第10話
その後は何事もなく授業が終わり、放課後になった。
何度か昼休憩の間に那月が美鶴の様子を見に来ていた事を人伝てに聞くが、美香の教室に行った事と行き違いになったらしく、会う事はなかった。
確かに、放課後に話を聞きに行くという事も美鶴は考えた。しかし、六限目の授業が予想以上に延長してしまった上、その後の掃除当番。終わるころには四時を回っていた。
バイトのシフトは五時から――移動時間も考えると、全く余裕などない。
その為、美鶴は用があれば明日にでもまた会いに来るだろうと割り切ると、急いで学校を出る用意を済ませ、バイト先である喫茶店へと向かうのだった。
「すいません、遅れました」
遅刻してしまったという事もあり、美鶴はバイト先であるAQUAという名前の喫茶店の扉をそっと開ける。遅刻しているからこそ、なるべく迷惑にならないよう目立たぬようにしていたのだが、却ってそれが自身の存在を目立たせる結果となってしまう。
何故なら、喫茶店の中には誰一人として客が来ていなかったのだ。
「いらっしゃいま――なんだ、美鶴君じゃん。ボクは客かと思って身構えて損しちゃったじゃないか」
「随分な言い方ですね。遅刻したのは事実ですけど、そういう態度はどうかと思いますよ。花楓先輩――一応、接客業なんですから、真面目にやらないと」
店内にはいつも通り、静かで落ち着いたメロディ。落ち着いた雰囲気な隠れ家という店の趣もあり、それに合わせてゆったりとしたBGMが流れている。
美鶴は店内を見回すがマスターはいない。だが、音楽が流れ看板がOPENになっている。
つまり、出掛けているのであろうマスターが帰って来るまでの間、間を持たせるのがバイトとしての仕事の筈なのだ。しかし、美鶴の目に飛び込んで来たのはバイトの先輩であり、大学生である花楓の店内。しかも、外から見える四人掛けの席を占領して堂々とサボっている姿だ。
呆れて果ててしまいものが言えなくなるのも仕方がないというものだろう。
確かに、隠れ家的雰囲気を壊さない為に宣伝をせず、立地条件もあまりよろしくない為、固定客はいても絶対的な客数は少ない。だからこそ、喫茶店のマスターとバイト二人で十分に回せるのだが、今日はいつにもまして客の入りがない。
「それで、店長はどこに行ってるんですか? その様子だと、なかなか戻って来ないと言ってるようにも見えるんで少し不安なんですが……」
雰囲気から考えればマスターが席を外している間、花楓が一人でバイトをしていたという事になる。だが、先程も言ったように花楓はサボっているのだ。
机の上に広げられた複数の電子モニター、休憩用に用意した珈琲を優雅に飲んでいる所から推測するにどう考えても自習しているようにしか美鶴には見えないのだが……。
「うん、電話対応。すぐ戻って来るから、その間、ボクは店番しておいてって頼まれたの」
美鶴は一瞬自分の耳を疑うが、確かに店番と花楓は言った。その言葉に一周回って溜息も出て来ない。こんな人間がバイトの先輩と言う事実に泣きたくなるレベルだ。
けれども、美鶴に泣いている暇はない。ここは職場。いつ、客が入ってもおかしくない。だからこそ、後輩であろうとも不真面目な先輩にははっきりと言うべき事は言わねばならないのだ。
美鶴は咳払いをして、気合を入れると額に皺をよせて電子モニターを睨む花楓を指差した。
「店番をするのにあの机の状態はないでしょう! さっさと、片付けて真面目にバイトしないとマスターに言いつけますよ。花楓先輩――一応、お金を貰ってるんですから」
「だって、静さんがどうせ客来ないから自習して良いって言ったんだもん! じゃないと、今度の試験で単位を落としちゃってボクがダブっちゃう事になるから」
花楓の子供っぽい言い分に美鶴にはどこか美香が重なって見えてしまう。その為、同級生と勘違いしてしまいがちだが、一応は大学生だ。何度かここで友人と勉強会を開いていたりと、顔が広い事は美鶴からすれば少しばかり羨ましい。
そんな言い争いをしていると扉の開閉を知らせるベルが小さく鳴り響く。
客が来たのだ。美鶴は営業スマイルを浮かべ、来店の挨拶をしようとするが、その相手を見た瞬間、顔が引き攣ってしまう。
「こんにちは。弟君、差し入れ持って来たよ」
相手は美鶴と同じ学校の制服を着た男女一組。しかし、それだけではない。
女生徒は昼間、美香を止めた三年。しかも、『弟君』と呼ばれた事から、喫茶店にたまたま入店したのではなく、美鶴に会うという目的を持って現れたのだ。
「って、ここ喫茶店だよ……。どうしよう――――コレ?」
