第12話 無限蛇箱―人格
日は流れて、今日が護衛の日となった
俺等の他に多くの警備員や研究員が校門前に集団としている
ちゃんと身元は分かっているからこの中からは出てこない、出てくるとしたら場外からだ
だからそれに備えて麻里奈は外の見張りになっている
気温が少し高いがあいつの術式ならなんとかなりそうだ
そして俺は実験室でMMDを調整し終えて、準備を整える
そんな時にばったり満奈に出会う
「おっす、一週間ぶりだな」
「そう考えると七豪戦以来会っていませんね、お元気でしたか?」
「まぁ怪我も完治しているし元気だな」
「それで外の騒ぎって何なんですか?また生徒会が新しい術式を完成させたんですか?」
「いや、今日は何か『無限蛇箱』っていう物が運ばれるらしいぞ」
「そうなんですか、それで凱斗さんも護衛に行くんですね。黒炎さんとして」
一瞬驚きで呼吸するのを忘れた、なんでその事を満奈が知っている?
生徒会メンバーが話す訳が無いし、それ以外でこの子に関係者の知り合いはいない。司は信頼性が有るから喋りそうにない
勿論麻里奈とも面識がないし、俺が会見の時に戦った時も近くにはいなかった
「『黒炎』は使うけど、俺はガイストじゃないよ」
「そうですか?でも黒炎さんとすれ違った時に凱斗さんと同じ波長を感じましたよ」
「波長、満奈は波長が見えるのか?」
「はい、この術眼のお陰なんですけど本来はもっと役立つものですが私には宝の持ち腐れで」
「それで俺と黒炎の波長が同じと」
「なので同一人物なのかと思ってました、違いましたか?」
そこまで条件を出されて逆に隠し通せられる訳がない
「確かに俺は黒炎の正体だ、『黒炎』が使えるのもその性だ」
「凱斗さんの体ってかなり不思議ですよね、二種類魔力があって」
「それは姉ので、事故の時にな」
「そうなんですか、良いですね姉弟っていうのは」
「まぁもう亡くなってしまっているんだけどな」
「そうなんですか、私と一緒ですね」
チャイムが鳴って解散となった
そして俺はあと20分で作戦開始時刻となるので準備を済ませる
11時ちょうど、キューブを運んだトラックが到着する
それと同時にイズルも降りてくる
「お久しぶりです」
「今はそんなこと言っている場合じゃないよ、早く仕事を済ませないと」
キューブが入ったケースを取り出すと予想通り地面が動く
ケースを投げると追うように地面の砂が動いた
「角度、それから術式範囲から見て・・・そこか!!」
黒炎を地面に張り巡らせると回避する様に地面から飛び出た
『良く分かったね、目的も分かっているよね』
「ワントって言ったな、キューブが欲しいんだろ?」
「ワンだったんだがな、分かっているのなら
磁場によって巻き上げられた砂鉄、それが合わさればもう砂ではなく鉄の塊となる
発射された塊を黒炎で燃やすとすぐに水の様に溶けた
「これは磁性流体か、いつの間にこんなものを」
マグネタイトやマンガン亜鉛フェライトなどの強磁性微粒子、その表面を覆う界面活性剤、ベース液の3つで構成される磁性コロイド溶液である。
磁性流体中の強磁性微粒子は、界面活性剤とベース液の親和力と界面活性剤同士の反発力によりベース液中で凝集したり沈降したりすることなく安定した分散状態を保っている。
強磁性微粒子は直径10nm程度であり、インフルエンザウイルスの約10分の1と非常に小さい。そしてこれは燃やすのはほぼ不可能だ
「スパイク」
磁性流体をウニの様にすると何分割かに分けて発射する
黒炎を試してみるがローザの様に黒炎の中に入り込んでしまう
時間を稼ぎながら学校内にキューブを移動させてもらう
しかしそんな事をさせまいと入口に壁を作り出す
「しまった」
「よそ見ない方がいいよ?」
磁性流体と砂鉄を組み合して、鞭の様な長い剣を作り出した
まるで生き物の様に俺を襲いながら壁を破壊して鉄でどんどん大きくなっていく
