでなっていた状態から戻っていた
その隙に敵に逃げられたがもう仲間を助ける目的は済んだからこれ以上の深追いはいいか
「分かりました、戦闘活動は終了します」
「うん、じゃあリーダーちゃんの治療に取り掛かろう」
相手にキューブを持って行かれたが仲間に比べたらもうそんな物はどうでもいい
◇
「これ、術式回路に毒の様な物が流されているよ」
「術式破壊で壊せるか?」
「可能な話ですが、的確に毒を取り除かないと後遺症が残る可能性がありますよ」
学校の保健室、満奈の性格も元に戻り治す為の知恵を借りている状況だ
鏡花術式は何かしらのきっかけがなければ発動しない
満奈の場合は、術眼を相殺するメガネを外す事によってスイッチが変わる
最近では外しても変わらなかったが自分の血を見て気が動転したのが原因らしい
ワント(ワン)は完全に身柄を拘束されて、今バザードが搬送している所だ
「正確には方法が一個あるけど」
「イズルには無理ですね」
「エスパーかい?君は・・・」
「俺もその方法は初めに思いましたが俺には無理なんでね」
「かと言って僕がやるのも抵抗があるけど満奈に出来るかどうか」
「えっと?一から話してください」
「笛木の術式は蛇を使うっていうのは分かっているよね、蛇とは自分で毒と抗体を作り出せる動物でもある。つまりちょっと血を貰ってその中に入っている毒の抗体を自分で作り出してまた麻里奈ちゃんに返す。そんな特性を持っている一族」
つまりはどんな毒でも抗体を作り出すことができる唯一の人間
「これが一番安全で的確な方法だ」
「僕が血をもらうって言うと術式的に何か問題がありそうだし、凱斗君にそんな特性はない」
イズルの術式は分解再構築、全員そうなのだがそれは能力として体の中にある
簡単に言えば、下手をすると血清自体壊してしまう可能性がある
「満奈は血を見ると鏡花が発動しちゃうだろ?」
「ですけど、なんとか頑張れば行けるかもしれないです・・・」
ここで新しくやらなくてはいけないことが見えてくる
一気に解決するがただ一人救われない人が出て来てしまう物だ
「『鏡花術式を壊せば血を見なくても発動しなくて済む、だけどその術式が破壊されたら満奈は笛木の家から出されてしまう。だがもし『九頭龍大蛇術式』を完成させたとなれば話は別、そのまま居る事が出来る』でしょ」
「よくお分かりで、だけどその場合イズルは二度と笛木の家に戻ることは出来なくなる」
一件解決かと思っていたから一安心から満奈は驚いた
「じゃあ―――」
「やらないとなると麻里奈ちゃんの危機がある、それに比べたら軽い方は僕だからね」
「正直俺もあまり進められないが本人が決めちゃったのだから何も言えない、満奈はどうだ?」
「私は・・・」
「難しい話だからね、時間をおいてよく考えてね」
残された時間はあと30分もない、そうしないと命の危険がある
壊された教室を見ながらこれからの事を考える
今私が選ぼうとしているのは淘汰の問題だ
麻里奈ちゃんを取れば実の兄を完全に見捨てることになる
兄の方を取れば、麻里奈ちゃんだけじゃなく凱斗さん自身も傷付けてしまう事がある
とても重い問題は彼女に強くのしかかる
「まぁ気楽に考えなよ、君の問題じゃないんだから」
「だけど、それだと兄さんは・・・」
「僕は別にいいんだよ、今の環境が辛いって訳じゃないし今更戻る気はないからね」
「そうなんですか・・・」
「僕が何であの術式を完成させたかったか分かる?」
「いいえ、でも完成させたとなるといつでも戻れたんじゃないですか?」
「そうなんだけど、さっきも言ったけどわざわざ裏切られた人の元に戻っても何にも嬉しくはないんだよね」
「じゃあ何で・・・」
「満奈、君を救いたかったからだよ。まぁ直接救いたかったけどちょうど凱斗くんがここに行くって言うから」
学校に行っている間、よく私と話していて兄も元気である事に安心した
「君が術式を完成させたとなればもう君がトップになれるからね、それでもう二度と同じ事を繰り返さないでくれたらそれだけでも僕は嬉しいからね」
「ですけどそれじゃあ救われないんじゃないですか?」
少し空気を漏らして笑った
そしてゆっくりと手を首にかけた
少し強いが、けっして跡や傷が付かない様に優しい
「なんなら君も落ちてみる?全ての人に裏切られた気分を味わった事もないのにあまり話さない方がいいよ」
その目はとても怒りが篭っており、そして同時に乾いている
ここまでさせたのは紛れもいなく私達の親だ
私達を道具の様に実験して使えなかったらこの人の様に抹消された
そこまでして作りたかったものは他人があっさりと完成させてしまった
なら、やることは一つだろうな
「いいですよ、とことんやってあげますよ。だから兄さんも手伝ってください」
「分かった、妹の言う事なら何でもやるよ」
訳は聞かなかったけど、憎んでいてもおかしくない私を信頼してくれる
少し準備を済ませて凱斗さんの元に戻っていく