「だから、行く前にあれ程確認すべきだ、と。一応、言わせて貰いますが、差し入れは必要ないと俺は何度も反対していますよ。ソレに普通なら店に入る前に気が付くでしょう」
そんな会話をしている二人だが、眼鏡をかけた男性の方は美鶴には見覚えがない。制服に入っている刺繍から二年だという事は分かるのだが、それ以外に情報はない。
ただ、三年の女生徒と一緒に来店した事を考えると導き出されるのは『美香の関係者』だ。
「美鶴君の知り合いだよね? 呼んでるけどいいの?」
いつの間にか裏から戻って来ていた静が固まってしまっている美鶴にそう微笑みかける。
美鶴からすれば余計な一言だ。だが、喫茶店店内には閑古鳥が鳴いており、背後ではバイトの先輩が仕事そっちのけでボックス席を占領し、レポート作成に勤しんでいる。逃げ道などない。
いいえ、知り合いではありません。他人を呼んでいるんじゃないか。――と、言い逃げしたいところだが、今この店にいる男性は入って来た眼鏡を除けば美鶴ただ一人。
残念ながら、『弟君』という時点で美鶴以外に考えられないのだ。
「お前以外にいないだろう。そこのウェイター……」
眼鏡の男が美鶴を指定した事で完全に逃げ場は失われる。ここでマスターも拒否してくれたなら話し相手にならずに済むのだが、そんな気を回してくれるような人間ではない。
むしろ、逆に面白がって許可してその様子を遠目に眺めるのがこのマスターなのだ。
「別にお客さんもまだ来ないだろうし、話し相手になるくらいなら別に許可してあげてもいいわよ。まぁ、仮にお客さんが来ても私一人で対処できるし、花楓も普通にレポートしてる訳だしね」
そして、やはり今回もいつも通り、そうやって遠目に微笑みながら、美鶴を差し出すのだった。
けれども、一つ気になる点が美鶴には存在している。この場所は美香ですら知らないのだ。学校で三浦との話題以外で上げた事もない。一度もだ。
もしも、美香がこの場所について知ってしまったのなら……。既に企業と契約し、仕事を請け負っている美香の事だ。懐の心配をする必要もなく、毎日のようにこの喫茶店で何品か注文し、長時間、美鶴に接客させる為に入り浸るだろう。
そんな事になってしまえば、唯一の美香も知らない一人になれる場所が一気に地獄に様変わりしてしまう。美鶴としては、何としてもはっきりとさせておかねばならない。
何故、この場所を訪れたのかという事より先に。
けれども、先に口を開き質問したのは女生徒の方だった。
「弟君――いや、美鶴君は美香の事どう思ってる?」
その言葉の解釈は恐らく一つ以外に考えられない。
美鶴はその事を即座に理解するが、返答は出来なかった。何故なら、アイリスにはあんな事を言ってしまったが、美香の友人に宣言するのとでは訳が違う。
それに、この問題に美鶴が関わる余地があるのか分からなくなっていた。
相良と美香の対立の中で自分の立場が見いだせない。そんな葛藤が美鶴の中で起こっている事に気が付いたのか、薫はそれ以上、深く踏み込む事はしない。
その代わりとして、自分達がここへ訪れた理由。何を考え、行動しているかを指針として美鶴に対して指し示すのだった。
「そうだ。まず、自己紹介からしないとね。私は朔良薫(さくらかおる)。美香とは高校に入ってからの付き合いになります。それで、こっちが二年生。つまり、貴方の一年先輩にあたる――」
「日下部彼方(ひかべかなた)だ。呼び捨てで構わない。一々、敬語で話されるのも面倒だし、そこまで誰かに敬われるような出来た人間じゃないからな……」
薫と彼方。学内でも名前が知れ渡っている人間ではない。つまりは無名。
相良や那月、美香のような優秀なハッカーにもなれば、美鶴の耳にも自然と名前が届く。その事を考えれば、良くて中の中辺りの人間と考えていいのだろう。
それだけに、美香が一体何を思っているのか美鶴には理解出来なかった。
単純に考えるならば、足りない人間の人数合わせ。けれど、数を合わせた程度で本当に勝てるかどうかに関しては大きく疑問の余地が残ってしまう。
いや、既に勝ち負けの問題で考えるのが間違っている。そんな状況でわざわざ、勧誘に訪れたとするならば――美鶴の中で答えは出なかった。
「それで、先輩方は何の用件でこちらへ? 一応、バイト中ですので本題にさっさと移って貰いたいのですが? ――こう見えても忙しいもので」
「暇ーー。誰かお客さん来ないかなー?」
「嫌がらせですか? 花楓先輩……。そして、お前が言うな」
背後で二人に対して援護射撃を始める花楓とその様子にクスリと小声で笑うマスターに美鶴の中では殺意が湧き上がる。
