【永 遠】(一)

 愛する彼女を殺してしまった。

 彼女の白い肌が、美しい髪が、緋く、深く、罪の色に染まってゆく。

 何よりも気高い貴女が。

 誰よりも孤高な貴女が。

 粛然たる威光を纏い、犯しがたい神々しさを体現した貴女が――

 永遠に物言わぬ、屍体になってしまった。

 振り返ると、一人の幼子が立っていた。

 立つことを覚えたばかりであろう、まだ物心もついていない小さな子供。

 泣きもせず、笑いもせず、血濡れたわたしたちを見つめていた。

 ――見られた。

 殺してしまおうと思った。

 汚れた血が混じった――あの女との間に生まれた子など、殺してしまおうと。

 剣を払い、首を刎ねる――それだけで終わるはずだったのに。

 その瞳が。

 彼女と同じ鳶色の瞳が、わたしの心を強く射貫き衝き動かした。

 逃げるように、わたしはその子を抱えて部屋を飛び出した。

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