第7話 七豪戦―各交戦

一条高校本部、そこでディスプレイを見つめている集団がいた

生徒会長叉條院雪風と書記の須賀谷英美、副会長の森山士燮だ

「結果的には大きなポイント差を付けることが出来ましたね」

「えぇ彼のお陰よ、ピンチをチャンスに変えちゃっているんだから」

「当校のポイントは2位と大きく差を付ける事が出来ましたし、このまま残りの競技も決勝出場まで行けば総合優勝は確実な物になる計算です」

「となるとやっぱり彼に頼るしかないのね」

「昨日は休息を提案していたのに働かせる事を視野に入れましたか」

彼の力は大いに、いや十分すぎるほど私達に貢献してくれている

意外な視点から助けてくれたり、その人の力を最大限引き出してくれたり

士燮くんの競技に関しては新しい術式を完成させて、難攻不落だと言われていた『アブソリュート・ロック』を破壊して一躍敵にプレッシャーを与え、自分チームには高得点をくれた

現行最難題術式を一人で完成させただけの事はしっかりと証明されているわ

だけど人には欲があるからどうしても欲が優先してしまう

もし勝てるのならそのまま総合優勝を目指したい

そういう事を考えていると集合時間ぴったりに彼がやって来る。手は操作のし過ぎか冷感シートを付けている

「呼びましたか?」

「大丈夫?昨日も結構遅くまで作業していたのに」

「問題ないですよ、それよりも次は何をすればいい―――」

「出来ません」

そう言って士燮くんに取り押さえられて英美が凱斗くんからタブレットを奪い取った

「少々私達は彼に頼りすぎだと思います」

「俺の仕事はそういうものですから」

「だとしてもお前、担当選手以外の奴の調整もやっているといつか倒れるぞ」

何か不具合があると全員担当者じゃなくて凱斗に調整をやってもらっている

疲労感が溜まっているのは聞かなくても見れば分かる

「まだ凱斗くんにはこの先やって欲しい事がありますから今日くらいは休息を取ってもらいます」

「凱斗くん、君は今日一日一切の協力を許可しません」

「じゃあ技術者の先輩方に俺の機材を貸出してください、あれは結構便利なものですから」

「景義くんが喜びそうね」

前から凱斗くんが使う専門用具に興味を示していたから本当に喜びそうだ

「それにしても凄いじゃない、凱斗くん。あの『アブソリュート・ロック』を壊しちゃうなんて快挙よ」

「固有振動術式、あの短時間で術式構成を完成させるとは私も驚きました」

「それにしてもよくあんな事思いつくよな」

「俺は『絶対』とか言われて諦めるほど往生際が良くないんでね」

絶対と言われてそこで立ち止まるのは人間の悪い所だ

空を飛ぶことは不可能だが人は飛べる機械を作り出した

永遠の命は存在しない、だが人は長く生きられる医療を作り出した

そんな事を言われても諦めなかった奴等がその『絶対』を壊していった

人間諦めなければ絶対は必ず無くなる

「特に今回使用された術式を正式登録してほしいとレボレーションから打診が来ています」

「それって新しい術式として認められたって事」

「そうですか、じゃあ開発者登録名は先輩の名前でお願いします」

「それは駄目だ、お前が作り出したんだからお前が登録するんだ」

「基本、登録者名は最初に使用した人が載る事はよくある事ですよ」

「もう彼はそういう事は気にしない様ですね」

「姿を隠すのはいいけど、あまりお人好し過ぎるのもね」

「そのお人好しをよく、それも強引に使っているのは会長ですよ」

「あら、確かにそうね。それで士燮くんはどうするの?開発者さんは君の名前で登録しても良いと言っているけど」

「・・・本当にいいんだな」

「あの術式は後々大いに役に立ちますよ。加工が難しい金やダイヤの形状変化、それに災害時の瓦礫からの救出時間短縮にも使えるマルチな術式ですからその特別許可所有者になっておくのは大きな利益ですよ」