バイトを盾にさっさと話を終わらせようと考えていたのだ。
それを一瞬で水の泡にされてしまった。これでは他に逃げ道もない為、必然的に話を聞く以外に道はなくなってしまう。
先輩達からは苦笑い。静は面白そうに意地悪気な笑み。そして、背後には人の不幸を楽しむ花楓。どこにも美鶴の味方はいない。
次第に空気に耐えられなくなってきた美鶴の顔は朱く染まり始めるのだった。
「従業員が仕事せず、知り合いと雑談しているような喫茶店だと、客が入り辛いじゃないですか! 雰囲気作りから始めるのが大切なんです。それに……あまり、ここには家庭の事情を持ち込みたくはありませんから黙って回れ右して、帰って貰えませんか」
「話を聞いたら帰るよ。弟君はどうしたいと思っているのか聞いておかないといけないから――君の返答次第では色々と事情が変わってくるんだよ!」
先程までのお茶らけた表情が一変。真剣な表情で薫は美鶴を見据える。
だが、そんなに視線を向けられたところで、答えられるような答えを美鶴は持ち合わせていない。明確な答えがない以上、下手に希望を持たせるような事を言う訳にはいかないのだ。
「真剣なその子の思いを無下にするのはどうかと思うわよ? 男の子なんだから女の子には優しくしないとね。それに、美鶴君も内心では思う所があるんじゃないの?」
静の援護射撃。そんな事、美鶴も指摘されずとも分かっていた。
だが、即座に首を縦に触れる程、出来た人間ではない。下の下。底辺にいるのだ。美香のいる上層など、いくら手を伸ばしても届かない。そんな遠い世界の話でしかない。
そんな美鶴の曖昧な態度に彼方は気に入らないと言わんばかりに舌打ちすると、自身のPDAを取り出し、現実を美鶴へ突き付けて来る。
「そんなに自分の所為で負けるのが怖いのか? 勝負する前から諦めるのか?」
彼方の言葉に美鶴は何も言い返す事は出来ない。
回答を拒否するのは肯定と同義なのは美鶴も理解している。だが、自分の成績を突き付けられている以上、誤魔化す訳にもいかない。
「そんな追い詰めるような言い方しなくても……。弟君にだって、弟君の考えがあるんだよ。そんな言い方で無理矢理出させた答えなんて間違ってる」
あくまでも薫は協力を要請する側。間違っても、強要する側ではない。
だからこそ、薫はその彼方の行動を黙って見て見ぬふりをする事が出来なかった。例え、それで解決したとしても美香がそれを喜ばない事を知っているだけに。
しかし、彼方は違う。別段、美香の為に動くつもりは一切ない。ただ、分かるからだ。
もしも、ここで選ばない事を選んでしまったら、きっと後悔する事になる事を。
「いつまでも悩んでいる余裕はないだろう? なら、誰かが無理やりにでも引っ張って行かなきゃどうしようもないだろうが」
何が気に食わないのか彼方は先程から苛立ちを隠せないでいる。原因は美鶴。まるで、彼方の憎々しい何かを見るかのような視線がその証拠だ。
「俺は約束がある以上、逃げたりはしない。あいつらの話に乗らなかったのだって、別にあいつらの都合がどうでも良かったからだ。結果がどうなろうが、知った事じゃないからな。だが、それが言えるのは部外者だからだろ……けどな、こいつはどっちだ? 薫先輩」
美鶴が部外者か関係者か。どちらかと言えば、部外者。いや、どちらでもありどちらでもないと言うべきかもしれない。彼方や薫と違って単純な問題ではないのだから……。
薫も彼方の答えに何も言い返す事が出来なかった。反論したくても、それを証明出来るだけの何かが無い。昼休憩のあの事もある。
「終わってからじゃ遅いんだ。後悔してもし切れない。少しでもやる気があるなら、無理矢理にでも舞台に上げてやらないと、一生後悔すんだよ」
彼方は大きく溜息を吐くと椅子に寄り掛かり、頭を掻いた。
「いや、なんでもない。忘れてくれ。熱くなり過ぎてた」
「彼方君……。もしかして、君……」
薫の口からそんな言葉が零れ落ちた。
まるで自分自身へ言い聞かせているかのような彼方の言葉。過去の自分への戒めとも取れるその言葉は美鶴の中で何度も響き渡る。
けれど、美鶴と彼方は違う。何を後悔してそうなったのか。そこへ至る道も今回の問題とは違うかもしれない。美鶴は首を縦には振らなかった。
そんな美鶴の代弁をするかのように、薫が彼方へゆっくりとこう呟く。
「確かに、彼方君の言いたい事も分かる。けど、私は弟君自身が決めるべきだと思う。だって、部活は楽しむものじゃない。そんな風なやり方だと面白くないし、それに……卑怯だと思う」
卑怯――その言葉に最初は何の事を言っているのか美鶴は見当もつかなかった。
