第24話
ところ変わってバートン警備部門中央管理室。本来なら必要最低限の人員であり得る筈のない侵入者を警戒し、万が一にも即座に対応するそこは今や、
「何が起こってる!」
下層部担当室長の叫びに数人のオペレーターが怒鳴り返すように叫ぶ。
『わかりません!』
とここで別のオペレーターが、
「十三階防衛壁、侵入者に突破されました!」
「二十五階警備室ジュダル・ミューダースに撃破されました!」
『邪魔するなってのーーー!』
「十四階管理室でシーラ・ディファインスが手当たり次第にレバーを引いて・・・」
続いてスピーカーからけたたましいノイズが鳴り響き、火花と共にスピーカーが煙を噴いた。
「・・・・・」
「室長っ!」
叫びと同時に残った音声スピーカーも火を拭き、四重の経路で確保しているはずの電力・・・つまり照明までが落ちてしまう。
「バ、バカな!」
「非常電源に切り替わります」
ドンッと低く鈍い音を立てて赤く鈍い光が天井に灯る。
「原因はなんだ?!」
「わかりません!」
簡潔な否定が即座に返って来る。室長が頭を抱えた所で、
「新たな侵入者確認。下層部のシステムの大半がシステムダウンしているため映像はありませんが音声だけ回します」
「まだくるってのか!」
「静かにしてください」
『・・・・・っ』
微かなノイズと息遣い。コンソールを操作し音声を最大へ、
『ああぁぁぁーーーーー!』
「ひっ!」
叫びというにはあまりにも悲痛な絶叫。誰もが小さく悲鳴を上げて身を震わす。
『ブ・・・ブブブ』
「・・・・・」「・・・」「・・・・」
誰もが口を開く事さえできずにいると、ノイズの向こうから低く陰気な声が漏れ出す。さながら魂を刈り取りに来た死神の声のように。
『バートンは今日終わる。死にたくなければ去れ』
再び絶叫。途端に鈍い音が響き視線の集まった先は室長のデスク。彼は頭を抱えたまま額を押し付けていた。
「もう・・・」
もう、ともう一度繰り返してから、重苦しい息を吐き出して、
「これ以上私を苦しめないでくれ」
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