6章 獣人大陸
第111話 獣人大陸到着
父さんに会い、新たな修行を始めてから数日が経った。ようやく、獣人大陸と人族大陸の境に来たのである。本体は修行中だけど。
「長かったですねぇ」
「大所帯だからね。アカに乗れる人数とかだったらもっと早く着いてたよ」
「戻って、来たんだね……私」
「レミナ、怖かったら隠れててもいいんだからね?」
「ううん、大丈夫。私はお兄ちゃんの子供だもん。だから大丈夫」
「マスター、検問のようです」
馬車などが幾つか列を作っている。その先に大きく横に広がった壁があった。僕たちも列に並び、数十分して順番になった。検問には人族と獣人の両方がついている。
その方がお互いのためってことだろうね。
「身分を証明出来る物を見せてくれ」
僕、隼人、仲原さん、美智永さん、近藤君、神代君の異世界組とクロは獣人に関する説明を受け、そのまま通過。
リンとレミナは冒険者カードを見せただけですんなりと入る事が出来た。
アカに関しては従魔扱いのため少し面倒ながらも一度竜に変身し再度戻り、従魔用の腕輪をする事で通過する事が出来た。従魔用の腕輪はどうやら従魔であるという事を周囲に報せる他、従魔に対して絶対権を行使出来るらしい。僕はしないけど。
ミアは魔族だという事で一度検査が入り、問題無しをもらったため、通過。
一番の問題の王女様は意外にもすんなりと通過出来た。話を訊いてみた所、国王から獣王に働きかけがあったのだとか。娘のために行動したようだ。
「これで全員無事検問通過かな」
「だな。何ごとなくて助かった。検問で少し時間はかかるかと思ってたんだけどな」
「メンバーが少し特殊だからね……。検問から少し行けば獣人達の街があるらしいし、今日はそこまで行って休もうか」
「だな」
馬車を走らせて街へ入る。獣人大陸は自然が豊富で木々が周りにある場所に街があるのが普通だけど、最初の街は人族大陸に近いため、普通に人族大陸の街となんら変わりないものだった。
「レミナが住んでたのはこの街?」
「ううん。森の中の街」
ならまだ会わなくて済むか。いや、この街に来てる可能性も考えるとそうもいかないか。とりあえず宿を取って馬車を止める。
「とりあえず、冒険者ギルドに行こうかな。クロ、ここの冒険者ギルドは何処に?」
「少々お待ち下さい。もうすぐ到着する筈ですので」
到着?何が?そう思っていると宿屋前にいた僕達の所に獣人のメイドが走り寄ってきた。
「お待たせ致しました!冒険者ギルドですね!ご案内致します!」
「クロ、これどういう?」
「あの屋敷にいたメイドですね。私が回収し、マスターの為に働くように各地に派遣させました」
なにそれ聞いてない。
「メイドまたは執事ですが、一応の身分として冒険者として働かせています。金策が出来次第、各地に家を建築または購入を検討しております」
「うん、やりすぎ」
隣で聞いてる隼人達がドン引きしてるよ……。いや、僕もこれはちょっと……。喜んでるのミアとレミナだけだよ。
「まあその話は後でするとして、君が案内してくれるの?」
「はい!マスター様とクロ様の為、しっかりと働かせていただきます!」
まあ案内してくれるっていうなら、してもらおうかな。
そうして案内された冒険者ギルドはだいぶ古ぼけていた。
「これ全然手入れされて無くない?」
「利用するのは人族の方々が中心で獣人の方々はあまり利用されないので、獣人大陸にある冒険者ギルドは基本このように古くて資金があまり回ってきていないようです」
僕の疑問に獣人のメイドが答えてくれた。
「なんでそんな事が?」
「私は冒険者としてもですが一応この冒険者ギルドにも勤めさせていただいておりますので。冒険者ギルドの受付採用条件に容姿が必要なんて初めて知りました」
容姿……なるほどね。容姿がいい受付嬢がいればその人目当てで利用する人も増える考えってこと。彼女は獣人だから人族だけじゃなく獣人の人も呼び込めるかもしれないって事か。
けど、もう少し情報は伏せた方がいいんじゃないかなぁ。僕がこんな簡単に知れちゃうと他の人も簡単に知れちゃうかもよ?
「あ、受付嬢やってるなら丁度いいかな。ゲイルっていう人族の人、このギルドに来なかった?」
「私が派遣されて来たのは本当に最近の事で、私が来てからその名前の人がギルドを利用した事は御座いませんね。もっと上の立場の方なら最後の利用場所を知る事も出来るそうですが、私にはその権限はまだないので……」
まあ最近派遣されたばかりでそれだけ情報を集めてるのは凄いと思うし、責めることは出来ないよねぇ。まず僕は彼女の事、知らされてなかったし。
「そっか。ゲイルまだ獣人大陸にいるといいんだけどなぁ」
いなかったら獣人大陸に来た理由半分が……。もう半分はレミナの件ね。多種族大陸にも行かなきゃいけなくなったからあまり離れてなければいいんだけど……。
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