彼方は何も卑怯な事は言っていない。現実と過去の経験から語っている。強いて挙げる点があるとすれば、少しばかり強制的に聞こえる点ぐらいだろう。
しかし、その美鶴の推測はどれも薫の思いとは反していた。
「確かに後悔は先に立たない。けど、その方法は間違ってるよ……。誰も幸せにはなれないもの。だって、誰かが悪者っていう単純な問題じゃない。二人の思いと思いのぶつかり合いなんだよ」
薫はカバンの中から一通の手紙を取り出した。今時、紙媒体でのやり取りなど珍しいだけに美鶴も少しばかり驚いてしまう。封もしっかりと留められており、中身を誰かが読んだような形跡はない。気になる点があるとすれば、封筒に宛て名も何も書かれていないという事ぐらいだ。
「弟君にとある人物から渡して欲しいって頼まれたの。今すぐ、ここで読まなくていい。けど、私達の話を聞いた上でその手紙を読んで最終的に自分の意志で判断して欲しい」
「先輩? 先輩は本当にそれで良いんですか? その考えを否定するつもりはありませんけど、その行動が意味する事をもう一度、よく考えてからにするべきだと思うんです」
薫が美鶴に手紙を手渡そうとするのを彼方が割り込んだ。
だが、それでも薫はその手を押し退けると、美鶴へとその手紙を押し付けた。
「分かってる。けど、ダメだよ。これは弟君の問題。彼方君の問題じゃないの。それに、この手紙を書いた人も弟君に伝えたい言葉があったから、こうやって形にしたんだから」
わざわざメールでは無く、手紙を選ぶ理由。それを自身に送る人物。
どれも心当たりはない。ただ、薫の言葉が正しければ、美鶴に宛てられた手紙という事になる。
そして、美鶴に何かを言葉にして伝える為に――。
「手紙に名前を書かなかったのは、誤解されて読まれない事を恐れたんだと思う。多分、中の手紙には名前が書いてあると思うけど、その手紙は――更紗から渡された物だから……」
更紗と言う名前に美鶴は昼休憩に相良を止めに行った女性の姿が頭に浮かんだ。
様子から考えて、相良の関係者。つまり、この手紙は相良からの言葉が綴られている可能性もある。もしかしたら、昼の罵倒の続きも書かれているかもしれない。
読むも読まないも美鶴次第。だからこそ、美鶴はその手紙を破ろうと、手をかける。
だが、美鶴はその手紙を破り捨てる事はせず、懐へと仕舞う事しか出来なかった。
「本当に、アンタ達は個性的だな。頭のおかしな連中ばっかじゃないか……。そんなんで、本当にアイツらに勝てると思ってんのかね。全く姉貴は」
何か抱えている臭い先輩とわざわざ相良達からの手紙を隠さず、美鶴へと手渡しするお人よし。前者は擦り切れかけた人間、後者は現実から少し外れた損な役回り。
だが、美香がこの二人を選んだ理由は美鶴にも少しだけだがわかった気がした。
「チームは総合力、掛け算と足し算の組み合わせだ。無数のパターンが存在している。勝負なんてやってみなけりゃ、結果なんて解らない。結果が先にある勝負なんてないんだからな」
「でも、それならば負の要因である僕は使い道がありませんね」
彼方の言う事にも一理ある。だが、大切なのは掛け算であるという事だ。
一つでも負の要因があれば一気に逆ベクトルになってしまう。美鶴はどう考えても大きな負の要因。抱え込むにはリスクの大きな賭けになってしまう。
彼方はまだ思い悩んでいる美鶴に対してこう断言した。
「負も組み合わせ次第では正へと転ずる。要は使い所ってやつだ。局面の持って行き方次第では十分に勝率がある筈だ。お前が勝負を最後まで捨てなければ」
「そんな上手くは行きませんよ。現実ってのはね……」
それは理想論だ。現実にはそんな希望など脆く崩れ去ってしまう。それを美鶴は身を持って知っているだけに、彼方のその言葉を真っ向から否定した。
しかし、彼方は一歩も引かず、別の観点からの論証を突き付ける。
「ハッキリ言って、これまでの学業の実技とは別物になる。下らない矜持も持ってないなら、その方がいいだろう? それに、俺や美香にプログラミングを全て丸投げするっていう最終手段もある」
没入するだけ。確かに最終手段だが、それでは絶対に勝つ事は不可能だ。
だが、美鶴のプログラミング技術では対応する事も不可能なのは事実。
「それじゃあ、何ですか? どんな単純なプログラムすらも上手く作動させられない人間に参加しろって言うんですか? 先輩は」
皮肉交じりに美鶴は彼方を睨み付ける。
それに対し、彼方は少し考え込むと、こう切り返すのだった。
