第44話 暗殺技

 攻撃が止んだらしい。繭を解いて外に出る。すると、結構な数の忍者が姿を現していた。鑑定で忍者達のスキルを盗み見しておいたが、必ず、忍者、暗殺技のスキルは持っているようで、その後に魔法系やその他の系統のスキルを所持しているみたいだ。


「暗殺技ってのが気になるところだな……」


 繭を解いたので、再度仕掛けてきた魔法やクナイを浮遊や風魔法、速さで処理しながら考える。

 前回と今回で2度交戦したが、それらしいものを使用する感じはなかった。それどころか前回は魔法系すら使ってこなかった。ただ手を抜いていたなら1人を殺した時点で魔法を使うはずだ。今使っているのだから。

 そういえば、主様とか言ってたっけな……。忍者が手を抜いて相手しているのは、その主様って奴の命令って事か?1人殺した後俺を襲わず、戻ったのは主様って奴の判断を仰ぐためって事か。

 ってことは今の所暗殺技って奴は使用を止められてるって事かね。


「そういう事ならここで数を減らした方が良さそうだな」


 暗殺技がどんなものかわからないが、数がいると処理がしにくくなるだろうというはわかる。しかし忍者がどのくらいいるのか気になるところだな。今見えるだけでも20人以上はいるだろう。しかし見えている忍者以外からも色々と魔法などが飛んできている。

 あの中の誰かから血を手に入れておきたいところだな。スキル構成は魔法以外変わらないようだし。……いや、やっぱあいつにしよう。


 ちょうど目に映った忍者のスキルの中に『重力場』というものがあった。他にも何人か同じスキルを持っているやつがいる。

 確かあのスキルは主様とやらのものって言ってたからな。戦う事になるだろうし、こっちも手に入れておきたい。


「さて、始めるか」


 考えがまとまったところで、反撃に移る。数が多いので広範囲を狙いたい。となると魔法か。


「アイスストーム」


 氷の嵐を見える範囲で放つ。氷の嵐が何個も吹き荒ぶが、どんどん氷の嵐が打ち破られていく。ある程度の数撃ったつもりだったが、魔法の起点である中心を魔法で集中的に狙われたようだ。


 アイスストームがダメか……。数がいる相手は本当に面倒くさいな。暗闇を使うか。


 暗闇を4つ四角形が出来るような感じで見えている忍者を囲む。一つの暗闇に風の刃を投げ入れる。4つ角のうちの一つから風の刃が出てきて、忍者達を襲う。簡単に避けられてしまうが、その次だ。風の刃が再び暗闇の中に入り、別の暗闇から出てくる。その風の刃も避けられるが、また次、また次へと暗闇を行き来し、風の刃が絶えず忍者達を襲う。上から逃げようとする忍者もいたので上も暗闇で塞いでおいた。ついでにこちらにくる魔法やクナイなどを暗闇で送り込んでいる。


「こんなもんである程度削れるかね」


 魔力消費が激しいので魔力回復薬で回復速度を早めながら閉じ込めた以外の忍者を手当たり次第に血と短剣で仕留めていく。重力を受けないようにしていれば一人一人潰すのにそれほど時間はかからなかった。


「暗闇の方はどうなってるかね?」


 暗闇の方を覗いてみると、数人は魔法に当たったようで血を流して倒れ伏しているが、それ以外はまだまだ魔法を避け続けていた。


「すげぇな」


 5人ほどか、忍者の中でも動きが違うものがいるのに気づく。全員重力場を持っているものだった。


 重力場で自分にかかる重力を軽くして動いてるってか?重力場欲しいが手に入れるのにはもう一苦労しないといけないってことか。


 暗闇で閉じ込めた場所へ自分も入っていく。自分にも迫り来る魔法を避けながら、まずは数を減らすために重力場を持っていない忍者を倒していく。


「って!」


 腕にクナイが刺さっていた。すぐに引き抜いて流れ出た血を集め、自己再生で傷を治す。


 危険感知が働かなかった?俺が知覚も出来なかったし、ずっと動きながら戦っていたのに当てた?まさかっ!?


「くっ!」


 次は背中にクナイが刺さったようだ。ちっ。まさか使うとは思わなかったぞ。

 俺に攻撃を当てたのは暗殺技だろう。名前に暗殺と入っているから普通は暗殺に使うんだろうが、今は隠れる場所もなく、魔法を避けている状態。クナイを投げるのが精一杯だったというわけだろう。

 俺の考えだと主様とやらがまだ使用を控えさせていたはず。俺の考えが間違っていたか?いや、たぶんだがそれはない。使用していいならずっと前から使っていたはずだ。それなら俺だって少しは苦戦していたかもしれないのだから。ならば、主様とやらの命令を破ったか?それともあの動きの違う重力場を持った奴の誰かが主様の可能性、もしくは何か連絡手段があってそれで使用許可を得たかだな。

 あの中に主様とやらがいるという線は無いな。ここはまだ3階層だ。忍者がこの強さ、数がいるならきっともっと下に行けるはずだ。ここにいる必要がない。それに鑑定で見渡してもリンというウサギがいない。これは連絡を取ったという線が今の所強いかね。


 持っているとしたらあの動きの違う忍者達の誰かか。これは数を減らすとか言ってる場合じゃ無いな。


 持っている血を身体に纏い、クナイでの奇襲を受けないようにしてから重力場持ちの忍者を相手取る。5人同時に襲ってきたので雷歩と雷纒の出力を少しだけ上げ、透明球も出して応戦する。


 透明球で1人、俺で2人をなんとか相手するが、あとの2人が完全にフリーだ。クナイは血のおかげで弾けるのだが、魔法が何回か来ている。魔法には暗殺技は使えないようで、ちゃんと危険感知が働くので避けられるのだが、相手している片方にトドメを!と思っている時に丁度魔法が来るのでトドメが刺せずにいる。


 一度、距離をとって仕切り直しだ。



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