「聞く度に手放す理由が分からなくなってくるぞ」

「では士燮くんの名義で登録しておきます」

「じゃあ俺はこの辺で、失礼します」

彼がいなくなると一気に脱力した

「本当に良かったのか?あいつ多分一生暮らせる位の権利を放棄したと同じだぞ」

「それを言うと普通にもらったのも多少問題になる発言ですよ」

「彼は本当に凄いけれども欲がないわね、人の役に立てれば良いのかしら?」

「登録した術式二つとも現在の人に大きな進歩を促す物ですね」

「あいつが頑張れば不可能な事が無くなる世界が出来るんじゃないですか」

それだけの能力と技術をアイツは持っている

でもまぁそれはしないだろうと全員が心の中で思っていた

「ふんふふ~、いっぱい買っちゃったわね」

「可愛い衣服も靴も多くありましたからね、ロウ君は大丈夫ですか?」

「言いたい事は多くあるが大丈夫だ」

「まぁそんだけ図体のデカイ体してるんだいね」

七豪戦の会場近くには多くの人を見越して日本のあらゆる服や食べ物など色んな店が出張開店している。

そんな時に行く当てのなかった俺がちょうど合流した。

「あら、凱斗さん。今日は仕事がないんですか?」

「今日は休みにさせられた、働き過ぎだって」

「まぁ昨日あんなに凄い事仕出かしたんだから休みの一日位もらってもいいのよ」

「逆に俺が目立ちすぎて先輩達に迷惑掛けてないかが心配で」

どうしても比べる様に見てしまうから先輩達が何言われるかが心配だ

「それにしても凄いですよね、術式を作っちゃうんですから」

「固有振動だったな、あれ俺にも教えてくれよ」

「あんたのレベルじゃあ発動しないんじゃないの?」

「なんだと!」

「二人共喧嘩しないでください」

でもあの術式使うにはMMDが二つ必要だから単体では確かに発動できないのは確かだ

一つで分析してその分析したものをもう一つのMMDに送信してその波長に合わせる

それを一つで出来ればもっと進歩できるんだがあの時は時間がなかったから実験していない、それが今後の課題だ

「今日休みっていうことは一緒に回れるって事よね」

「特に用事もないし、大丈夫だ」

ロウ達を多くの場所へと回って気分的に安らいだ

その途中で上官と出会うが会釈してお互いに知らない振りをした

時間は進んで昼過ぎ、昼食を食べながらこれからの事を話す

「本当なら今はターゲットクリアの時間よね」

「俺がその時間を無くしちゃったからな、じゃあ今は何しているんだろう?」

「確かその次の競技が繰り上げだった気がします」

「見に行ってみるか、凱斗」

「担当の選手じゃないが面白そうだし行ってみるか」

会場には開始前だが大勢の人がいた

「今回の競技はフラッグ・デモミッションね」

「確か旗取り合戦と同じだよな」

両チーム3人ずつで自分の陣のフラッグを守りながら相手の物を破壊する競技だ

肉体的攻撃は認められていないが術式では大怪我をしない程度なら相手に攻撃ができる

選手は怪我のない様に機動隊の様な装備に着替えている

この競技には士燮先輩と東十郎先輩が選手として参加している

特に士燮先輩はターゲットクリアの術式で大いに一目置かれる存在になっている

「この勝負、どうなるんでしょうね」

「相手は三条か、それにアイツがいる」

相手選手には悠と透の姿もあった

言うまでもないがこの勝負はかなり苦戦を強いられるだろう

古い廃ビルの中、赤い防弾チョッキを着た男が三人いた

「悠、調子はどうだい?」

「バッチリだ、良すぎる位にな」

「相手の中には東十郎さんの姿もあるけど大丈夫?」