「ちょっと待て……。噂通りというより、更に酷いのか。だが、単純なプログラムも組めないとなると、データが破損している。いや、させているのか?」
彼方の口から洩れたデータ破損という言葉。――それを自己の意志で自在に引き起こせたとすれば、美鶴の抱える絶対的な欠陥が一転、大きな力になる。だが、それに各個なる証拠はない。その上、事実としても完全な諸刃の剣だ。
プログラムの競い合いで考えても、クラックのみに特化しているだけに使い所が難しい。自分から攻撃できないカウンター。自身にも影響を与える事を考えると、厳しく感じてしまう。
結局は詭弁でしかない。取らぬ狸の皮算用だ。
前提条件として存在する課題が大き過ぎて、まず理想論でしかない。
特にぶっつけ本番の試合、不可能な課題、まったく足りない時間。どれも重過ぎる。
美鶴の目の前に広がるのは暗い闇だけだ。光が届かないほど、深い闇。そんな場所に何の考えもなしに飛び込むほど、美鶴はバカではない。
確かに、今の世の中コンピュータを使える事が前提の職が多い。だが、全てがそう言った職ではない為、選り好みさえしなければネットに関わらない生き方も存在するからだ。
やはり、自分にはこの世界が合っていないのかもしれない。そう考え、美鶴の中で逃げると言う選択肢も明確に見え始める。そんな美鶴の手をそっと薫の手が包み込んだ。
「大丈夫。もしも、負けたとしても誰も弟君を責めたりしない」
美香は絶対にしないだろう。薫も彼方もするとは思えない。
だが、周りの人間は別だ。残酷なまでに追い詰めて来るだろう。美香と美鶴。攻めやすい人間は明白だ。慣れているとは言っても、そんな状況に追い込まれるのが美鶴は怖かった。自分が傷付く事がではない。そうなってしまった時、美香がどうなってしまうかだ。
「逃げた所でどうせ負け。やった所で負ける可能性が高い。どっちにしろ、大差ないだろ。相良にお前がどんな事を言われたのか知るつもりも、興味もない。だけどな――逃げたらお前が投げかけられたその言葉を認める事と同じだぞ」
立ち向かわなければ、何も変わらない。だが、美鶴には美香のような技術はない。一般平均もないのだ。必死に抗った結果がこの末路。自分の器は自分が一番知っている。
――その小ささも。愚かしさも。
記憶を失って何もかも残らず失って……守るべきプライドの欠片も保持していない。それが、今の白浜美鶴の正体。空っぽな箱のようなものだ。
そう、守るべきプライドなんて美鶴は初めから保持していない……。
「これ以上、邪魔したら悪いだろ。何も注文していない訳だし、考える邪魔になるだろうからな。さっさと帰るぞ。薫先輩」
「えっ? せっかく、喫茶店に来たんだからケーキと珈琲でも頼もうかと思ったんだけど……」
「そのつもりなら、先に頼んどけよ。それに、今度くればいいだろ」
彼方は目を輝かせながら、辺りを見回している薫に溜息を吐いた。そして、襟首を掴み、出入り口へと薫を引き摺って連れ出そうとする。
「待って下さい……最後に一つだけ良いですか?」
美鶴の表情から何かを読み取った彼方は店から出ようとする足を止めると、薫の襟首を掴んだまま美鶴の方へと振り返った。
「なにかまだ、用があるのか?」
「その、――俺がここでバイトをしていること、美香には?」
「え、あ、それは安心して。教えてくれた人も、『美香先輩には絶対に言わないようにしてくださいよ。いやマジでそれだけは絶対にです』って念を押されたから、言うつもりはないよ」
美香にまで話が拡がっていない事に美鶴はほっと胸を撫で下ろす。それと同時に、三浦へはもう少し釘を刺しておくべきだと考えると、小さく二人にお辞儀をした。
「そうですか、とりあえず安心しました」
「それじゃ、今度はお客として来ると思うから、その時はちゃんと注文するね」
騒がしい先輩達はそそくさと立ち去り、辺りは一気に静けさが拡がる。残されたのは机に置かれたケーキの差し入れだけだ。
居なくなった二人の先輩が座っていた席を眺めながら、先程渡された手紙を取り出した。どうするべきか分からない。この手紙を開くのも少しだけ、怖い。
美鶴の手は震える。そんな美鶴に対し、花楓は静に差し出された珈琲の香りを静かに楽しみながらレポートを綴りつつ、こう指摘する。
「人生の先駆者アドバイスとしては、逃げても誰も文句は言わない。立ち向かっても誰もそれを止める権利はないけどさ。だから、ボクはこうしてレポートを頑張ってるのー!」
「はいはい、解りましたから。この差し入れ食べます?」
「それは美鶴君が貰ったモノだから、ボクは悪いからいいや」