「状況は不利になっていく」
一点突き、それを待ってたと思って入口に攻撃を入れる
しかしそう簡単には行かなく、傷一つ付かず鉄も巻き込まなかった
まぁ分かっていたことなんだけどな
逃げる場所もなくさらに広範囲攻撃が繰り出される可能性もある・・状況は不利
―――まぁ俺等にとってはそんな訳はない
「結構丈夫な壁だね」
よく触った後、イズルが少し拳で殴ると壁は大破した
そして何回やってもその壁は再生する事は出来なかった
「ほら!!どこ見てんだよ」
油断した隙に一発殴り飛ばす、派手に飛ばされてワントは地面に叩きつけられる
持っていた剣で俺を狙うが黒炎で燃やして崩壊させる
「なんで、あの壁は鉄製だぞ。ただの拳で簡単に壊れる筈が」
「壊れたんだからお前が弱いって事だよ」
「固有振動って奴か・・・」
「いや、それ以上に高度で厄介な術式だ」
イズルなら一撃であの『アブソリュート・ロック』を分子レベルで破壊できる
あいつの術式は―――
「物質分解術式と再構築術式、それがあいつの能力だ」
「つまり、分解してボロい状態にさせられたのか」
「そういう事だ、あの術式ならば水でも固体として殴り飛ばせるからな」
瞬時加速、砂鉄を集めて壁を作り出したがすぐに崩壊した
その目線の先には手を伸ばした奴の姿、そして迫ってくる黒い拳
成す術なく、もう一度殴り飛ばされる
「ちくしょう、だけどこれで終わりだと思うな!!」
引力、違うこれは『地磁場』か!!
地球にも地場が有り、それを利用することによって重力を増させる事が出来る
体の中には鉄分がある為に地面に引き寄せられる力が強くなる
そしてMMD自体も機械なので地面に引き付いて動きそうにもない
さらに言えば体内に磁場を反発してくれる水分があるがこのままだと危険な状態に陥る
「お前が立っている限り、それは俺のテリトリーだ」
「軽くまずいな」
破壊しようにも動かないし、どこから出されているのかも分からない
そして調子に乗っているのか磁場の力を強めてくる
だが、それをどうにかしようと考えるのは俺の得意分野だ
◇
その時、外で警備しているリーダーも襲撃に遭っていた
「あら、可愛いお嬢ちゃんだな」
「・・・不思議ですね、貴方のその姿は無性に苛立ちを思えます」
敵の正体はワイガルの一人、だが問題はその姿だ
黒炎の様に袖が長く、顔にはドクロの仮面を被っている
「私の好きな人に凄く格好が似ている、あの人は喋らないですけど」
「つまり黒炎は男って事か、じゃああの時会場で戦っていた少年だな」
「それじゃあ、ハロウィンを倒したのは誰ですか?そもそも貴方達は協力していましたね」
「そこまでお見通しだったのか」
国際手配されている人達にしてはやけにあっさり終わったと思った
だけど話を聞いてみると少し前まで『MC』という人と協力していたと言っていた
黒炎が前日に東十郎を助ける為に出て来たのを聞いてキルティーチェを尻尾切りに遭わせた、本来なら理事襲撃の時に現れる手筈だったが出てこなず終わった
確かに魔術法協会理事の地位は欲しかったがガイストが何人も集まっている状況では出て行くのは賢明じゃない
「それで、一対一なら勝てると思っているんですか?」
「少なくとも君とならね」
実質6人でローテーションしていたから実戦経験はあまりない
向こうに情報があるというなら氷結術式の上級高度術式が使えるって事くらいだろうし
「じゃあ楽しいショーの始まりだ!!」
そして一瞬驚きでタイミングが遅れた
何とか回避したが相手が使っている術式は危険だ
もう一度手を出して攻撃が伸びていく、そしてそれは確信に変わる
伸びている手は普通の手の平ではなく、まるで恐竜の頭蓋骨の様に組み変わっている
武器かと思っていたが上腕骨や尺骨が蛇の様にクネクネと伸縮している
「その術式、禁忌術式ですよ」