「問題ないな、松下家の力も衰えている様だし敵にはならない」

「随分と強気だね悠、勝てる見込みがあるみたいだ」

「俺はその為に強くなったんだからな」

俺は昔から東十郎と比べられてきた

何をやっても松下家のアイツの事を出されて叱られる

なら、誰も文句が言えないように俺が強くなればいい。それだけの話だ

俺はあの事件以来、いや『あの人』に出会ってからあぁなりたいを思ってこれまで頑張ってきた

ここでアイツを倒せば俺は強くなったって言う事を本家の奴等も知るだろう

「最大限一対一に出来る様サポートするよ」

「透は士燮という二年の先輩の相手を頼む」

「いいよ、でも負けないでね」

基本MMD構成はあの一条高校エンジニアの凱斗と同じ銃型の物を中心に使っている

微調整をしつつ、開始時刻となる

開始と同時に敵陣の方に駆け出していく、案の定妨害されるが見切り回避する

「お前が相手をしたいのは私だろう」

「話が早くて助かるな、行くぞ」

爆破術式を軽く展開するが衝撃によって簡単に吹き飛ばされる

だがこのお陰で辺りに煙と立たせた

「この程度なのか、お前の力は」

「ほんの序の口だ、ここからは本気で行くぞ」

トリガーを引くと辺り一面に魔法陣が展開される

その矛先は全て東十郎に向けている

「こんな多く展開出来るようになったのか、思ったより成長しているじゃないか」

「その上から目線、いつまで続くかな?」

術式から攻撃が発射するタイミングで手同士を思いっきり合わせた

その音波によって術式は解除され、魔法陣は自己崩壊した

「思ったより強度がなかったな」

「ふっ、どうかな?」

本当の攻撃はもう展開して、相手の気が付かない内にもうすでに近くまで来ている

『多重連爆波動術式』

東西の家の術式で作り出された混合の攻撃

爆破系の術式を等間隔で発射して相手やその近くでその術式同士を一つにして大きな爆発を起こす物だ

「良い術式を使える様になったな」

爆発と共に辺りの建物が大きく揺れる、しかしあいつはまだ立っていられた

しかもほとんど無傷で何事も無かったかの様にちゃんと立っていられている

「発勁で飛ばされたか」

「良い使い方をしているな、術式も安定していて正直驚いている」

「お褒めどうも」

「だが、今のお前じゃあ俺に一撃も与える事は出来ないぞ」

その一言はゾクッと心にナイフの様に突き刺さった

「はっ、それはどうかな」

上級術式を展開するが簡単に相殺されてしまう

確かに爆発系術式は衝撃系術式と相性が悪いがそれ以上の力が俺にはある

ならばその足枷になっている物は何だ?空気か?この場の位置か?

「では、お前は今何の為に戦っている?家の為か?名誉の為か?少なくともお前は自己中心的に力も保持しているだけだ、大事な物を捨てて、力を保持した奴に十郎の名は相応しくない」

俺の展開よりも早く衝撃波が体を襲い、壁に叩きつけられる

「確かにお前は積み重ねによって普通の学生よりも強い力を持っている、だが今のお前は自分の為にその力を使っているだけに過ぎない、術式はもっと大事な物の為に使ってこそ本来の力を発揮するものだ」

それが今俺と東十郎を隔てている壁か

「うるせぇよ」

「何?」

「うるせぇんだよ!!」

上位術式、それも短距離で撃ち込む

防御体制を取れないまま吹き飛んだがあれで倒される奴じゃない

「ふっ、いいだろう。その力に頼るのなら俺がお前を引き摺り降ろしてやる」

もう一度、多重連爆波動術式を展開する

しかし力み過ぎて予想以上に魔力を術式へと流し込んでしまった

これは明らかに加減が強すぎる、規定違反だ!