相変わらずの猫のように気紛れな花楓の様子に思わず、苦笑いをしてしまう。だが、そんな花楓の言葉が美鶴の中のつかえを取り除いてくれたのもまた事実だった。
結局、自分自身で決める事と言われてもなかなか答えが出せる物ではない。
答えが出ない袋小路に迷い込む美鶴。だが、覚悟を決めて渡された手紙を開くのだった。
手紙を開き、宛て名を探す。
そこに記されていたのは、相良樹の名前だった。それともう一つ。如月(きさらぎ)更紗(さらさ)の名前。
内容は昼の件に対する謝罪とそれを甘んじて受けている事に対する怒り。
相良自身の思い。そして、なにより美香への協力をするなと言う要請だった。
その辺りの理由は納得がいかない。ただ、美香も相良も根底での思いは同じ――。
「あの、花楓も白浜君もちゃんと店番するなら店番した方がいいんじゃないかしら? 後ろでマスターも見ている訳だし……」
気が付くと、背後の扉が開き、鈴の音がなってお客が入って来る。
花楓の友人。花楓曰く、心理学学科学年主席の瀧咲翌檜だった。ただ、花楓には誇張癖がある為、美鶴としては話半分程度にしか信じていないのだが、
「もしかして、花楓が迷惑をかけていたのなら、ごめんなさいね。けど、年も上でバイトの先輩だからって容赦する必要はないわよ。この子、本当に調子に乗るから――あぁ、席はいつもの場所、注文はいつものをお願いするわ」
翌檜は美鶴達が何かを言う前に注文を済ませて自分の定位置への案内を要求する。
店内はガラガラ。だが、そのいつもの定位置は花楓が占領してしまっている為、案内する事は出来ない。案内するにしても片付けて机を拭いたりと準備を考えれば、結構な時間を要してしまう。
その為、別の席へと案内しようかとも美鶴が考えていたのだが、翌檜は何も言わずいつも通りの席に座ってしまう。そして、眼鏡を外し、リストバンドをはめた右腕で頭を抱えて溜息を吐いた。
「あなたね……白浜君も困ってるじゃない。一応、バイト中でしょう? それに、何よ。このレポートの山は……。しかも、明日が提出期限の奴じゃない」
「いやー明日提出って言うのを忘れててさ。急いで仕上げてるんだけど、あーちんも手伝ってはくれないかな? この時の授業の内容……恥ずかしながらボクはまったく覚えてないのさ……」
苦笑いを浮かべながら花楓は深く翌檜に対して頭を下げる。
その様子に翌檜は満面の笑みを浮かべると、花楓の頭にチョップを振り落すのだった。
「覚えてなくて当然でしょう。その授業、貴方は確か爆睡してたんだから。覚えていた方が奇跡だわ。それに、私が貴方を手伝ったら意味ないでしょう。終わるまで白浜君に相手して貰うから、一人で頑張りなさい。それが今後の貴方の為よ」
翌檜はそう花楓に言い放つと、美鶴を手招きする。
ただ、美鶴はこの翌檜と言う人間が苦手だった。物腰は丁寧だし人間としても尊敬出来る。だが、話しているとまるで内面まで見透かされているような感覚に陥り、自分という存在概念があやふやになる。最終的には何も分からなくなってしまうのだ。
けれど、バイトである以上は最低限、接客として翌檜に接しなければならない。
美鶴は手の離せないマスターの代わりにカウンターへ入ると、深い溜息を吐いた。そして、手慣れた手付きでインスタント珈琲を淹れると、砂糖とミルクと一緒にトレイで翌檜の席まで運ぶ。
「珈琲です。ごゆっくりどうぞ」
美鶴はコップを手渡すと、そそくさと立ち去ろうとするが、翌檜はそれを即座に呼び止めた。
「私はいつものと行った筈なのに、コレはインスタントよね?」
「ちょっと、静さんが手を離せそうなのでそれまでの繋ぎです。流石に豆から淹れるのって慣れてなくて……。ケーキ付けましょうか? 貰いものですけど?」
翌檜がいつも注文するのは静のブレンド。だが、注文を受けるのが仕事である一介のウェイターでしかない美鶴にそんなモノが淹れられる筈が無かった。
その為、簡単に淹れられるインスタントを出したのだ。伝票には何も記載せず、
「まぁ、いいか。私としては白浜君の淹れてくれるインスタントも好きだから――少しだけ、あの頃の騒がしくも楽しかった日々を思い出せてくれるんだもの。あぁ、ケーキはいいわ。それは貴方が頂いたモノでしょう? 私が食べたら送ってくれた女性に失礼よ」
「いや、別にこれはそういう意味で頂いたモノではないんですけどね……。普通にお詫びの印というか、詰まらないモノですがってやつです」
どこにでもある何の変哲もないインスタント珈琲をまるで大切な宝物のように眺める翌檜。
美鶴には彼女の過去に何があったか知る由はない。ただ、こうやって翌檜が遠い過去を懐かしむときに見せる笑顔はどこか、言葉に出来ない寂しさが入り混じって見えた。