「それを使うのがワイガルだ!!」
まるでムチの様に木をなぎ倒してくわえ込む
そして私の方に木を投げてきたのを見て、液体窒素で破壊する
禁忌術式、それは使う度に人体に影響を及ぼす術式だ
あの骸骨の人を例に出せばもう普通の手に戻ることは難しい
人体を改造したり、死体を動かしたり使えば使うほど人間じゃなくなる
「考え事か?余裕なことだね」
一瞬油断した隙に叩き付けられる
そして自分の影からナイフのような物を構成する
「これで終わりだね」
バク中をして何とか振り下ろされた攻撃は回避するが半物質な為に攻撃は地面を伝って足元まで伸びる
だけど氷結は地面に溜まる、さっきばら撒いた液体窒素に触れて凍り出す
影の術式を使っている間はその影が固定された場合、動く事は出来ない
その隙に着ている服を全部凍らせる
足も氷で固定して影が溶けても動けないようにする
「投降をお願いします」
圧倒的に不利な状況、体と足は固定され周りにはいつでも攻撃出来る様に術式を展開してある
しかし相手の髑髏が焦る事はなかった
「甘く見られたものだな」
派手に動いて着ていたローブを破壊し、足を強引に動かして氷を破壊した
勿論氷が壊れた事によって足に大怪我をすることは免れなかったが足を作り直した
そして付けていた仮面が壊れるとその顔が見えた
「女!?」
「そうよ?私はリギドっていう名前のちゃんとした女よ?」
顔には縫い跡があり、だがそれでも綺麗な顔立ちはしている
だけど表情や眼、楽しそうにしている時に舌を出して喜ぶ所はとても女とは思えない
「私は人が嫌いで憎い、だから世界を変える!!」
「大勢の人を犠牲にして変えても所詮は悪者になりますよ」
「それでもいいわよ!!」
さっきよりも多く影の茨を作り出す
それを見て一瞬深呼吸をして精神統一をする
正直使いたくなかったけどそうも言ってられない
この騒ぎで誰も来ないということは中でも暴動が起きている
あの二人なら問題なさそうだけど、心配は残る
出し惜しみする程時間がない!
「瞬速氷結術式」
人風吹いた瞬間にその場にあるあらゆる物が凍り付き、太陽の熱で消滅する
それは個体全てを瞬時に凍らし、そして崩壊させる
影の剣が消滅した瞬間に顔に膝蹴りを入れる
しかしそれを待っていたかの様に足を掴まれる
蛇の口が私の体を掴むと牙から何かが入ってくるのが分かった
「何、を」
「私の攻撃はただ、あなたに触れるだけで良かったのよ」
「まずった」
そこまでは分かったけどだんだんと意識が遠のいていく
◇
地面に土下座の一歩手前の様な姿で貼り付けられている
正直このままじゃあ色んな意味で危ない
手に力を入れて悠との戦いのようにオーバーバーストさせる
範囲が分からない?ならそれをカバー出来る位凌駕すればいい
地面から手が外れた瞬間にその量を一気に増加させる
一瞬、体勢を崩した瞬間に火炎弾を発射する
「ワント、お前は余裕を出しすぎだ」
砂鉄と鉄筋をもう一度撃つが今度は片手で簡単に燃やし尽きられる
「お前が俺に勝てない理由は一つ、俺を火炎系術式使いだと思って磁場で砂鉄加工で攻撃している事だ」
「鉄は壊されるが磁場は何にも効果がない」
どうかな?と言うと髪の色がだんだんと白くなっていく
直感でまずいと思って攻撃するが攻撃は手前で消滅し、次の瞬間には磁場術式が一切使えなくなっていた
この状態はあいつが術式破壊をしているという訳じゃなく、科学的な攻撃だ
キュリー温度
磁場には保てられる温度がある
その温度を超えてしまったらどんな物でも磁場はなくなってしまう
超高温の炎は人の目には見えない透明な色をしている
それを定期的に放出することによって磁場の効果をなくしている
因みに中心点にいる俺には全く温度は感じない、そういう作りらしいな
術式が使えない、こうなってしまった以上もう俺に勝ち目はない
だが簡単に捕まる訳には行かない!!
