初めてのチュー編

結婚、それは新たなるプロローグ。

 パイプオルガンから奏でられるウエディングマーチに合わせ、結愛はバージンロードの上を純白のドレス姿で歩く。


 横で歩調を合わすのは新郎である瀬奈恭介。二人は今日、夫婦となるのである。

 聖壇の前で立ち止まる結愛と恭介。


 式は滞りなく進み、結婚の誓約に儀に移る。


「恭介さん、あなたは結愛さんを妻とし――」


 司祭の言葉が続き、問い掛ける。


「――死が二人を分かつ時まで愛し続け、共に寄り添うことを誓いますか?」


 始めに恭介が答える。


「はい、誓います」


 結愛も続けて、


「はい、誓います」


 続いて指輪交換。まずは恭介が結愛の左手の薬指に、次に結愛が恭介の左手の薬指に指輪を嵌める。


 そして次は誓いのキスである。


 向かい合う結愛と恭介。

 新郎である恭介が、結愛のベールを上げる。


 恭介はふっと微笑むと結愛の唇に自身の唇を重ね合わせる。


「んっ、んんっ……」


 頬を紅潮させつつ、結愛は純白のオムツに放尿した。


 これで、次に移れる。


 結婚の制約、指輪の交換、誓いのキスが終わり、残す儀式はあと一つ。


 そう、オムツ交換だ。


 結婚の儀でもっとも重要視されるオムツ交換である。


「準備はいいかい?」


 恭介が耳元で囁くように訊いてきた。

 既にオムツに放尿し、準備は整っている。


「う、うん……」


 結愛は恥かしそうに俯いた。


 その瞬間、純白のドレスの下半分がすとんと落ち、純白のオムツ姿を露わにした。


 夫婦となって初めてのオムツ交換。緊張に、再び尿意が押し寄せてくる。


 恭介の手が結愛のオムツに伸びる。


 結愛は顔を両手で覆って、身を捩じらせて抵抗の言葉を口にする。


「だ、だめっ! 今、外されたら、わたし……わたし……」


 しかしオムツは無情にも外れ落ちる。


「あっ……」


 そして尿意が爆発して――




「ふはっ!」


 結愛は変な声を上げて飛び起きると、その勢いでトイレに駆け込み、慌ててパンツを下して便座に腰を下ろした。


「ふぅ~……」


 複数回に及ぶ夢での放尿に、危うくおねしょをしてしまうところであった。

 排尿の夢はおねしょに通ず。


 オムツをして寝れば安心かもだが、逆に尿道が緩んでおねしょが当たり前になるのが怖かったので、敢えて夜間はオムツをしていなかった。


 しかし最近は恭介が夢に出てきてトイレに起きなくてはならない頻度が増していた。

 恭介とは彼氏彼女の仲にはなったものの、特別進展がないせいで欲求が溜まっているのだろうか?


 恭介の家に訪ねて行った際、オムツ交換もお姉さんの乱入にてそれっきりになっていた。

 だからあんな夢を見てしまったのかもしれなかった。


「本当に、何にも進展してないな……」


 これでは色葉に負けてしまうかもしれない。

 色葉は恭介の幼馴染であり、二人で積み重ねてきた時間や思い出があり、遥かに自身より優位に立っていた。


 やはりもう少し積極的になる必要があるかもしれなかった。


「キスもあれからできてないし……」


 恭介とのキスを思い出し、身体が火照り尿の勢いが増す。

 結愛は唇を人差し指でなぞりつつ、


「もう一度したいな……キス……」


 勢いのよい排尿音に掻き消されながらも、小さくそう呟いたのだった。

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