「まぁ、これは美味しく頂くとして――それより、何か面白い話とかないかしら?」
――面白い話。
急にそんな事を振られてもなかなかに難しい。
翌檜と美鶴では大きく人間的な方向性が違うからだ。その為、面白いモノの考え方も大きく違っている。美鶴が話した事が必ずしも翌檜にとって面白いとは限らない。
確かに無視し、話を聞き流す事も出来なくはない。
ただ、色々と相談に乗って貰っていたり、こうやって注文した品を出せずインスタントを出したりしてしまっている手前、無下にする事は出来ないのだ。
美鶴としても色々と考えた結果、思わず悩んでいた事が洩らしてしまう。
「なんで、同じ思いの筈なのに人って対立しちゃうんでしょうね」
昼間の美香と相良。
考えている事は同じ筈なのに互いに対立し合う関係になってしまった。美鶴には良く分からない遠い世界の話なだけに何もする事が出来ない。そんな愚痴だ。
そのボヤキに対し、翌檜は即答でこう返答する。
「そう言う生き物だからよ。人間って言うのは――凡人に天才の考えるような事は分からないように、天才にも理解者はいない。いつだって、彼らは孤独よ。けど、上には上がいるのは世界の常。当然の事よ。私だって、学校では主席だけど世界に目を向ければその辺の雑草みたいなものなの」
そう言うと、砂糖とミルクを珈琲に淹れて翌檜は口を付ける。
いつもはブラックで飲むだけにその飲み方は少しばかり、違和感を覚えた。
「それが自分の限界。そう感じてしまいやすいのが人間なの。けど、そこで挫折する事無く、上を目指す事が出来る人間も中には存在する。天才、凡人関係なしにね。だから、そんな能力とかの話じゃなくて、視ている世界が原因なんじゃないかしら? どこまでも高みを目指す人間と、一歩ずつ確実に地盤を固める人間とではどうしてもそうなってしまいがちだもの」
翌檜の視線がマグカップの珈琲に写る自分の姿に落ちる。
何を翌檜が考えているのか美鶴には見当もつかない。ただ、自分から質問を投げかけた以上は最後まで話を聞くだけだ。
けれど、翌檜は何かを迷ったのか口を僅かに動かすが、なかなか言葉は出て来ない。
そんな時間が長く続き、ようやく意を決したのか翌檜は言葉を一つずつ紡ぎ始めた。
「特に今は時代の潮流の変わり目――焦りもある。精神的に不安定にもなってしまう。だって、これまでの常識が覆される可能性があるじゃない。それは、これまで積み重ねたモノが無駄になるかも知れないという潜在的な恐怖心を生み出してしまう。人は追い詰められやすいから……。それが事実であるかどうかは別として……」
どこか哀しさを纏いながら語る翌檜に美鶴はどこか不思議な感覚に囚われる。
翌檜が自身の事を語っているようにも、美鶴の事を語っているようにも感じ取れる何かまったく解らない――そんな不思議な感覚だ。
だが、翌檜との接点は美鶴の記憶上はこの喫茶店のバイトと客しかない。それも、知人と言うよりもバイト先の先輩の友人という遠い関係だ。そんな事がある筈がない。
「詳しいですね。俺にはやっぱり、よく分かりませんけど……」
良く分からない美鶴は思わず、深く考え込んでしまう。
そんな美鶴の様子に苦笑いを浮かべると、翌檜は優しくこう付け足すのだった。
「それでいいのよ。人の心なんてその人以外に誰にもわからない。だからこそ、距離感を掴むのは難しい。行動で示すタイプが陥りやすいかも知れないわね。言葉にしないから。――知れば地獄な事も多々ある。ただ、それでも私は人の心を知りたいと思う」
どれだけのモノを翌檜が抱えているのか、美鶴には見当もつかない。
分からないからこそ、何と言っていいのか言葉も見つからない美鶴。それに気が付いたのか翌檜は思わず、クスリと微笑んだ。
「別にそこまで深い意味はないわよ。心理学を探求する者は皆、最終的にはそこじゃないかしら? 人の真理の追求と言うね。まぁ、そうなって見る事になるのは人の恨み辛みが殆んどでしょうから、あまりいいものではないでしょうけど、私にはお似合いだものね」
翌檜の言葉は僅かばかりの本心を含んでいるが、大半は嘘にのように聞こえてしまう。何故なら、何の脈絡がないのだ。それに加え、どこかからかわれているようにも感じる。
ただ、『お似合い』と言う最後に発した言葉。その一瞬の翌檜の表情がどこか本心から自虐的に笑っているように美鶴には見えてしまうのだった。
それこそが、自分が背負うべき罰と言わんばかりに、
まるで、誰かに自分を責め立てて貰いたいと言わんばかりに。