勇気を振り絞って全力でタックルする
その間に作り出された熱波を通り過ぎた為に右腕が大火傷する
そして体勢を崩したその間に力一杯、校舎へと磁場を掛け柱を歪ませる
ガクン、という音で校舎の一部が歪みある教室が大きく傾いた
そこにはちょうどあの3人がいた
「えっ!!ちょっとこれヤバくない」
「崩れるぞ、近くの物に掴まれ」
掴まるといってもここは教室の中、何かいい物があると言う訳じゃない
各々自身の得意術式を展開するが傾きはより一層高くなる
「かなりやばくない?もっと深く刺しておけばよかった」
「と言うかよく刀なんて持っていたな」
「私は常に持っているわよ、"武器としては振れないけどね"」
学校内にいる限り銃刀法は引っかからない、そこを利用している
その間に深緑のジャンパーを着ている人がロープを垂らしてくれて何とか助かった
最後に満奈を助けようとしたが衝撃で落ちてきたスピーカーで頭をぶつけて掴んでいる手を離してしまう
そしてその衝撃で教室と共に3階から地面に叩きつけられた
「満奈!!」
「マジかよ、すぐに助けに行くぞ」
「黒炎くん!!下に生徒一人が下敷きになっている」
「分かった!!」
急いでいくとすっぽりと一部分斬り抜けられている
そしてその上で楽しそうに笑っている少女
片手には司の刀、そしてもう片方にはいつ取ったのか分からないがキューブが握られている
ワイシャツのボタンを一つ外して豊満な胸の一部を見せ、メガネは衝撃で外れて金色の目を光らせている
そして見た瞬間コイツはヤバいと直感で思った
「お前、誰だ!!」
「私はお前達が知っている笛木満奈だよ」
「随分と言葉が汚くなったな、頭おかしくなったか?」
「女は誰もが本性を隠している、不思議な話じゃないだろ?」
「本性が随分とワイルドだな」
「これは貰っていくぞ、親近感がある」
「そうも言ってられないんだよな、素直に返せばフェミニストだから攻撃はしないぞ」
「あら、随分と優しいのね!!」
振りかざされた刀をグローブのMMD部分で受け止める、心配しなくてもこの程度じゃあ壊れない
それよりも問題なのがキューブを持たれている事だ
あれは術者がいなくても魔力を供給してくれる
一見俺も使えるからフェアと思うがあいつには術眼がある
あの眼は、使用者の術式を自動的に補助してくれる術式が使える
つまり機械を通して発動する俺よりも強い術式をより早く使う事ができる
勝ち目はよく分からない、だが少しでも油断を見せれば負けるのは確実だ
「残念だな、お前の事結構気に入っていたんだけど」
「嬉しい事言ってくれるね、何なら付き合っちゃう?」
「今のお前は嫌いだよ、それに他の二人が何を言うか分かったもんじゃない」
「意外とモテるんですね」
「虫唾が走るからお前の言語で話せ」
「じゃあ肉体言語で行くわよ!!」
一回空気を斬ると、まるで風が吹いた等に一瞬で瓦礫を切り裂いた
片手だけだと言って侮れないな、そして仲間だから攻撃はあまり出来ない
それよりもあれは何だ?なんであんな性格になった?キューブの性か?
