第63話 調査結果
「ここですね」
リックさん達と仮ギルドに来た。扉を開けて中を覗くとリンの刀とアンシアさんの義手が凄いスピードで振り回されていた。
「あれ……?幻覚かな………?」
炎天土天を使用してない状態なので、魔眼が発動している為に幻覚系のものは効かないのだが、そう言わないと納得出来なそうな事が目の前で起こっていた。
「あ、すみません。今はちょっと営業時間外ですので……」
二人の様子を扉から見ていたら横から職員の人が声をかけてきた。
「えっと、あの、あれなんです?」
僕以下全員が思っていた事を代表して職員さんに聞いてみると。
「どうやら、その、どなたからか義手を戴いたそうで、その性能を少し確かめたいって言い出したんですが、流石にここまでやるとは思っていなくてですね………」
あ……。ごめんなさい。僕のせいですね。ってでも僕街の外でやれって言ったよな!?
「ちょっと!何やってるんですか!」
僕のせいだし、用事もあるので止めに入った。その瞬間に二人の刀と義手がこっちに向かってきた。
「よっと」
ただ、まあ義手の方は僕が造ったものだから緊急停止用に血を入れてあってそれで動けなくし、刀の方は暗闇を展開させて暗闇の中へ引きずり込んでやった。
「……私の朔月が……」
「あれ?動かなくなりました〜」
はぁ………ったく。
「なんで二人してギルド内でこんな事してんですか!やるなら街の外でって言ったじゃないですか!アンシアさんに用事ですよ!例の魔法陣の件!」
「あぁ〜もう帰ってきたのですね〜。流石仕事が早いですね〜」
前半のを全無視されたが、それはまた後でしつこく言ってやろうじゃないか。
「どうも。奥の部屋をお借りできますか?流石にここまでオープンな場所で話す事でもないと思うので」
「はい〜。仮のギルド長部屋に行きましょうか〜」
アンシアさんに案内されて通された部屋は結構広いがあまり物はなく質素な感じがした。
「まだ街の復興は終わってませんからね〜。物は少ないんですよ〜」
こちらの考えを悟ったのか、そんな事を言ってきた。全員が椅子に座ると、リックさんがパーティを代表して今回の調査の内容について話し始めた。
「まず、ボス部屋だが、ボスは情報通りいなかった。ギルドが俺たち以外を通していないとすると、多分再び現れる事はないんだと思う」
むむぅ。そうなのか。そのボスがどのくらいの強さなのかとかどんなスキルがあるのかとか気になってたし、強くなりたかったんだけどなぁ。
「そして、そのボス部屋にある魔法陣だが、解析してもらった結果、周囲の魔力を微量だが集め続けている事が判明した」
ほへぇ。魔力を集めるなんて事も出来るのか。その魔法式欲しいかも。
「当然壊そうとしてみたが、無理だった。あの魔法陣は魔法式が幾つも折り重なっているようで、その中に障壁と自動修復の式があるらしい。どうにか障壁を破ってもすぐ修復されて手出しが出来ない状態だ」
障壁と自動修復だって!?なにそれ欲しい!式全部血で転写出来ないかな。
「そうですか……。となると、問題ですね」
「はい。魔物がダンジョンから溢れ出る可能性も視野に入れないといけません」
「え?どういう事ですか?」
「ダンジョンというのは魔力が他の場所より一際濃く、その魔力で魔物の生成と破損したダンジョンの修復が行われているのです」
「で、今は厄介な魔法陣のせいでダンジョンが魔力を集めだしている。今までより魔物の生成が多くなるということだ」
「なるほど。数が多くなってダンジョンの中に居場所がなくなれば魔物達は当然外に出てくると」
「そういうことです」
それは危ないな。どうにか対策を立てなきゃいけない問題だろう。
「にしても、今回の件ってそれだけなんですかね?そんなダンジョンに魔物を増やす為なら多分、こんな事をしなくてもあいつらなら秘密裏にやれたと思うんですが」
僕にはそれだけのようには思えないんだよな。わざわざリンを攫って自分達の存在を知らせたり、街を燃やすなんて事をした理由がこれだけなんて思えない。
「ああ。その件の魔族の目的は別にあると見ていいと俺も思う。解析してもらった中に2つだけ解析出来ないものがあったそうだからな」
2つの解析出来ないものか……。そっちが本命だな。
「ですが、その本命の対策はしようがありませんね。とりあえずダンジョンから魔物を出さないようにする対策はある程度考えておきましょう」
アンシアさんはこの街を守る役割があるからね。先にそっちの対策を取らないと。僕の方でも手伝える事があったら手伝おうかな。
「で、次はボス部屋の奥、ダンジョンクリアボーナスが置いてある部屋にあった物の話だな」
これこれ。気になってたんですよね。あの時開けてれば僕のものだったかもしれない物。
「それがこのメイドだ」
リックさんの仲間が持っていた謎のメイドがダンジョンクリアボーナス?
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