そして同時にその異変にも気がつく

「逃げろ、西十郎」

多数の術式がぶつかり合って大きな爆発が起こる

天井を突き破ってその瓦礫が俺等に降り注ぐ

今からどんなに早い術式を展開しても遅いし威力が足りない

そんな瞬間、見えない所で押された

「東十―――!!」

巨大な音を轟かせてそのビルは崩壊した、その中にはまだ東十郎がいる

ビルの崩壊に会場がどよめいた

「東十郎くん」

「東十郎」

「先輩!!」

居ても立ってもいられなく、観客席から会場まで移動する

その間に一瞬だけ人目に付かない所で黒炎に着替える

走る途中、俺を追い掛けて来た三人とすれ違う

「凱斗、さん?」

ほんの一瞬、黒炎を見た瞬間に満奈がそう呟いた

俺が会場に着いてみると今置かれている現状は映像で見るよりも酷かった

瓦礫は上二階分も重なっており、山が3メートル近くある

士燮先輩が何回も固有振動を使うが一向に出てこない

「くそ!何でこんな事に」

『俺も手伝います』

「かい―――黒炎、助かる」

一応付けておいた変声器で話しかけた後、『黒炎』に『固有振動術式』を加える

これによって人は燃やすに瓦礫を壊れやすい状態した瞬間に黒炎が術式を破壊する

その衝撃によって瓦礫はどんどん粉塵と化していく

『居た!士燮さん手伝ってください』

衝撃を分散して硬化術式を常時展開している為に呼吸はしているが体はもうボロボロの状態だ

医療班を呼びつつ『自己再生術式』を使っていると少しだけ意識を取り戻した

『東十郎さん、大丈夫ですか?』

「あぁ、それよりも、あいつはどうなった」

『大丈夫ですよ、東十郎さんのお陰で』

ふと顔を近づけさせられると小さく弱い声で話しかけられた

『はい、分かっています・・・了解しました、最善を尽くします』

俺にその言葉を言い残すと安心したかの様に気を失った

医療班に搬送されると軍施設病院到着次第緊急手術が行われ、俺等はただ、待つ事しか出来なかった。

「おい!お前何してくれているんだよ!!」

西十郎の胸倉を掴むと壁に叩き付けた

ショックが大きいのか放心状態で何も話さない

「満足かよ、闘争関係があるって聞いてたけどこんな事する奴だったのかよお前は!!」

拳を強く握り振りかざした、しかしそれは西十郎さんに当たることはなかった

「落ち着いてください、士燮先輩」

「これが落ち着いていられるかよ!!コイツの性で東十郎は!!」

「分かっています、ですが今は落ち着いて」

「そうよ、そんな事しても東十郎くんが帰ってくる訳じゃないわ」

「それよりも、西十郎さん。少しお話がしたいのですが話せますか?」

「あぁ・・・いいぞ」

本人の許可は取れたが弓弦さんが止めにかかった。西十郎さんと同じで戦闘服のままである

「駄目だよ、庇う訳じゃないが悠は今は話せる状態じゃない」

「いや、大丈夫だ。先に行かせてもらう」

「俺も着いて行っていいか?」

「ここは、俺達2人だけにしてください。先輩達はここで待っていてください」

廊下の奥のベンチ、そこに西十郎さんが座っていた

その顔は絶望と後悔に満ちている様だった

「俺は・・・なんて事を!!」

「状況を聞きたい、どうしてあぁなった」

「魔力の多量流動だ、その性で規定以上の出力の物を展開してしまった。その衝撃でビルが倒壊したんだ」

「なるほど、そうか」

「恨みたいのなら恨めばいい、もし東十郎が死んだら俺の性だからな」

「俺はお前の事を恨まないからな、だって―――」

足音に気が付き、二人共その方向を向く

ゆっくりと警察官が西十郎を見つけてこっちへやって来る

「桐原西十郎だな、魔術法規定9条によって君を逮捕させてもらう」

術式によって人命を及ぼした場合の規則だ

抵抗せず腕を差し出すが、その手を下げさせられた

「貴様、公務執行妨害だぞ。君も逮捕されたいのか?」

「今は俺が公務をしている所だ、お前等の方が公務執行妨害だぞ」

「なんだ貴様、国家権力に逆らうのか?」

「いや、警察だからってそんな横暴な事していいのかよ」

「侮辱罪も入れておこう、君も逮捕しよう」

凱斗が腕に手錠を掛けられた

しかしその手錠はまるで氷が熔ける様に消滅した

「術式の無断使用も追加されたな」

「ど~ん」

そう言ってデフォルメの猫の仮面を付けた、まさか・・・

「こっ、黒炎!?」

「少なくともお前等より遥かに俺の方が地位が上だ、公務執行妨害に侮辱罪、それに上司反逆罪って言うのもあったな。それを適合しよう、因みに今から逃げても顔は覚えているから無駄だ。あと誰か護衛委員会本部にいる龍永さんに西十郎さんは『無実』だと伝えておいてください、例の件の可能性が高いって言えば伝わると思いますから」