チクッと少し認めたくないものが思い浮かんでそれを振り払うように首を振った
「余裕出していると死ぬよ?」
さらにまた上級術式を展開する
満奈も得意術式はない、いや正確には幅広く使えるからそんなものは皆無だ
しかしそれを活かすだけのバススロットが使えないのが欠点だが今はそんな事はない
使いたいものを使いたいだけ使える
得意があるということは弱点も偏るという事だ
そんな攻撃の上級攻撃を食らったら一撃でやられるのは間違いない
「ほら、もっと行くよ」
「ちっ!!」
あいつの時と同じだ、仲間を撃つとなると一瞬躊躇してしまいワンテンポ遅れる
その間に刀が横切りが俺の目の前まで迫る
「くそっ!!」
白刃取りすると引き抜いて遠くに投げる
しかしその瞬間に首元に蹴りが入って、空中に飛んでいた刀を肩に突き刺される
どこからこんな力があったのかと言うくらい深い
「かなり深いね、このままだと死ぬわよ」
「刀で死ぬのは運命かもしれないが俺は死なないよ、『君の兄』と一緒でね」
ほんの一瞬、動きが止まり左手を蹴り飛ばした
キューブは空を放物線上に飛んで行き、イズルがちょうどキャッチした
しかし満奈は治る事はなかった
今度は標的をイズルに変えて俺の肩から刀を引き抜いた
「それを返してください」
「やっぱり
自分とは正反対の人格を作り出す、半使用禁止術式
普段から性格が危険な人に施せば逆の性格に出来て便利な術式
だが満奈の様な普段から大人しい人に掛けるとこの様に狂乱な人格を生み出す事になる
使い続けると混乱が起き、元の人格すら壊す可能性がある
「それにしても貴方は何者?気持ちが悪いくらい私と波長が似ているのだけど」
「僕は君の失敗作だよ?でもその様子だと君も失敗した様だけどね」
逆鱗に触れた様で持っていた刀を振り込む
だけどその前に刀の柄から手を離させ、掴んだ腕で軽く投げ飛ばす
「だけど、あの時は失敗作ってだけになったけどね」
僕が何で九頭龍イズルという名前を名乗っているのか、それは放出という意味で出流と言っている
だけどまだその術式を使っていない、その術式こそが僕の支えになっている物だ
「『九頭龍大蛇術式』僕達はその術式を使いこなす為に作られた」
「・・・子供の時に耐え切れなくって死んだって聞かされていたけど、生きていたのか」
「この通りね、このキューブ《箱》の名前にも『蛇』って付いているからね君が欲しがるのも分かる。だけどこれを使った所で使えるとは限らないよ、そして流石の君でも身が持つかも危ない」
笛木は元々蛇使いで有名な家だった
笛を使って歴代使っていたのだから蛇の召喚術式だって使えるだろう
そんな考えで僕達兄妹は子供の時にやっと出来たと言って使えるのかも分からない術式の実験台にされた
結果は前に話した通りで当時の僕には使えなかった
そして使えないと分かると訳も話されず家から叩き出され、今度は妹が実験台にされた
術眼を宿してさらに鏡花術式まで付けて、出来たかと思ったらやっぱり出来ていなかったみたいだね
僕は放浪中に運良く、施設病院の人に拾われて、才能を見た龍永さんに養子として迎え入れられた
そしてクロワガイストの4人目のメンバーとして入ることになった
『やっぱり使えない』
『どうしたんですか?イズルさん』
『凱斗くんだっけ?いや、僕が使いたい術式があるんだけどどうやっても使えなくてね』
『少し見せてください―――あぁ~色々とミスがありますね。コードとしては間違っていないですが展開となると難しいですね、少し任せてください』
『お願いできる?』
そうやって僕の術式は少し困難があったが何とか完成した
今思えば『九頭龍大蛇術式』やその派生の物質分解と再構築は、彼の真の術式が影響したのだと思う。
分解と構築、死と再生、それは全く違うが似ている部分もある
いや、それ以外にも僕の中の凱斗くんと『同じ力』が作用したのかもしれない。あの術式の名前も『蛇』だ
「だから、僕は君を全力で止める」
「出来るの?貴方に?私は実の妹ですよ」
「今は違うだろ」
その本気の言葉に表情が少し寂しそうに変わった
もしかしたら、この術式も完全じゃないのかもしれない
だったらそこを付けば助けられるって事だね
昔の事を少し思い出して、可愛い妹を止めにかかる
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