◇
「戻ってきたか、覚悟は決まった?」
「はい、術式を壊してください」
「それはイズルを見捨てるって事か?」
「いいえ、両方共救います」
「欲深い女の子だね」
「こういう子は嫌いですか?」
「むしろ好きかもな、だがまぁこんな事を話している場合じゃない。少し衝撃が来ると思うけど耐えてくれ」
黒炎が全身に回る、燃える事はないけど暖か味がある
そして見つけた瞬間に破壊された衝撃で体勢が崩れた
「大丈夫?満奈?」
「えぇ、大丈夫です。じゃあ行きます」
そっと吸血鬼の様に首元を一噛みして少しだけ血を飲み込む
あとは血清を取り出すだけだが自分ではまだ出すことが出来ないから兄さんに力を借りる
さっきの敵の様に右腕からエネルギーの蛇を出して噛ませる
「どうだ!!」
「これで効果がなかったら正直マズイよ」
だが、呼吸は落ち着き表情も和らいだ。これで一安心の様ね
二人ともかなり心配していたのか安心した
「じゃあ俺はこのまま麻里奈の看病をするので」
「なら、私達は少し席を外していいですか?」
凱斗さんに全部任せて私達は私達の問題を解決しに向かう
その前に話があると言われて少し止められる
「どうしたんですか?」
「満奈のバススロットは、俺とは逆で鏡花術式のせいで半分になっていたからなくなった今ならファーストにも負けない強さがある筈だ。頑張れよ」
「凱斗さんに言われると心強いですね、確かにそんな感覚はありますね」
「やっぱり行くのか」
「そうしないとまだイズルさんの方を救えてないですから」
「何ならこれを使うか?」
蹴り渡されたアタッシューケースの中には黒炎の時に使っているローブが入っていた
正体を隠す事に関してはこれ以上ないアイテムだ
「ですけど、これ着た状態でやると凱斗くんの性になっちゃいますよ?」
「満奈が今からやろうとしているのはそういう事だろ、それに黒炎を使わない黒炎なんて存在しないからな」
そしてこれは逆に相手に対しての少しだけの優しさも込められている
「ははっ、それもそうですね」
「戻ってこいよ、満奈」
「それまで動けないことを良い事に麻里奈さんに変な事をしないでくださいね」
「本当に鏡花は溶けたのか?」
言葉に甘えて着込むとイズルさんと合流して目的の場所に行く
数十分後、とある大きな家は爆音がない響いて人の騒ぎが止まらなかった
大勢の警備員を倒していき、ターゲットのいる部屋まで走り抜ける
到着した時には既に片付いているかと思ってくつろいでいた
「お、お前等、どういうつもりだ?」
「行動の通りですよ、逮捕と言った所です」
「お久しぶりですね、お父様。いや、修五郎さん?」
「・・・まさか―――か?お主生きておったのか、あのままの垂れ死んでおけば良かった物の」
「今はクロワガイストに所属しています、そして今日は貴方の行為を取締に来ました」
「実の父親に向かって、子供なら親の事を見逃すものだ」
「おや?不思議なこと言いますね、縁を切ったのは修五郎さんの方ですよね。僕が何をやっても口出し出来なくしたのに今頃泣き付くんですか?」
「貴方の行動は法律違反なので逮捕します」
「ふん、どうかな?私の家にはまだ娘が残っている、彼女ならお前等なんて簡単に倒せる。なんであいつは、私達が作り出した最高傑作なのだから!!」
その本人が黒炎としているんだけどね
私達がお父様と会話している内にまた警備員が取り囲む、警備員といっても手下の様な人達だけど
私が一歩出ると手を遮られた
「修五郎さんが完成しようとしていた物はこれですよね」
ドンと強く地面を踏むとそこから魔法陣が展開され、九つの頭を持ちながら胴体が一つの蛇が召喚される
これが笛木家が完成させようとしていた『九頭龍大蛇術式』だ
その姿と展開した事に驚きを隠せなかった
「す、素晴らしいな。まさか完成させていたとは流石私の息子だ」
手のひら返し、一気に状況が一変した
「まぁ色んな事があったがお前をこの家に戻してやるから全て水に流そうじゃないか」
「そうですか」
「あぁだからそんな事で親を捕まえるものじゃない」
そうか、兄さんはその一言だけ呟いて蛇の一匹を噛ませた。それに軽くではなく体を牙が貫通する位本気で
その目はさっきの凱斗さんや首に手を掛けた時よりも怒りが篭っていた
「『そんな事?』・・・こう見えても腸が煮えくり返っているんですよ」
警備員が助けようとするが圧倒的に力の差があった
尻尾を一振りするだけで人が飛んで家から出てしまう位だ
「お前、自分が何やったか分かっているのか!!僕の事はまぁ良いとしても出来もしない事で子供を実験台にして、それで満奈にどれだけの重荷を背負ったかあんたに想像出来るか?」
略実体化しているのも同然なのでこれ以上は危ない
仕方なく術式を解除して地面に叩きつける、勿論さっきまで噛まれていたので流血している
「僕はもう気が済んだ、黒炎ちゃん、後は君がどうするかだよ」
