第72話 武器を作ってもらおう
修行を終えて、次の日。今日は宗介達に用がある。クロの情報によれば宗介達は隼人達と合流、手伝いを始めたそうだ。……僕にはやる事がないのに宗介達にはあるんですか?
「スキルの有無です。宗介には『錬成』がありますから」
あー、そっか。あれ使えば建物もちょちょいと作れちゃうか。建物一つを作るとなると魔力消費がだいぶ凄いことになりそうだけど。
「ま、行こうか。そのついでに何か僕でも手伝える事があればいいけど」
やっぱり修行は大事だけど、目の前で行われてる復興作業に参加しないっていうのはね。
ミアも連れて現作業場に来ると、沢山の人達がこちらに向けて挨拶をしてくれた。その挨拶と共に感謝も一緒に。
「えーっと、何でこんなに感謝されてるの?」
「マスターがこの街に襲いかかっていた魔族を倒した事は周知の事実となっているからです」
「多分、その話を聞いてないのテツ君だけですよ。その話された時、テツ君だけいませんでしたから」
なに?いったいいつそんなことを!?
「私は後から知りましたが。どうやら話をされたのはマスターが薬草を採っている時です。その時はまだ私は起動していませんでしたね」
なるほど、あの時か。確かにあの時は僕一人で潜ってたな。リックさん達は僕がやったのはレオンさんから聞いてるだろうし、まさに僕だけ聞いてないって状況になったわけだ。
「なるほどね。そういう訳か。僕が街を救ったのに復興にまで参加したらみんなが僕に返しきれないほどの恩が出来ちゃうから参加させてくれなかったわけだ」
僕としては恩を着せるつもりなんてないし、ただ単純に手伝いたいだけだが、事情を知った相手側の事を考えればそうなる。
「はい。というわけでマスターには仕事が御座いません。復興が終わるまでは修行期間になります」
「私も一緒に頑張りますよ!」
「了解了解。もう手伝うなんて事は言わないよ。にしても人が多くてなかなか……いた」
結構な人が集まっているのでなかなか見つからないなぁと思っていたら上空にいた。アカに普通に乗っていた。……なにしてるんだいったい。乗ってるなら丁度いいしアカごと呼ぶか。
ピュールルルと音を鳴らすとアカが僕の近くに着地した。
「おおっととぉ。零、こいつすげぇなぁ。言うこと聞いてくれるし、俺も1匹欲しいくらいだぁ!」
「欲しいならダンジョンに行ってくれば幾らでもいるよ。5階層にだけどね」
「マスターの場合はスキルがあるため場所を取りませんが、一般の方の場合、竜を飼おうとするとある程度広い土地が必要となります。どこかの街に入る場合も検閲があったりとかなり面倒な場合が多いです。そして、かなりの食料を必要とするため、ある程度稼げていなければ満足に育てる事も出来ないでしょう」
スラスラと息をするように竜を飼う点での面倒さを語るクロ。その内容に竜を欲しがっていた宗介は渋い顔をする。
「そして何より、竜を飼う為には卵から一から育てるか、竜を殺さず打倒するしかありません。宗介、貴方では生かして打倒は無理でしょう」
「そうだなぁ。武器の都合上、どうしても殺傷しちまうからなぁ。諦めるしかねぇかぁ。それで、零は何の用なんだぁ?」
「あ、うん。銃弾を作って欲しくて。後は銃をもう2丁くらい」
「なぁるほどなぁ。それは俺にしか出来ねぇ事だなぁ。材料はぁ?」
「魔物の素材から鉱石まで色々あるよ」
ダンジョンで色々採ったからね。
「了解だ!早速取り掛かろうぜ!どこかに広くて何か書ける場所はないか?」
広くて何か書ける場所かぁ。仮ギルドじゃあちょっと手狭だしなぁ。
「それならばマスター、こちらを使用下さい」
そういってクロが暗闇を使って中に空間を作り出した。アカが入ったり、僕が鍛治作業をする時に使った感じだ。
「そういえば、それがあったね。それじゃあお邪魔しますっと」
「じゃあ私もお邪魔しますね」
「え、えっと、この中に入ればいいんだよなぁ?」
挙動不審になりながらも暗闇に入ってくる宗介。
「えっと、なんだこれ」
「これは私の趣味部屋です!」
僕が暗闇の中の空間に唖然としてると、隣のミアが胸を張って答えた。大きい胸で胸を張らないで下さい。意識してしまいます。
「この、ぬいぐるみ部屋が?」
そこは数多くのぬいぐるみが置かれていた。机と椅子もあるが、完全にぬいぐるみに埋もれている。
「そうです!クロに頼んで作ってもらった空間に私お手製のぬいぐるみを置いた私の部屋です!」
お、おう……。確かにミアは裁縫とかも得意だったからぬいぐるみが大量にあってもいいんだけどさ。
「クロはなんでここに繋げたわけ?」
「マスターが入るならばここ以外ないかと思いまして。部屋も十分広いですし、書き物も出来ます。条件には合っていますでしょう?」
うん、条件的には合ってるんだけども。今から作るのこんなメルヘンな物じゃないから!
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