「まぁ、高校時代って言う大切な時間にたくさん悩むのは良い事よ。それが貴方をきっと成長させてくれるだろうから。大切なのは自分に正直な事。それで、いつものでよかったかしら?」
「お願いします。静さん。それよりも、言いたい事を全部、掻っ攫っていきましたね」
気が付くとマスターである静は雑務も終わったのか、翌檜にいつもの珈琲を淹れていた。
美鶴の知る限りでも波乱万丈な道を歩んできた静の人生観に基づいた言葉だけにその意味は重い。ただ、急に横から割り込んで話をまとめてしまった事もあり、翌檜は少し不機嫌だが……。
両親に祝福された結婚ではなかった上に、子宝を授かる前に夫を事故で失ったのだ。一人残されたが実家に帰省し旧姓浅谷に戻ることなく、夫の名字である七瀬のまま一緒に始めたこの喫茶店を一人守り続けている。そんな健気な女性。
経営としては赤字もなく、上手く波に乗っている為、何の問題もないのだがこの喫茶店のバイト放任主義の経営方針だけは尊敬出来ないが……。
「何か、悩んでるみたいね。大人のお姉さんが少しアドバイスしてあげましょうか?」
悪戯っぽく微笑むと、静はそっと美鶴の前へと珈琲を差し出す。しかも、ケーキ付きだ。
「深く考える必要なんてないの。貴方が後悔しないような自由な生き方をすればいい。私だってさ。やっぱり、あの人を早くに失った事は今でもずっと引きずってるけど、駆け落ちをしてまで手に入れた短いけど幸せだった日々を否定するつもりはないもの」
静はカウンターに置かれた夫の写真をそっと撫でる。二人、仲良く微笑んでいる幸せそうな写真だ。何度も見ているからなのか少し、色褪せている。
「重要なのは貴方がどうしたいか。それでも、答えが視えないのなら少し離れてから考えてみるのもいいかもしれないわね。自分に正直になる為に」
後悔しないように――簡単そうに見えてそれは非常に難しい事だ。終わるまでどうなるかは分からない。無数に存在する選択肢の中でそのような答えを導き出すのは至難の業だ。
出口のない思考迷路の中で迷っている美鶴の前に静は自分専用のマグカップに珈琲を淹れて腰を下ろした。そして、珈琲に口を付けると顔を顰める。
「やっぱり、私はあの人みたいにブラックでは飲めないわね――」
「静さん、ボクには珈琲とケーキないんですか? こんなに頑張ってるのに!」
レポートと格闘しながらも、息抜きの軽食を要求する花楓に思わず、静は苦笑いを浮かべる。当然、翌檜も同様に呆れて果て、その頭を花楓は叩かれてしまうのだった。
そんな和やかな空気に再び戻ろうとしている中、美鶴は重い口を開く。
「もしも、戻れたらどうしますか? その……旦那さんと出会えた頃に……」
美鶴の質問に静は少しだけ、首を傾げる。そして、美鶴に薬指にはめられた結婚指輪を見せるとはっきりとこう断言するのだった。
「きっと、同じ道を選ぶと思うわよ。その時、私が出した最上の結論だから。どんな選択肢もその時は正しいか分からない。自分の力で正しいものにしていくものだから――」
そう言うと、我慢してブラックを飲むのを止めたのか、珈琲にミルクと砂糖を入れ、スプーンで軽くかき混ぜると、それを口にし、小さく頷いた。
「そんなに難しく考えなくていいの。誰だって、選ぶときは不安。それ普通なのよ?」
自分自身で道を切り開く、言葉にするのは簡単だが、実際に行動を起こすのは難しい。結局、選択するのは美鶴自身なのだ、それ以外の何物でもない。
「俺が後悔するとするなら――やっぱり、わかりませんよ」
「まだ、時間もあるんでしょう。それに、私としては貴方の中ではもう答えが決まっているように思えるんだけどな」
答えが決まっている。確かに、最初から美鶴が選ぶ答えは決まっていたかもしれない。
どちらが正しいか、間違っているかなど分からない。興味もない。ただ、このまま美香が敗北し、一人で責任を取るのもやり方として間違っているように感じた。それが答えだ。
「うん。良い顔になった! 頑張りなさい。応援しているんだから――そうだ、今日から数日間はバイト休んで良いわよ? そっちで忙しいだろうしさ。あぁ、給料はちゃんと出すから安心してね。一人暮らしは大変だもんね」
「いや、給料出すって……そんな事、してたらここ潰れますよ。そこまで、気を回す必要はありませんから真面目に仕事して下さいよ……」
最終的に一時間ほど、美鶴と静は相談し合い、三日間のバイトのシフトを変更する事で決着、翌檜のほかに誰も客が来ないままバイトを終えるのだった。
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