素直に拘束されて部下に伝言を頼んだ、これで大丈夫だろう。権力はこういう時に使うものだ

「無実ってどういう事だよ、そんな嘘言って大丈夫なのか?」

「嘘じゃないさ、設置型術式の反応がちゃんと有ったからな。それも西十郎さんと同じの爆発系のな」

つまり爆発と同時に発動させて二名共も脱落させようとした様だ

それで証拠は瓦礫に共に埋まって、犯人まで擦り付けようとしていたと言う完璧さ

「俺は信じているよ、西十郎さんの事をな」

「黒炎様が言うのなら嘘も本当に聞こえるな」

「俺は嘘と絶対と目立つ事が嫌いだからな、信じないのなら信じるまで分からせる」

「だからいつもあんな誰だか分からない様な格好をしているのか」

「そういう事だ、だからお前は何もしていない」

東十郎はあんなに余裕を出していたのに多量流動で出した奴を吹き飛ばせられない訳がないな

「東十郎先輩も異変に気が付いていたらしいです」

運ばれる前、そう呟いていた

「そしてあいつ、西とも言ってました」

そんな時でも俺の事を心配してくれていたのか・・・

ポロっと頬を流れるものがあった

何で泣いているんだろうな、西十郎ともあろう俺がみっともない

しかし止まることはなかった

「西十郎さんは何の為に誰の為に戦っていたんですか?」

「俺は力を持って誰かに認められたかったのかもしれないな『あの人』みたいに」

だけどそれはただの自己満足だった、そんな力じゃあ本当の力に負けるのは当たり前だ

自分の事しか見ていないで周りを見れていなかった

自分の事を中心に考えてそれで仲間すらも動かしていた。本当に、俺は馬鹿だ

「じゃあ俺はもう行きます、西十郎さん」

「西十郎か、いや悠って呼んでくれ。桐原悠『あの人』から貰った名前だ」

「じゃあな悠、犯人は俺が絶対に見つける」

「君と戦う時は十郎ではなく、悠としてお前と全力で戦わせてもらう」

「ふっ、いいぜぇ!俺も黒炎じゃなくて祠堂凱斗としてお前を潰しに行くからな、覚悟しておけよ」

そんな時に東十郎の手術が終わって雪風さんが俺等の事を探しに来た

タンカーで運ばれて、最後に執刀医が出てくる

「先生、東十郎くんは?」

「もう大丈夫だ、だがしばらくは動けない絶対安静で過ごしてもらうけどね」

士燮先輩も雰囲気を読み取ったのか、責めることはなくなった

病院前で解散となって会長を士燮先輩に任せると俺は龍永さんへと状況説明をしに行った

龍永さんのお陰で悠は、ただの事故として処理されて出場停止になることはなくなった

しかし次の日に行われるフラッグ・デモミッションは中止となり、次のグラム・ストレーションへと移行された

そんな時に俺は調整の途中で会長に呼び出された

「これまでの成績は分かっているわね、現在総合1位は一条高校が占めている。そして2位は三条高校が来ているわ、昨日あんな事があったけれど競技は進んでいる。それで今日出場する選手は誰だか分かっているわね」

「東十郎先輩でしたね」

「西十郎くんが出るから登録したけど、彼は開催が早いフラグ・デモミッションにも出場していたから東十郎くんもそっちに出場した。その時に彼を止めるという本来の役目を行って、この競技は棄権しても良かったんだけど・・・」

「西十郎、悠は棄権しないで出場する気でいるという事ですね。彼が優勝するのはポイント的にマズイですから」

「だから凱斗くん、これは生徒会や委員会連盟としての命令ではありません。ただの一条高校2年1組の叉條院雪風と松下

東十郎からのお願いです」

『君がグラム・ストレーションに出場してもらえませんか?』

深々と頭を下げた会長から飛び出した言葉はかなり意外なものだった

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