「笛木修五郎」
自分達を強引に別れさせて道具の様にやっていた非道者
私は結構聞き分けが良いから何でも言う通りにした
そして気がついたら言葉使いも敬語だけになっていた
どうするかといえばこのまま放置するかどうかという問題だ
兄さんが蛇で噛んだ事によってさっきの麻里奈ちゃんと同じ状態だ
このまま見捨てればこの人は間違いなく死ぬ、少しでも助けようと思うのなら残る話だ
「・・・ごめん兄さん、やっぱり見捨てることは出来ないや」
完全に甘えだ、失望されるかと思ったけど優しく向かい入れてくれた
指パッチンをすると大蛇は消えて、後から白い光が落ちてきた
それをお父様の方に投げると食わないと死にますよとだけ言って振り返らずに歩いて行った
その後、警察官が集まり笛木家は危険術式の使用によって取り締まられ、実質崩壊した
◇
世界のどこか、そこにリキドの姿があった
体は限界に近く歩くたびに破片が落ちて人間にはとても思えない
手には大事そうにキューブを持って、ワイガルのリーダーの所まで歩いていく
開けた先には私達のリーダーだけが座っていた
「ただいま、戻りました・・・」
安心感からか脱力してしまい、支えられる
「大丈夫かい?リキド」
「えぇなんとか、これが無限蛇箱です」
渡すと安心しきって気を失う
キューブをしっかりと握ると自分の席に戻る
その時に仲間の一人がやって来る
「リキド!!大丈夫なのか?これは結構深くやられているぞ」
「あぁ、当分は動けないだろうな。全身に掛かっていた筈の術式が全部壊されて不安定な状態だ」
「キューブが手に入ったのか?」
「あぁ、手に入ったが・・・」
握り締めるとそのままキューブを破壊してしまう、その行動に仲間の奴も驚いていた
「血迷ったのか?それは・・・」
「これは『フェイク』だ、いやフェイクにされたというべきか」
術式はただの半永久的エネルギーだ、それに使用者がこっち側の人間じゃないから意味がない
両方共、そもそも同じものなので見分けが付くわけがない
苦虫と一枚噛まされた、こちら側は損失しか残らない結果だ
「今すぐ俺を行かせてください、アイツ等にリキドの敵を取る」
「無理だ、既に相手の手の中にあるとなると奪うのは難しいな。今回は諦めるしかないみたいだ」
くそっ、とつぶやいてそいつはリキドの介抱へと向かった
リーダーも完敗で言葉も出なかった
一方、本物のキューブを持った凱斗達は研究所に集まっていた
イズルの作り出した蛇が丸呑みしたキューブを吐き出す
これで本来の形に戻り、機能が再開される
「笛木家は当主が居なくなって、実質満奈が当主に昇格したって事か」
「僕じゃあ力不足だからね、それに妹には既に・・・って凱斗くんならそうする事は分かってたよね」
「はいはい、薄々気が付いていたよ。それはまだ未完成だろ?今はそんな事はどうだっていい」
「潔重さんの性格みたいになっているね」
麻里奈も看病の結果、暴れられる位回復している
「じゃあ解析を始めるぞ」
「僕はいつでも準備はいいよ」
やるのは簡単だ、イズルが分解して俺と満奈がその術式の構造を分析して構造解明する
膨大なエネルギーは神久夜で何とか出来るし、その前に黒炎で塞き止める
そう、簡単な作業だと思っていた
イズルが物質分解術式を展開した手を触れた瞬間、キューブが大きく爆発して光が4人を包んだ
爆発といっても普通の爆発で神久夜で防げる様な術式的なエネルギー爆発の威力じゃなかった
『誰、ですか・・・?』
思っても見なかった事が起こり、全員目を見開いた
ゆっくりと煙の中から小学生くらいの少女が不慣れな様に歩いていた
髪は銀色で腰の所まで伸びており、ボロボロの布で体を覆っている
分からない事だらけだが、一先ずこれは聞いておこう
「えっと、君は誰?名前言える?」
「な、まえ・・・名前、私・・・名前・・・」
思い出せないのか頭を抱える、敵や幻覚の類じゃないな
「君は何であの中にいたのかな?」
「それに君のお父さんやお母さんはどこに行ったのかな?」
笛木兄妹が聞くが何も知らないのか困っている。そもそもキューブ自体あの衝撃で大破している・・・もしかして―――
「君、キューブの中にいたという事は無限蛇箱の正体」
使用者がいないと思っていたが中にこんな少女を入れていたのか
彼女が陰と陽の変換をしてエネルギーへと転換していたのか
それなら話は辻褄が合う―――――訳はない
俺とか麻里奈は元のバススロットが高いから半永久エネルギーが使える
だけどこんな少女に使える容量は普通に考えてない
「じゃあ君は・・・」
頭を抱えていると思ってが一気に急変した
何かに苦しむ様にジタバタとして暴れだし、体が光るとその幅は次第に大きくなっていく
俺がその子に触れるとその光は俺等を包み込んで、ここにいた5人はその場から消滅した
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