第71話 国王に報告

 あの後、ミアはすぐに起きてくれたので行動するのが早く始められた。


「ってな訳で、ポートの前に赤い竜がいるけど僕が飼ってる?感じのアカっていう竜だから気にしないで」


 僕の言うことに色々な反応を示す一同。驚きや好奇心、恐怖等。まあそりゃあいきなり竜なんて言われたらオタクとしてはそんな反応だよね。普通の人からすると恐怖以外ないと思うけど。


「お、おう。そ、それでぇ、そこの美人さん二人はぁ?」


 代表として宗介が僕の横にいる二人について問いかけてきた。そういえばミアと会うの初めてだっけか。あの時は僕一人で会ってたんだったな。


「こっちの紫の髪の子がミア。僕の彼女かな。で、こっちのメイド服のがクロ。僕のメイドだけど、ミアとかのメイドでもある。クロは人間じゃないからね」


 ミアが魔族なのは伏せておくけど。僕達の秘密は本当に信頼出来るまでは自分達から言うつもりはない。


「テツ君!彼女じゃなくて妻でもいいと思います!クロだって奥様って呼んでくれているんですし!」


 あぁ……。クロのせいで面倒な事言い始めた……。


「その話はまた後でにしようか。宗介達の前でする事じゃないから。えっと、クロ、宗介達と一緒にいてくれる?分身でいいから」


「了解しました、マスター」


 僕達が付いて行かないのはちょっとダッシュで王都に戻るからだ。王様に伝えておかないと色々と面倒じゃん。


「それでは私に逸れないようについて来て下さい。マスターや奥様、マスターの親友に害があれば私は敵になる事を承知しておいて下さい」


 いや、一応宗介も友達なんだけど……。ま、まあいいか。宗介達が変な事するはずないし。


「それじゃあまた。王都行ったら戻って来るからその時にでも話そう」


「おう」


 それじゃあ行きますか。






「ふぅ、ついたついた。やっぱり全力ダッシュだとすぐに着くね」


 全力ダッシュで数時間。王都に到着した。すぐに城に行き、謁見を求める。僕が魔族を倒した事は知れ渡っているのか、直ぐに通された。


「えっと、お久しぶりです。国王様」


「久しぶりだな。ポートで色々と事件があったと聞いた。大丈夫だったのか?」


「一応は。と、言いましても街は壊滅、被害は甚大でした。現在は街の復興に向けて皆が頑張っていると思いますよ」


「レオンからも少し話を聞いたが、そうなのか。では私が送った資材も役立つだろう」


 レオンさん影を移動出来るからって凄いな。国王様にも話を通していたとは。


「ええ。そして、今回の件で王女様に怪我はありません。御安心下さい」


 さっきからずっとそれが気になって仕方がないみたいな雰囲気を出してたから言ってあげた。


「そうか。娘は、メネアは無事か。よかった………。それで、レオンに聞いた話では首魁は取り逃がしたそうだが、四天王の一人を倒したというのは本当か?」


「はい。私だけの力ではないですけど」


「それでも何か褒美を与えないといけないだろう。何が欲しい?」


「そうですね……。兎の獣人の扱いを正当なものにしていただけないでしょうか?」


 今回、一番頑張ったのはリンだ。そんな彼女にプレゼントがあってもいいだろう。


「兎の獣人だと?何故だ?あの者達が何をしたか、知っているか?」


「ええ、聞いています。ですけど、それはその兎が悪いのであって種全体がそういう危険な思想を持っているわけではありません。今回、魔族を倒せたのは兎の獣人が味方をしてくれたおかけです。きっと彼女がいなかったら私は死んでいます。なので、扱いを正当にして欲しいです」


「それは………。わかった。だが、私の一存では決められない。国王だからといって全てをその場で決めていい訳ではないからね。他の者とも話し合って良くなるようにはしよう」


「ありがとうございます」


 これで、兎が普通に出歩けるようになったら、アンシアさんとリンは一緒に何処にでも行けるだろう。


「それでは、失礼します。私も色々とやらなければならない事がありますので」


「あ、少しだけ待ってくれないか。娘に手紙を渡したい。そこまで時間は取らせないから」


「わかりました」


 本当にそこまで時間は取らず、5分程度で手紙は出来上がった。


「それでは、失礼します」


 外に待機してもらっていたミア達と合流し、直ぐに帰路につく。王都でも色々とやりたい事はあるけれど、そうしてると修行に間に合わなくなっちゃうからね。今は修行の方が大事だから王都の用事はまた今度だ。





「一応、間に合ったね」


「……ん。少し休んでからでいい。その方がちゃんと修行になるから」


「そっか。ならお言葉に甘えて」


 王都から直接修行場所まで来た。時間的にギリギリ月が出る前に帰って来れた。よかったよ。


「それじゃあ私は料理して来ますね!」


「うん。楽しみにしてる」


「はい!」


 何としても早く強くならないとね。とりあえずアレウスを自力で倒せるくらいにはなりたい。そうじゃないと自分は勿論、仲間を守れないからね。前みたいに自分だけってのは絶対にしないけどね。

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