第42話 襲撃
ダンジョン2階層。ここでも気配探知を使用したが、やはり魔物以外の気配は感じられなかった。
こういう場に隠れる場合、普通なら何処に隠れる?
ここは踏破された事のないダンジョンだ。まだ5階層までしか到達されてないという。なら、普通はその5階層より下に隠れるか。
他にあるとすると、何処かの隠し通路的なものでもあるかどうかか。
今回は隠し通路の線は無しで行動する。隠し通路なんていちいち探してられない。
「さーて、ここら辺までだったな。こっからは自力か」
現在いるのは記憶を頼りに間違えずに進んできたあの冒険者を助けた場所だ。この後は竜を倒す為に案内してもらったが、そちらに階段があるかも把握していない。
「おっと、これは……。まさか敵さんの方から出向いてくれるなんてな」
レイの足元にはクナイが数本、刺さっていた。あと少し気付くのが遅ければ、避ける事が出来ずにくらっていただろう。
「姿を見せてはくれないよな。気配も無し。だが、クナイが飛んできた方向からすると、そこか?」
とりあえずで血針を放つが、そこには誰もいなかったらしく、ダンジョンの壁に弾かれるだけだった。
「ま、すぐ移動してるよな。でないと狙われる。となると、今度は違う所から狙われるわけだ」
先程血針を放ったダンジョンの隅を警戒から外し、敵からの攻撃が来るのを待つ。
「っとまあ、そこから来るよな!」
放たれたクナイをキャッチし、お返しの血針を放つ。そこから、キンッという血針を弾いた音が聞こえる。ビンゴだ。
「何故、わかった?」
「おや、バレたら素直に出てくるのか。まあいい。で、そっちの疑問だが、こっちがわざと警戒から外したんだからそっから来ると思って当然だろ?」
まあ、それを計算にいれて他の所から狙うのが暗殺なんかを決める為の方法なわけだが。どうやら今回はそこを踏まえなかったらしい。
「ま、1人なんてそっちは言ってないから簡単に出てきたんだろうけどなっと」
背後から放たれたクナイも避けつつ、目の前の男にクナイを投げる。
クナイは容易にキャッチされたが、こちらに投げ返そうとはして来なかった。
「1人のように見せかけてたのだがな」
「そりゃ、無理だ。たとえ相手が1人だったとしても他に伏兵がいるかどうかを考えてないといけない。これは基本だ。お前一人に集中して背後からグサッとじゃあ意味がない」
「なるほど。なかなかやるようだな。だが、お前は死ぬ」
「それはないな。お前達は俺の速さに追いつけない。つまり攻撃を当てられないのさ」
最初にクナイが投げられた時に雷纒も発動している。その速度でクナイが当たらないんだからこいつらは俺に当てる手段はない。
「主様の力を見るがいい!」
「っ!?」
いきなり、自分に降りかかる負荷が増した。重力という負荷が。
「重力使いかっ!?」
「我が主様の力だがなっ!」
放たれたクナイが掠る。ちっ。雷纒と雷歩が帳消しになるくらい動きにくい。
「これを避けられるのか。しかし、これで終わりだ!」
色々な方向からクナイが放たれる。
「クイック!」
前回、クイックを使った時はただ速度を増すだけで使ったが、今回は2重で使う。足と頭だ。
思考加速させ、クイックの速度で全てを捌ききる。
「なかなかやるようだな……」
「このくらいの重力ならまだまだ何とかなるからな」
いっつ。言葉にはしたが、この重力だいぶきついな。とりあえず、避けるだけじゃなく反撃しないとな。
「これでもくらえっ!」
銃を取り出し血の弾丸を放つ。
「ほう。それは銃という武器だな?知っているぞ」
楽々と避けられる。が、その放った血を操り、背後から狙う。
「面白い弾だな」
ボンッという音とともに白い煙を上げ、狙っていた男がその場から消える。
危険感知が背後に反応を示し、その場からすぐに離れる。
「なんと!?これも避けるのか!?」
俺のすぐ後ろに先程の男がいた。
「その衣装といい、武器といい、やり方といい忍者かお前は!」
とりあえずつっこむ。あっちの方の知識にある忍者とかなり酷似しているからだ。
「そうだが?」
………。肯定されてしまった。
「この世界忍者とかいたのか……」
この世界、獣人やら魔族やら色々な奴がいるらしいが、探せば色々見つかりそうだな……。
「まあ、いい。俺はお前達を倒すだけだ」
「それは無理だ。こちらがお前を殺すからな」
とりあえず、目の前の男に弾丸を放ちながら、色々な方向からくるクナイを捌きつつ応戦する。
鑑定によればこいつは風魔法が使えるようだが、使ってくる様子はない。他にも暗殺技というものや忍者というスキルもある。
「……なぜ、本気で殺しに来ない?」
「これでも本気のつもりだ。何で判断したのかは知らないがな」
どうやら今でも本気らしい。では、この暗殺技とかはいったいなんなんだ?
「まあいい。こっちは出せるだけで相手をするだけだ」
黒球を生成し、忍者に向かわせる。血針を放ち黒球で忍者に当たるように反射させる。
忍者はこれを見事に避けるが、避けられないものが1つ
「ぐっ、いったいなんだ!?」
透明球だ。黒球を向かわせる時に一緒に出して、近くに待機させておいた。
「なるほどな。それは有効なわけだ」
ならば話は早い。
「ぐっ、がはっ」
透明球をたくさん生成し、黒球と一緒に突撃させるだけだ。それだけで先程までのは何だったのかというくらいあっさり攻撃が当たる。
「他の奴も出てきて助けてあげたらどうだ?」
やっすい挑発をしてみたが効果はなかった。そんなうちに弱った忍者に血を当て、絶命させる。
さて、どうやって他の奴を倒せばいいんだ。
「そうだ。こうすればいいか」
暗闇を出して入る。
「これで奴らも入ってくるだろ。もし入ってこなくても覗いてはくるだろ」
少し待ってみたが、誰かが暗闇の中に入って来ることはなかった。それどころか覗いて来ることもなかった。
試しに暗闇から出てみれば忍者の死体もなく、他の忍者が襲って来るような事もなかった。
「引いたのか?って事はまた襲われるのか。ってか襲われたって事はビンゴだな。ここにいる」
めんどくさいと思いながらダンジョンを進んでいくのだった。
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